A.I.という映画をご存じでしょうか?スティーヴン・スピルバーグ監督が2001年に発表した作品ですが、元々はスタンリー・キューブリック監督の企画だったようです。
原作はイギリスの小説家ブライアン・オールディスが1969年に発表した『スーパートイズ』という短編です。
1982年にはスタンリー・キューブリックから映画化を打診されていたようですが、難航。1999年スタンリー・キューブリックが亡くなってしまったので、企画は白紙に戻されます。
しかし、実はスタンリー・キューブリックは元々監督をスティーヴン・スピルバーグに依頼していて、その時は一度は断ったようなのですが、遺族の強い希望で引き継ぐことに決めました。
そしてブライアン・オールディスが書いた続編『冬きたりなば』『季節めぐりて』を含めて映画化したのが『A.I.』なのです。
まさかそんなに昔からあった話だとは微塵も思いませんでした。A.I.ってごく最近出てきた言葉だと思っていたので。
ちなみに、この映画は高校生の時にハーレイ・ジョエル・オスメントブームが自分の中で来ていて映画館で観たことがあったのですが、今回改めて観てみてこんなに難しい内容だったのか!?と驚愕しました。
ということで映画『A.I.』のレビューをしていきたいと思います。
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映画『A.I.』 – ストーリー
公開日:2001年06月29日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画, SF映画
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント, ジュード・ロウ, フランセス・オコナー
ネタバレ注意『A.I.』のあらすじまとめ
地球の温暖化が沈み、元は大陸だった所もその多くは海に沈みつつあった。大陸の減少により食料の確保などが難しくなる。そこで政府は人口の制御に立ちきり、許可なしでは妊娠を許さなくなった。そして、食料を必要としない労働力として人工知能、A.I.を搭載したロボットが開発される。人間が行っていた労働のほとんどはロボットが取って代わり、世の中のほとんどはロボットなしでは回らなくなっていた。
セックスを引き受けるセックスロボットも開発された頃、人間のように愛を持つロボットとして、実験的に子供の姿をしたA.I.ロボット、デイビッドが作られた。
デイビッドは不治の病を持つ息子のマーティンの事でずっと気を病んでいるモニカとその旦那ヘンリーの元へ試験的に贈られる。夫婦は冷凍保存されてずっと眠っている息子のマーティンを忘れる為、同じような形をしたデイビットに戸惑いながらも一緒に住むことを許諾する。
特に気に病んでいたモニカは初めはデイビッドに対して冷たい態度を取っていたが次第に普通の子供の用に接するようになり、モニカを永遠に愛するようにするプログラムをデイビッドに施す。このプログラムは一度設定すると変更不能で壊れるまでずっとモニカを愛するように出来ている。今までずっと「モニカ」と呼んでいたデイビッドだが、このプログラム実行後、「マミー」と呼ぶようになった。
デイビッドの愛によって、ヘンリーとモニカは幸せな家庭を取り戻しつつあったが、その時奇跡が起きた。息子のマーティンが目を覚ましたのだ。マーティンが戻ってきた後も、デイビッドは変わらず母親の事を愛し、いじわるなマーティンとも上手くやっていたのだが、母親のモニカは明らかにマーティンにばかり愛情を注ぐようになった。
そしてある日、周りにいた子供が引き金となって、マーティンの命にかかわる事故をデイビッドは起こしてしまう。完全に人間のいたずらに引き起こされた事故だったのだが、そんな事を知らないモニカはデイビッドを森の中へ捨ててしまう。
モニカからもらった喋るクマのぬいぐるみのテディとともに森に置き去りにされたデイビッドは、モニカに読んでもらったピノキオの話を思い出し、途中で出逢ったセックスロボットのジゴロ・ジョーとともに、“ブルーフェアリーに逢って、本当の人間にしてもらえればママにまた愛してもらえる”とブルーフェアリーを探す旅に出るのであった…。
…まだまだ話は続きますが、ネタバレになるのでここら辺までで。
『A.I.』のおすすめポイント
こんなことやらないよ!と思えるぐらい人間が醜く描かれている映画
モニカが自分の実の子供が戻ってきたらデイビッドの事を捨ててしまったシーンにしてもそうですが、人間たちが自分たちの立場をロボットに取られてしまったからと言って、ロボットを壊すショーを実施していたりと、結構人間に対して嫌悪感満載な映画です。
元はスタンリー・キューブリックが企画を持ち込んだ映画なそうなので、きっとこういう物事を極端化してクッキリさせるのが得意なスタンリー・キューブリックの作風を活かした撮り方をスティーヴン・スピルバーグはしたんだろうな。ただ、ラストのシーンはスタンリー・キューブリックっぽくはない。よって、スタンリー・キューブリックを意識して作ったのはわかるけど、やっぱりスティーヴン・スピルバーグっぽい出来に仕上がった変な感覚の映画。
しかし、それにしてもこの映画、高校生の時に観たんだけれど、こんなに難しい内容だったんだな。ストーリーとしては完全にピノキオベースの話なんですが、セックスの話が途中で混ざっていたり、温暖化がどうとか記憶のデータベースがどうとか、感情を持った人間が宇宙人(設定では宇宙人ではなく高度なA.I.らしいけど、やっぱり宇宙人にしか見えない人達)の羨望の対象だったり結構ごちゃごちゃした設定が存在していた。すごく哲学的映画。
ただ、やっぱりそういうのはあんまり記憶に残らずに、最終的に感じるのは人間って勝手すぎるよなっていう事だけ。高校生の時はハーレイ・ジョエル・オスメントがかわいいなぐらいにしか思っていなかったんだけどね。確か、母とロボットの愛みたいな売り出しだったんだよ、当時。今見ると全然母親じゃねーじゃんコイツって感じなんだが。
自分に愛情を仕向けるようにしたのはモニカ本人なのに、必要なくなったら捨てるんだもんな。ひでえよ。それでも、なんかラストはそんなことなかったかのようにデイビッドと再会していたけど、そんな事許せないよな普通。
…うーん。
映画『A.I.』 – まとめ
この映画で人間がやっていることは誇張だってわかっているんだけれど、完全にこうならないとは言い切れない部分もあって、やっぱり人間が嫌いになってしまう映画です。
ふえぇぇえ。
ロボット3作品観たけど、なんとなく人間が嫌いになっただけでした。
次はロボットものじゃない映画を観よう。
ではでは。『A.I.』のレビューでした。
…ハーレイ・ジョエル・オスメントはやっぱりこのころが全盛期だなぁ。
A.I. - 感想・評価
公開日:2001年06月29日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画, SF映画
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント, ジュード・ロウ, フランセス・オコナー