生きてこそという映画をご存じでしょうか。1993年に公開されたアメリカの映画なのですが、1972年に発生したウルグアイ空軍機571便遭難事故を扱った作品です。
この事故は乗客45人のうち29人が死に、16人が厳寒のアンデス山脈で72日間のサバイバルの末に帰還したというものなの。
奇跡だと騒がれた一方で、生存者が死者の人肉で飢えをしのいでいた事も騒がれました。
なので『生きてこそ』というタイトルが身に染みてくるとは思いますが、この出来事を監督のフランク・マーシャルはどのように扱ったのでしょうか。
フランク・マーシャルといえば、映画監督よりも映画プロデューサーの顔の方が有名な人で、スティーヴン・スピルバーグ監督の作品を追っていくとちょこちょこ目に留まります。
また、ジブリ作品の英語版でもちょこちょこ名前を見かけますね。
そんなフランク・マーシャル監督と、サバイバルが似合いすぎる男、イーサン・ホーク主演の映画『生きてこそ』のレビューをしていくことにしましょう。
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『生きてこそ』について
公開日:1993年01月15日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画, スリラー映画
監督:フランク・マーシャル
出演:イーサン・ホーク, ヴィンセント・スパーノ, ジョシュ・ハミルトン
冒頭にも書きましたが、この映画は1972年に実際にあったラグビーチームによるウルグアイ空軍機571便遭難事故というアンデス山脈に衝突・墜落した航空事故を題材にした映画です。
開始20分ほどで飛行機が墜落するのですが、その光景がかなりリアルな感じがして、恐怖でした。
虫の知らせもなかったと登場人物は言っていましたが、一瞬にして死に直面する事態というのは自分にも充分起こり得ること。そのことを実感して怖くなりました。
この映画の見所は、いかにして生き抜くかという事。
墜落から70日間以上も発見されず、飛行機に残されたものだけで生活しなければならない。
当然、水や食料は尽きてきます。そして冬のアンデス山脈は夜には-40度以下にもなる極寒の地。日が経つにつれ死亡者も増えていきます。
途中で見つけたラジオで聞かされた捜索活動中止の事実。
助かるためには山を越えて遥か西の方にあるチリを目指さないといけない。そこまで歩いていくにも体力は必要。でも食べ物はもうほとんどない。
そんな彼らに厳しい決断をしなければならない時が来ます。
そうです。
死体を食べるのです。
食料はもうそこにしかない。しかしそれはかつてのラグビーのチームメイトだったり、応援するためについてきてくれた家族。
その肉を食べないと生き残れない。
僕は無宗教なのでよくわかりませんが、彼らが通っていた学校はカトリック系の学校だったらしく、神さまや祈りという言葉がよく出てきます。
その教えに背いてでも生き残らなければ意味がないという人間の生への執着に僕は感動しました。
そしてみんなで誓いを立てるのです。
もし自分が先に死んだら、必ず自分の死体を食べてくれ。食べなければ化けて出るぞと。
追い込まれた状況の中で緊張の糸が張りつめていて、仲間割れなども起こっていたのですが、その時の誓いの儀はみんなの気持ちが一つにまとまっている気がしました。
友情と言うのは本当に究極の環境に置かれてこそ初めてわかる。
まとめ
この映画DVDの特典映像として、遭難した本人へのインタビューが付いてくるのですが、そのインタビューも考えさせられるものがありました。
実際の事故をもとに作った映画なので、結末はわかってしまうので、エンターテイメント性は低いですが、ヒューマンドラマとして自分の命について真剣に考えるきっかけになるいい映画だと思いました。
良ければ『生きてこそ』を観てみてください。
ではでは。
生きてこそ - 感想・評価
公開日:1993年01月15日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画, スリラー映画
監督:フランク・マーシャル
出演:イーサン・ホーク, ヴィンセント・スパーノ, ジョシュ・ハミルトン