- 公開:2002/7/20
- 監督:アーウィン・ウィンクラー
- 出演者:ケヴィン・クライン
- 製作国:アメリカ合衆国
- 上映時間:2時間5分
海辺の家という映画をご存じでしょうか?ロッキーシリーズのプロデューサーとして知られるアーウィン・ウィンクラー監督が2001年に発表したヒューマンドラマです。
何よりもまずブリーフ姿のおっさんが立ちションしているシーンから始まることに度肝を抜かれますが、そこからこんなにも心揺さぶる物語になっていくとは思いませんでした。
予想していたよりもずっといい映画で、家族者に弱いあなたにぜひオススメの映画『海辺の家』をレビューしていきたいと思います。
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映画『海辺の家』 – ストーリー
公開日:2001年10月26日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ヘイデン・クリステンセン, ケヴィン・クライン, クリスティン・スコット・トーマス
ネタバレ注意『海辺の家』のあらすじまとめ
海辺の家に住むジョージはブリーフ姿で外に出て、海に向かって立ちションをしたり、隣人の車におしっこをかける犬を放し飼いしているちょっと変わった人間。
そんな彼も20年間、建築士として同じ会社で働いていた。しかし、時代はコンピュータグラフィックを使った建築デザインで、パソコンなどを使わず模型を使って作り上げる彼の技術は古臭いものになっていた。
それでもパソコンを使わず働き続けていたが、ついに彼は突然解雇されてしまう。彼は自分が作った模型をぶっ壊し、会社を後にしたが、そのとたんその場で倒れてしまった。
彼の病気はガン。医者も治療をしましょうと言わないぐらい病気は進行していた。
彼はそこで自分の人生について思い返し、あるひとつのことをやりとげようとしていた。それは自分の手で自分の家を作ること。離婚した妻と妻に連れて行かれた息子のサムの元を訪ね、サムを夏休み中預かると宣言した。
サムはヤク中でパンク好きの息子。髪の毛は青く染め、顔中ピアスだらけで新しい家族の家でも手に負えない様子。新しい夫も完全に諦めており、そんなサムをジョージがひと夏でも引き取るといったことには誰も反対しなかった。
しかし、当の本人サムは夏に友人達とヤク漬けのバケーションを凄そうとしていた為、ジョージの提案に抵抗する。それでもジョージは全く折れることはせず、車のガレージで二人の生活が始まった。
無理やりつれてこられたサムはふてくされ、崖で海を眺めていた。海に飛び込むつもりなのか?と聞くジョージ。突き落としたいと答えるサム。すると突然ジョージは自ら崖を飛び降り海に落ちた。
慌てるサム。急いで海の下へ駆け寄る。ジョージは笑って海から上がってきた。
完全にジョージのペース。それからもジョージはサムが何もせずに日向ぼっこをしているのを横目にマイペースに自分の家を壊し始めた。家を作るためには今の家を壊すことからはじめる。
時々別れた妻が手伝いにやっては来たが、それでもサムは何もしない。たびたびぶつかるジョージとサム。ジョージがムカツクからピアスを外せといえば、サムはイビキがムカツクから息を止めてやろうかという。
ヤクをトイレに流したことに激怒したサム。それでもジョージは負けじと息子と向き合おうとする。
「今日以外のことは全部謝る!だが今日は違う!」
「いまさら遅いんだよ!」サムが反論する。
「親父が俺に何をしたか。俺がどういう仕打ちを受けたか話してやる」ジョージはサムに語りかける。
「親父はいつも自分より下に俺を置いた。虫ケラみたいな親父よりも小さい人間にしようとした。いい成績をとってもお前は運動がダメ。髪を切るとまだ長すぎる。坊主頭にすれば、お前はサイコかといわれた。そして口で負かせられないとわかると…」
「サム、俺は殴らない。絶対に。幸せになって欲しいんだよ。今のお前は幸せじゃない。俺と一緒でも母さんといても、一人でも、どこにいても。今のお前はまるで昔の俺だ。お前のその目も、態度も何もかも昔の俺そのものだ。死んでるのと同じだよ!」
「いい事を教えてやる。人生はゆっくりと変わっていく。いつのまにか気づかないうちに変わっている。あまりにゆっくり過ぎて人生が良くなるか悪くなるかわからないんだ。だが、思いがけないことで一瞬のうちで変わることもある。俺がそうだった」
「一緒に家を建てよう」そういい終わるとジョージは再び家を壊す作業に戻っていった。
「ちくしょう…」サムはそういって涙をぬぐい、何かを考えた。
そして、「トイレに流された分のお金を弁償しなきゃ。1時間10ドルで手伝う」とジョージの家作りを手伝うようになった。
徐々に出来上がっていくジョージの家。ジョージの元妻も毎日顔を出すようになり、一生懸命家を作る元夫に好意を寄せるようになった。手伝う人々の数も増え、元家族との絆も深まっていく。
サムも素直になりかけていた。ヤクも二日やっていない。自分を変えるってどうやればいいの?とサムはジョージに告白する。
「親父に銃を突きつけたことがある。本当の話だ。親父は酔いつぶれてて、肉が焼けていないとお袋にどなり散らしていた。俺は銃を取り、やつのコメカミに当てた。でも結局撃てなかった」
「俺なら殺してる」サムは言う。
「そうすべきだったかもしれない。そしたら酔っ払い運転でお袋を事故死させることもなかった。相手の女性もな。後部座席の女の子は大怪我」
「殺せばよかったと思う?」
「俺が親父をか?…愛してたんだ」
「変だよ」
「あぁそうだな」
二人は眠りについた。
それから、また家作りに励み、サムは時々弟達を映画に連れて行ったり、一緒にゲームをやったりしてあげた。それは今までなかったことだ。サムも変わろうとがんばっているんだ。
すべてがいい方向に向かっている時、ジョージは元妻とサムにガンのことを告白した。
「クソ親父!あんたはクソ親父だ。クソったれ!最初から死ぬって知ってたんだな。」
「人はみんないつか死ぬ。その時が来ただけのことだ」
「俺にウソついてた」
「あぁ、そのほうが俺達のためだと思った」
「それじゃぁ今度のことは全部、俺をここに連れてきたのも自分のためかよ。そんなの自分勝手すぎるだろ!俺に好かれたくてここに連れてきたんだろ!」
「いや、違う。お前に好かれようと思ったんじゃない。お前に愛されたかったんだ…」
「あぁ、そうかよかったな!あんたの計画は成功だ!」サムはそう言い放ちガレージを飛び出した。
次の日、家作りを続けるジョージのもとに市の監査官がやってきた。近所の方が建築差し止めを申請されたとの事。屋根の高さが市の基準を超えているからと。
毎日犬のイタズラにイラっとしていた、近所の男が嫌がらせに申請してきたのだ。
このままでは家作りが出来ない。しかし、そんな忠告は聞かずに元妻は家作りを続けた。サムの姿はそこにはない。
かえってこないサム、差し止めを食らっている家作り、ジョージの病気はどうなってしまうのか…。
『海辺の家』の名言
人生はゆっくりと変わっていく。いつのまにか気づかないうちに変わっている。あまりにゆっくり過ぎて人生が良くなるか悪くなるかわからないんだ。
お前に好かれようと思ったんじゃない。お前に愛されたかったんだ
『海辺の家』のおすすめポイント
ストーリー的にはただ家を作るっていうだけの話ですが、なぜかグッと来るものがあります。家を作ることで、ジョージは家庭を立て直したかったのです。
そのとおりに、家が徐々に出来上がるにつれ、ジョージとサム、そして元妻の関係性が素晴らしいものに成っていく。
そして、この映画はところどころ息をのむほど美しい映像と音楽がちりばめられている点もおすすめです。まぁ、あからさまにお涙頂戴というシーンではなく、ほんのり美しい映像に揺られてほろりと涙を流す作品って感じですね。
映画『海辺の家』 – まとめ
ところどころにいい場面が多い映画です。家族ものに弱いあなたはぜひ見てみてくださいませ。そしてひとつひとつに意味のあるシーンの構成も楽しんでください。
この映画、家を作るだけの話なんですが、伏線をいくつかはってあって、最後に綺麗にまとまる所がいい感じです。
思ったより深い映画でビックリでした。
そして、つかみもばっちりです。
オープニングでジョージがブリーフ姿で海に向かって立ちションをしているところからこの映画は始まるなんて、海外ドラマ『ブレイキング・バッド』を思い出してしまいました。
ではでは、『海辺の家』でした。よかったらぜひ。
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海辺の家 - 感想・評価
公開日:2001年10月26日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:アーウィン・ウィンクラー
出演:ヘイデン・クリステンセン, ケヴィン・クライン, クリスティン・スコット・トーマス