遊星からの物体X_ジョン・カーペンター
遊星からの物体X - 映画情報
  • 公開:1982/06/25
  • 監督:ジョン・カーペンター
  • 出演者:カート・ラッセル, A・ウィルフォード・ブリムリー, キース・デイヴィッド
  • 製作国:アメリカ合衆国
  • 上映時間:1時間49分
MOVIE REVIEWS

遊星からの物体Xという映画をご存じでしょうか?1982年公開のアメリカのSF映画で原作はジョン・W・キャンベルの『影が行く』という小説です。

実はこの小説、1951年にも『遊星よりの物体X』というタイトルで映画化されています。

今回の映画の監督は1970年にアカデミー短編実写映画賞を受賞しているジョン・カーペンター。

ちなみにこの監督は4歳の時に観た1951年の『遊星よりの物体X』が強烈な印象で、映画製作を目指すきっかけになったと語っています。

自分が観た映画を再び映画化しちゃうんですから、すごい縁ですよね。

という事でそんな映画『遊星からの物体X』をレビューをしていくことにしましょう。

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映画『遊星からの物体X』 – ストーリー

遊星からの物体X
4.4

公開日:1982年06月25日
ジャンル:ホラー映画, ミステリー映画, SF映画
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル, A・ウィルフォード・ブリムリー, キース・デイヴィッド

南極を観測するアメリカ基地にノルウェー隊員が犬を殺そうとやってくる。人間を負傷させる事も厭わず狂ったように銃をぶっ放しまくってきた彼はアメリカの隊長に射殺される。一体何が。その理由を知るべく、ノルウェー基地まで行くとそこはすでに廃墟と化していた。残されたビデオとおぞましい形をした死体を持ち帰り検証すると、それは生物の体を乗っ取り増殖する宇宙の“生きもの”だった。一晩経ち、すでに“生きもの”は隊員の誰かに成り代わっているかもしれない。疑心暗鬼におちいった隊員達は仲間を疑い始め…

もし、あなたに喫茶店で『遊星からの物体X』ってどんな映画?あらすじは?と聞かれたなら…

野口明人
野口明人
この映画は一言で言えば、疑心暗鬼を利用したホラーなんだ。
野口明人
野口明人
約10万年前宇宙からやってきた宇宙船が地球の引力に引き寄せられ、落下してしまった。そこは南極で、10万年もの長い間氷の中で冷凍され続けたんだ。
野口明人
野口明人
んで、現在。南極を観測するチームが各国それぞれの基地を持って滞在している場面に移る。『南極料理人』って堺雅人が出てた映画があったけど、あんな感じ。
野口明人
野口明人
時々、資源補給の為に外部からアクセスしてきたりするけど、基本は複数人が南極の基地にこもって調査するっていうチームね。この映画の中ではノルウェーとアメリカが登場するけど、日本にもそういう部隊はある。
野口明人
野口明人
だけど、これは世界的なプロジェクトっていうわけじゃなくて、各国がそれぞれで研究しているってだけだから互いの国の基地がどこにあるのかは知っているけど、何をやっているかは知らない。
野口明人
野口明人
宇宙研究みたいなもんだね。アメリカとロシアがしのぎあったみたいな。お互いのプライドをかけて、他の国には負けられないみたいな。
野口明人
野口明人
だから、ノルウェー基地が廃墟と化していたことなんてアメリカは知らなかったんだ。真実を知るノルウェー隊員の生き残りがなぜ必死になって犬を撃ち殺そうとしていたのかなんて知る由もない。アメリカからすれば極寒の閉鎖された空間で頭が狂ってしまったようにしか見えない。言葉も通じないし。
野口明人
野口明人
逃げ回る犬に対して銃を乱発するノルウェー隊員。その一発がアメリカ隊員の足に当たってもなお打ち続ける彼をアメリカの隊長が撃ち殺す。残ったのは疑問とノルウェー隊員の死体と元気に動き回る犬だけ。
野口明人
野口明人
奇妙に思ったアメリカ隊はヘリコプターを持っていたからノルウェー基地に向かう。そこで見たものは廃墟となった基地、手首を切って自殺したと思われる凍った隊員。
野口明人
野口明人
そしておよそこの世のものとは思えない生きものの焼死体。それは顔が二つあり、ドロドロとした感触で気持ち悪いことこの上ないもの。
野口明人
野口明人
しかし、人類にとっては大発見になるかもしれない為、観測隊としてはそのまま放置することは出来ず持ち帰って解剖してみようと提案する。同時にノルウェー基地で記録されたと思われるビデオフィルムと異様にデカイ穴が発見されたので、もしかしたらこの穴から発見されたものがこの焼死体なのではと推測しつつビデオと焼死体を積んでヘリで基地に帰る。
野口明人
野口明人
基地にはそれぞれ役割を持った隊員がいてね、化学に詳しい人だったり、医学に詳しい人だったり、動物を操るのが上手な人だったり。
野口明人
野口明人
それで焼死体は医者担当の人が解剖する事になり、犬は動物担当の隊員が面倒を観ることになり、ビデオは通信技師などが観ることになった。
野口明人
野口明人
医者担当の人は興奮した感じで焼死体を解剖してみんなに見せた。こんな形をした生きものは地球にはいない。これは世紀の大発見だ。大事に保管しよう。
野口明人
野口明人
この時はまだ、事の重大さを認識してないし、南極研究と言っても正直な所、結構ヒマでゲームしたりお酒飲んだりして、時間を過ごしたりして、生き残った犬も自由に徘徊しててさ、人間の足にあまがみしたりして悪戯してた。
野口明人
野口明人
ちゃんと犬小屋に入れておいてくれよ。って動物担当にぼやいたりしてさ。夜になったから動物担当はその犬を連れて、他にも沢山いる犬たちの犬小屋へ入れにいったんだ。
野口明人
野口明人
そのすぐ後に犬たちが吠えだした。何事かと思って引き返してみると、犬の顔が裂けて、中からグロテスクな“生きもの”が出てきた。そして犬たちを襲い始めたんだ。動物担当は仲間を急いでよび、隊員たちはその化物を火炎放射器で焼いて撃退する。
野口明人
野口明人
なんだったんだあれは…。急いでビデオなどを見直し、原因の救命に取り掛かる隊員達。
野口明人
野口明人
そんなさなかに持ち帰った焼死体が急に動き出し、隊員の一人を飲み込み、その姿に変身しようとしている最中を発見してしまう。驚いた隊員達は、仲間だとわかりながらも火炎放射器を向ける。そして残してあった焼死体とともに完全に焼きさり、死骸を外に破棄した。
野口明人
野口明人
化学担当の隊員は研究の結果、ある一つの結果をコンピュータが叩き出したことを知ってしまう。“生きもの”は地球上の生物に同化し、擬態して増殖することが可能で、もし文明社会の中に“生きもの”が紛れ込んだらおよそ27000時間で全人類が“生きもの”に乗っ取られてしまうと。その事実に気が狂い始めたその隊員は無線機を壊し、ヘリコプターを破壊し、基地を完全に孤立させてしまった。
野口明人
野口明人
もしかしたらすでに“生きもの”は誰かに成り代わっているのかも。疑心暗鬼に陥った隊員は仲間に向けて銃を撃ちまくる。必死になって止める隊員達。彼は抑えつけられ、部屋へ隔離される。しかし、その事実を知ってしまったみんなの中にはすでに疑心暗鬼という魔物が住み着いてしまったのであった。
野口明人
野口明人
知らぬ間に同化されていく隊員たち。疑心暗鬼で同化されていないものまでも殺してしまう隊員たち。果たして“生きもの”と地球人の戦いはどうなってしまうのか…っていう感じのあらすじ。…ふう。熱く語ってしまった。
野口明人
野口明人
あれなんだよね。この映画1982年の映画なんだってさ。確かに映画に登場するコンピュータとかは昔の形をしているんだけど、でも映画の内容自体は全く古さを感じさせなくてさ、観終わった後にも、え?これ本当に1982年の映画?なんか違うの観ちゃってない?って確かめたぐらい。それだけ面白かったんだよ。本当に舞台設定とか上手だった。南極基地っていう閉鎖空間でそれほど大人数というわけでもない登場人物で。
野口明人
野口明人
最初の45分間なんてなーんも起こんないんだよ。最初にノルウェー隊員が撃ち殺されるっていうだけで、謎だけ残して後は特にホラー特有の『驚かし』みたいなのが全くない。それで、犬が化物に変わって隊員が“生きもの”に乗っ取られてしまった後でも、無駄にそのエイリアン的なものが登場してくるシーンって少ないんだ。ただひたすら人間の疑心暗鬼が続く。それがまさに恐怖を煽ってくる。
野口明人
野口明人
誰が“生きもの”かわからない。自分がいつ襲われるかわからない。その緊迫感が観ているこっちにも伝わってきて、わっ!と驚かされるよりも恐怖を煽ってくる。
野口明人
野口明人
それになんというか、救いもないわけ。もし“生きもの”を殲滅出来ても、連絡する手段も基地から抜け出す手段もない。一体これからどうすればいいのか?…というか、本当に“生きもの”はいなくなったのだろうか。自分一人になるまで安心できない。自分一人になったとしても、もしかしたらどこかで息を潜めてチャンスを伺っているだけなのかもしれない。
野口明人
野口明人
だって10万年前に冷凍されたものが今でも生きていけるのだから、“生きもの”の生命力は計り知れない。焼死体から仲間の同化が始まったわけだし、焼いた所でもしかしたら意味がないのかもしれない。この思考のループの恐怖ね。どこまで行っても恐怖が顔を覗かせる感じ。
野口明人
野口明人
本当怖い物は、“想像”なんだと思ったね。どれだけ怖い現実、怖いエイリアンを見せられたとしてもそれには限度があり、慣れがある。どれだけ怖いと思ったものでも見慣れたら怖くなくなる。でも、“想像”は決まった形をしていないから慣れることなんてない。果てしない。果てしない。ずーっと続く。それを最大限に活用したのがこの作品の面白さたる所以だと思ったのさ。
野口明人
野口明人
ネタバレになってもうしわけないけど、ラストはさ二人生き残るんだ。この二人ってのがにくいよね。一人だけ生き残る絶望感もあるかもしれないけど、二人生き残って、相手が本当に“生きもの”じゃないって確証がお互いに得られない状態で終わって、観ているこっちとしても“想像”が映画の続きを考えさせるわけ。こえーーー…。
野口明人
野口明人
文句なしに面白かったね。うん。あんまりホラー映画を観てこなかったから似ている映画がすぐに思いつかないけど、小説で綾辻行人の『Another』みたいな、あーゆー作品が好きなら、この映画が好きかもしれないね。
野口明人
野口明人
あの作品も自分らの中に誰か一人だけ死人が紛れ込んでいる。その死人がいる限り不幸が続く。その不幸を終わらせる為には、その死人を死に返せっていうテープを聞いてから、殺し合いが始まっちゃうわけで。あーゆー疑心暗鬼を取り扱うものが好きなら、きっとこの映画も気に入ると思うよ。

…そんな事を『遊星からの物体X』についてライオンコーヒーでも飲みながら喫茶店で話すと思います。バニラマカダミア味のコーヒーが好きです。甘党です。

『遊星からの物体X』の名言

周囲を暖めてやる。どうせ死ぬなら道づれだ。

吹っとべ!

『遊星からの物体X』のおすすめポイント

・人間の疑心暗鬼を見事に取り扱ったホラー。血などのグロテスクさや音響効果などの怖がらせよりも、その場を取り囲んでいる緊張感がとにかく怖い

映画『遊星からの物体X』 – まとめ

実は、遊星からの物体XというSFホラー映画を僕は知りませんでした。そもそもがホラーがあまり得意ではなかったのですが、前々回『シックス・センス』、前回『アザーズ』と軽めのホラーを観て「ホラーも中々面白いな」と思ったので、本格ホラーを観てみようと思い立ちました。

敬遠していたためにホラーに詳しくない僕はAmazonプライムでレビューが200件以上あるもの、評価が☆4.5以上のものという条件で検索しました。すると現時点では『シャイニング』と『遊星からの物体X』だけがヒットしました。『シャイニング』は過去に観た事があったので『遊星からの物体X』を観ることに決めたのです。

やっぱり「すげー!」でした。だてに200件以上もレビューがあるにも関わらず、4.5以上の評価をつけているおばけ作品ではございませんでした。たしかこのブログでは『シャイニング』はそれほど高い評価をつけなかった気がするんですけどね。どうだったかな。

恐怖ってのは絶対的存在ではなく、相対的な存在だと思うんですよ。結局、同じものを見ても、怖いと感じる人もいれば怖いと感じない人もいる。

では何が決めているのかと言えば、その人の頭の中の想像力。例えば僕は高所恐怖症なんですが、高いから怖いのではなく、この高い場所から落ちたらどうしようっていう想像力が働いてしまうから怖いんだと思うのです。

その怖いという想像力を見事にくすぐったこの作品。本当に素晴らしい。恐怖を押し付けるのではなく、植え付ける。そしてその恐怖が勝手に膨らんでいく。上手いなぁ…。本当に脱帽でした。

そんなわけでちょっと古い映画ですが、古いものは苦手と決めつけずにぜひ観てもらいたいと思います。

ではでは『遊星からの物体X』でした。

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遊星からの物体X - 感想・評価

遊星からの物体X
4.4

公開日:1982年06月25日
ジャンル:ホラー映画, ミステリー映画, SF映画
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル, A・ウィルフォード・ブリムリー, キース・デイヴィッド

遊星からの物体X
  • ストーリー - 90%
    90%
  • キャラクター - 80%
    80%
  • 演出 - 90%
    90%
  • 映像 - 80%
    80%
  • 音楽 - 75%
    75%
83%

映画レビューまとめ

人間の想像力とは今も昔も変わらない。変わらないから今見ても古さを感じない恐怖がここにはある。

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遊星からの物体X_ジョン・カーペンター
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