死んでしまったら私のことなんか誰も話さない - 映画情報
- 公開:1995
- 監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
- 出演者:ビクトリア・アブリル,ピラル・バルデム,フェデリコ・ルッピ
- 製作国:スペイン
- 上映時間:1時間44分
MOVIE REVIEWS
死んでしまったら私のことなんか誰も話さないという映画をご存じでしょうか。今まで何度も繰り返してきた導入ですが「これまでで一番ご存じない映画」かと思います。
なぜなら1995年公開のスペイン映画なのですが、日本ではDVD化されていないのです。
1997年に日本の映画館で上映されましたが、それを観ていなければVHS、つまりビデオテープで観るしかありません。
しかし、映画通の間ではこの映画はもっぱらの評判でなんとかビデオを手に入れて観てみました。アグスティン・ディアス・ヤネスという監督の作品です。
そして、観てみると…。
きょ、強烈!
ここまでタイトルに負けていない内容だったとは。開始10分ぐらいで度肝を抜かれました。
タランティーノより“黒い”映画とパッケージに書かれていましたが、タランティーノとは全然ジャンルが違うような気がしないでもありません。
犯罪映画ではあるんですけどね。
戦うかっこいい女って言うよりも、どうしようもなく弱かった女性が強くなっていく映画でした。
ちなみに原題のタイトルは『Nadie hablará de nosotras cuando hayamos muerto(Nobody Will Speak of Us When We’re Dead)』なので「私」ではなく「私たち」みたいです。
観終わってから調べてみて、あぁ、なるほど。そっちのほうがしっくり来るわと思いました。主人公と義母の話なんですよ。
…おっと、冒頭からあーだこーだ言っても仕方がないので、とりあえず映画『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』のレビューをしていくことにしましょう。
あ、一応言っておきますが、結構グロいシーン多い映画なので、そういうのが苦手な人は注意が必要です。
それでも観て欲しいとは思いますが…。
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死んでしまったら私のことなんか誰も話さない – あらすじ
公開日:1995年
ジャンル:犯罪映画, ヒューマンドラマ映画, スリラー映画
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ビクトリア・アブリル, ピラル・バルデム, フェデリコ・ルッピ
闘牛士の夫を持つ主人公、グロリアは3年前、夫が牛に突かれて植物人間になってしまう。その介護に疲れ酒浸りになりすべてを投げ出してメキシコへ向かう。そこで偶然、犯罪組織の秘密が書かれた手帳を手に入れ、スペインに戻った彼女は大金を手に入れようと画策するのだが…
映画名作レビュー戦記シネマネオン!-死んでしまったら私のことなんか誰も話さないの巻-
前回までのシネマネオンは…
館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見 放題(たちみ ゆきみつ)。「今の時代にビデオデッキはハードルが高いよな」と言いながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』を観ようとしたのだが…
死んでしまったら私のことなんか誰も話さない -内容紹介-
ち、畜生!なんだったんだ。あの赤い顔の男は…。何かを思い出せそうだったのに、映画館から追い出されてしまった。『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』とは一体どんな映画なんだ…。
一言で言えば、“精神が弱い女性の奮闘記”だな。アグスティン・ディアス・ヤネス監督の1番目の作品さ。
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。レビューロボ、シネマネオンだ!
だから誰やねん!誰もオマエの事なんて呼んでないぞ!
まぁまぁ、落ち着きなさい。今の君の体ではきっと映画館から追い出されてしまうだろう。アレに非常に似てるからね。アレに。
アレとはなんだ!僕は自分が誰だか思い出せないんだ。
君は『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』を観たかったんだろう?
そうだった。『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』を観れば何かを思い出せそうなんだ。
では、私と合体しなさい。期間限定レンタルロボ貸出中、今だけ非常にお得だよ。
ええい。やってみればわかる。君の持っているそのスマホのアプリのボタンを押せ!
いつの間にこんなアプリが!ちくしょー!!こうなりゃヤケだ!ポチッと!
アジャラカモクレン、死んでしまったら私のことなんか誰も話さない、テケレッツのパー
うわああーー!『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』の映像が頭のなかに広がっていくぅぅぅぅうう!!
死んでしまったら私のことなんか誰も話さない -解説-
自分が不幸だと、社会のせいにしたり、お酒に逃げたりと、現実逃避する事もあるよな。
でも幸せになりたいなら、自分が変わらないといけないって事を教えてくれるのが今回の『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』だ。
なんか説明くさいタイトルだな。これって日本が勝手につけた邦題?たまにあるじゃん『
あなたになら言える秘密のこと』みたいな付け方するやつ。
いや、今回はスペイン語の『Nadie hablará de nosotras cuando hayamos muerto』を訳しただけのタイトルだ。
へー。結構珍しい名前のつけ方するな。ってか、スペインの映画なのか。あんまりないよね?
いやいや、君がさっき言った『あなたになら言える秘密のこと』だってスペイン映画だし、『
アザーズ』や『
蝶の舌』もスペイン映画だよ。
あー、意外とこのサイトでもスペイン映画取り上げてるんだな。ちなみに今回は何系?
何系って聞かれると難しいけど、犯罪映画のようなヒューマンドラマのような。女性が戦うって言うとちょっと語弊はある。悪の組織と戦わないでもないけど、どっちかと言うと自分と戦う感じの映画だな。
なんか複雑そうで話が見えてこないんだけど、とりあえずストーリーをちょっと教えてくれよ。
始まりはこうだ。闘牛士が祈りを唱えているシーンがちょこっとだけ流れてすぐに、3年後のメキシコ。男4人が何やら取引をしているシーン。
メキシコ?闘牛士って言えばスペインって感じするけど、メキシコが舞台なの?
続きを聞けばわかる。4人は麻薬取引を行っていた。2人が会話をしながら売春婦に処理してもらい、2人はお金を数えたりしてね。
そのうち、そのお金が偽札だという事がわかる。実は2人は警察でおとり捜査中だったのだ。そのうち売春婦を人質にもみくちゃになるけれど、警察2人と1人の男は死んでしまう。
残った男は売春婦も殺そうとするけれど、その時電話が鳴る。そのスキに売春婦はピストルを取り残った男にむけると、男はその場を逃げ出す。
売春婦は死に際の警官の看病をしている時にとあるファイルを渡されるんだ。ある組織のマネーロンダリング元のリストだ。
マネーロンダリングって「資金洗浄」だっけか。
そう。警察官はおとり捜査ではなく、マネーロンダリングをしている場所に忍び込んでお金を盗むつもりだった。盗まれても元が悪いお金なら、警察に届けられないからな。
その場に駆けつけた警官に捕まり、本国スペインへ送還される売春婦。実はこの売春婦が今回の主人公。名前はグロリア。
ぶっちゃけ、最初は完全にモブキャラだと思っていたからビックリしたわ。スペインに戻ったグロリアはとあるアパートに戻る。そこには寝たきりの旦那とその母がいた。
最初のシーンで闘牛士が出てきたでしょう。どうやら3年前、彼は牛に突き飛ばされ植物人間になってしまったらしい。グロリアはその看病をしていたけれど、疲れてしまって酒浸りになり、幸せを求めてメキシコに逃げ出していたのだよ。
3年間も失踪していた義娘に深く問いたださない義母フリア。このお義母さん、一見素っ気ない態度だけど愛情に溢れたいい人なんだ。
3年間、嫁の代わりに家のローンを払い、息子の看病を続けていたフリア。グロリアを「立ち直るんだよ」と優しく受け入れる。
フリアは家で学習塾を開き、子どもたちに勉強を教えながら小さな稼ぎでなんとかやりくりしていた。そんな中、グロリアはメキシコで手に入れたリストを元に近くの毛皮店に目をつける。
ほほう。ねずみ男みたいな事をするんですね。義賊になるわけだ、グロリアは。
その毛皮店の上の階に部屋を借りる事にしたグロリア。しかしそのためにはお金が必要だったのだが、義母がお金を隠している場所を盗み見していて、そこからお金を拝借してしまう。
デッカい見返りの為の必要投資とも言えるけれど、黙って盗むのは良くない…。
アパートの床をドリルでくり抜き、毛皮店に見事潜入。大金をバッグに詰めるグロリア。しかし後ちょっとの所でヘマをし、その場から何も得ずに逃げ去る。
自暴自棄に陥った彼女はバーに入り、フリアと約束していた禁酒を破った。フリアが必死で貯めたお金すべてを酒に変え、ベロンベロンになって家に帰った。
家で寝ている植物人間の夫を見つめてボソっとつぶやくグロリア。「死んでちょうだい」
フリアはそれをすぐ横で聞いていた。グロリアを平手打ちすると、グロリアはローンで払うはずのお金を使ってしまったと正直に告白。次の日、フリアはそれでも優しく「自立しなさい」と求人広告を渡す。
お義母さん、いい人過ぎるだろ…。自分がコツコツ貯めていたお金を一晩で息子の嫁に飲まれてしまったというのに。
それだけでなく、高校も出ていないグロリアの為にフリアは授業料を払い、願書を出してくれていた。今の世の中が資格もなしに職に就くのが厳しい事を知っているのだね。
職業案内所に行くグロリア。しかしそう簡単に採用されるわけがない。やはり資格が足りないと門前払いをくらい、それでもめげずに他の場所に求人に行けども、売春を促されたり、断られる度にお酒に逃げてしまう。
一方その頃、マネーロンダリングのリストを失った悪の組織の親玉は、逃げ帰った男にグロリアの暗殺を命じる。
なるほど。ここで最初の設定が効いてくるわけか。
しかし、その逃げ帰った殺し屋エドアルドは迷っていた。今まで数十人と殺して来たが、最近なぜか人を殺す度に、娘の病気が悪化している気がする。これは神が何かを告げているのではないのか。そんな事を考え始めていたのだ。
ふむ。それであれかな。殺し屋の人が助けてくれる感じなのかな。
何度も仕事を見つけようとしても失敗してはお酒を飲み潰すグロリア。しかしそんな姿を見ても、友人には良い嫁と褒めるフリア。グロリアは自分の情けなさを呪い、猟銃を手にもう一度毛皮店を襲撃する。
とまぁ、こんな感じのストーリーです。
いや、ここから先を話してしまうと映画を観る楽しみがなくなってしまうと思うからな。
えー…。教えてくれよ。この映画、日本じゃDVD化されていないんだろ?ビデオデッキなんて持ってないよ。
そうなんだよな。この映画、日本で公開したんだけど、ビデオしか出てないんだよ。今現在DVDが出てないってことはきっともうBlu-rayとかでも出ないだろうな。
それならなおさらストーリーがどうなったか教えてくれよ。
うーむ。じゃあ、ネタバレのコーナーの所で続きを話すとして、まずはこの映画の魅力を伝えておこうと思う。
ちょっとスクロールしてもらえれば、すぐにわかるよ。
ふむ。それでは先にこの映画の魅力を教えてくれ。
まぁ、なんと言ってもフリアさんだろうな。むっちゃ優しいんだ。日本じゃ嫁姑問題なんてよくよく話題にあがるけれど、無愛想ながらもグロリアに対して愛情を持って接してくれる。
確かに、ここまでのストーリーを聞いてみてもフリアさんいい人感半端ねえ。
それだけじゃなく、周囲の人間もグロリアに立ち直って欲しいと願っている。しかしグロリアは失敗ばかりで、すぐにお酒に逃げてしまう。もちろん夫の看病に疲れたという同情すべき点もあるのだけれどね。それでも彼女はあまりにも弱すぎるんだよ。
学歴もなければ若くもない。そして自分で生きようとする意志が弱いグロリア。そんな女性があるきっかけで強くなっていくという成長物語なんだ。
だからそこはネタバレコーナーで話すから。
でも、グロリアの酔っ払っていない時の必死に立ち直ろうとする姿、特に応募条件が赤い服ってあって、自分の服を洗面台で赤く染めているシーンとか、なかなか胸を打つものがあるよ。
ちなみに
この映画には続編も存在する。『
4人の女』というやつ。まぁ、日本未公開だったけど、DVD化はされているよ。
まぁ、なぜかグロリアはこの映画のラストの13年後には窃盗集団になっていたんだけどね。
さらにこれはちょっとした豆情報だけど、フリア役を演じたピラール・バルデムはハビエル・バルデムのお母さんなんだってさ。
パイレーツ・オブ・カリビアンのサラザール役とか、『夜になるまえに』の主役、『ノーカントリー』でアカデミー助演男優賞を初めてスペイン人で受賞した俳優さんだよ。
へー、その映画も観てみたいな。観なきゃいけない映画が沢山だ。
そう考えると、ぜひ動画サービスにはこの『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』も配信して欲しいものだね。
ホントにそう。やっぱり今の時代にビデオデッキはハードルが高いよな。
アジャラカモクレン、レビューラビュー、テケレッツのパー
死んでしまったら私のことなんか誰も話さないの批評を終えて
今の時代にビデオデッキはハードルが高いよな!…ん?あれ?ここは?あ、ポスターの前か。
あー、今回は『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』推しなんだな。このポスター貼って、次の試写会の会場に行く前に、ささっと限定20杯の燻製ラーメン食べに行かなくちゃ!あー。腹が減ってきたなぁ。急がなくっちゃ!!
それにしても、この「映画名作レビュー戦記シネマネオン!」とかいう知らない映画の前売り券を支配人にもらったけど、どうしよう…。一緒に見に行ってくれる人なんていないしなぁ?。
死んでしまったら私のことなんか誰も話さないの名言・心をざわつかせた言葉
一体どうしたの?舌がないの?黙って出て行って3年間音沙汰なし。説明してほしいわね。
神様とけんかしてるの?
貧乏は王国を取り戻す
「神は不公平です。神も同罪。聖書にある。復讐もした。結構汚い」「大人の神と子供の神は違うんだよ」
「ねえ。世の中は厳しいところなのよ。強くなって」「頑張る」「強くなるのよ。とても強くね」
あなたの魂の自由は自分で守るのよ。
黒板の文章は興味深い。幸福になれると思って行動しても、それが幸福かどうかわからないことがある。希望を実現したいと誰もが思う。でも道は相当険しい。
動画視聴で『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』を実況・解説!
- 0:02:05頃
ん…!?これはどこの国の映画なんだ!?メキシコ?スペイン?
- 0:07:30頃
えー!突然の修羅場!
- 0:08:10頃
うぉぉ…。こえぇ…。ボールペン一本で人殺しちゃったよ。
- 0:09:55頃
このモブキャラっぽい女性が主人公なのか!?
- 0:15:50頃
おお。やっぱりこの人が主人公なのか。なんか最初の登場よりもだいぶ綺麗な人だな。
- 0:18:35頃
お姑さんって書き方初めてみた。お義母さんではないんだな。
- 0:23:00頃
無愛想だけど、むっちゃこのお姑さん温かい人だ。
- 0:30:55頃
お財布盗まれたら、こんなにすぐに気がつくものなの?僕が盗まれたときは1時間ぐらい気が付かなかったけど…。
- 0:34:15頃
頼む。このお姑さんの為に、不幸にだけはならないでくれー。
- 0:36:35頃
もう、このお姑さんが主人公だよ。本当にいい人だわ。頼むから悲惨なエンディングだけはやめてくれ。
- 0:38:20頃
映画って、こういうバーで観るっていう所もあるんだな。それにしても『狂人の戦争』って。
- 0:41:50頃
どうやって盗むのかなって思ったら、結構なルパンで笑ってしまった。工事現場を活用するとかすごく頭がキレるな。
- 0:43:35頃
くそー!!マジかよ。犬にさいなまれるとは…。
- 0:48:55頃
マフィアこえぇ。数秒で人を亡き者にして、埋めたぞ。
- 0:53:00頃
なんで、この主人公はこんなにも弱いんだ…。ちくしょう。お姑さんがかわいそうだぜ。
- 0:59:25頃
そうか…。資格を持たないものには社会は冷たいのだな…。貧乏を抜け出すのも大変だ。それにしてもこの人、いっつもなんか食べてるな。
- 1:09:40頃
どうしてコイツは、いっつも飲んじゃうんだよ…。お姑さんとの約束はどうした。くそう。世知辛いぜ。
- 1:13:30頃
酔っ払いながらも、しっかりと闘牛士のケープの羽織り方をレクチャー出来る辺り、旦那さんの事を愛していたのがわかる。わかるだけに辛い…。
- 1:14:25頃
周りにこんなにいい人ばかりいるのに…。アルコール中毒というのは、厳しいものだな。
- 1:14:45頃
すごく印象的なシーンだな。魚がグロリアと同じ顔してる。
- 1:15:15頃
「このシーンに意味があるのだろうか」と思ったけど、後々効いてくるみたいだな。
- 1:20:40頃
神父さんというのは、本当に器がデカいのだな…。殺し屋の話を無表情で聴けるなんて。
- 1:26:35頃
なんてこった…。このおっちゃん、ちょっとずつ改心してきたというのに…。
- 1:28:25頃
…くおぉ。これは痛い。
- 1:29:25頃
最後に主人公、よくやった!クーロって誰だと思ったら闘牛士なのか。
- 1:32:35頃
この友人、ただの派手なおばちゃんかと思ったら、すごい友達想いじゃないか。
- 1:35:50頃
な、なんちゅう捨て台詞を…。いやな予感。
- 1:39:20頃
あぁ…。こうなってしまったか。
- 1:40:20頃
あ。オスカー・ワイルドの文章だ。
死んでしまったら私のことなんか誰も話さない – オチ・エンディング・ラストの感想・考察
ここから先はネタバレを含む場合がございます。まだこの作品を観ていないあなたはこのままページを閉じるか、覚悟の上でお読みください。
by シネマネオン
やあ。ネタバレの時間がやってきましたよ。
たださ、この映画、Wikipediaも日本語ページはないし、映画サイトで紹介されているあらすじも、私が観た映画と結末が違うんだよ。なんでなんだろ…。
グロリアは組織が経営する毛皮商に強盗に入る。そのグロリアを追い詰めるエドアルド。だが、彼女を殺すその日になって、それまで原因不明の熱で寝たきりだった彼の一人娘が死んだという知らせが。エドアルドは尾行の車を止めて、神父を呼び止め、しばらく話した後自殺した。
引用:KINENOTE – あらすじ
このサイトでさ、暗殺者のエドアルドが一人娘が死んだという知らせを受けて自殺したってあるじゃん。
でもさ、私が観た映画の内容は違っている。ここからはさっきのストーリーの続きだ。猟銃を持って毛皮店に押し入るグロリア。その間に確かにエドアルドは神父に自分の悩みを打ち明けてはいる。
しかし、打ち明けた後にグロリアを捕まえに行くんだ。グロリアは猟銃を持って強盗し、見事ボストンバッグ一杯に入った現金を持って歩いている所をエドアルドに捕まってしまう。
エドアルドに部屋に連れて行かれ、そこで待ち受けていたエドアルドの仲間に椅子に座らされるんだが、その時エドアルドはその仲間を撃ち殺そうとするんだ。
あぁ。確かにあらすじに書かれている状況とズレてきているね。
エドアルドの仲間は娘は死んではいないって告げていたし、エドアルドが拳銃の引き金を引いても弾は出てこなかった。エドアルドの仲間はエドアルドが裏切るのをわかっていたんだ。最近神様がなんだとか言っていたからね。
そして仲間に逆に撃ち殺されてしまったエドアルド。残ったその仲間はグロリアにファイルの場所はどこだと拷問を始める。
なんてこったい…。エドアルド死んでもうたん。
しかし、どれだけ殴っても口を割らないグロリア。男はグロリアの膝にコルクスクリューを突き刺し、グリグリと埋め込んでいく。
泣き叫びながらも「今日は飲んでいないのよ!」とその場にあったボールペンを相手のクビに突き刺すグロリア。
夫の横で断酒出来たみたいと伝え、グロリアは周りに笑われながらも男性の職種と思われているトラックの運転手として働くようになった。膝を引きずりながらもね。強く生きるようになった。
それを喜ぶフリアは、友人からお金を借りた。返せないのよと断るのだけれど、それに嫌な顔せず小切手を切ってくれる友人。
なんか出てくる人みんな温かい心の持ち主なんだな。
フリアはグロリアに読み書きを教え、強く、強くなるのよと働きに出かけるグロリアを見送る。
元気にバスに向かうグロリアの背中にフリアは一言「私を忘れないで」と言った。疑問に思いながらもバスに乗り込み職場へ向かうグロリア。元気そうにフリアに手をふる。
グロリアは精一杯働き、家に帰るとアパートの周りはなぜか人だかりが出来ていた。
フリアは寝たきりの息子とともにガス自殺をしていた。グロリアに向けた手紙には「いとしい娘へ」と始まり、私たちには未来はないけど、あなたはちがう。家のローンはすべて返済が終わった。仕事もいいけど勉強もしてね。膝の検診も行くのよと書いてあった。
な、なんでやー…。なんでフリアさん死んでもうたんやー。
グロリアは就活の為に赤く染めた服を、真っ黒に染め、喪に服した。そして高校に入り直し、勉強を始めたのであった。おしまい。
あぁ…。ありがとうございました。最後は衝撃的なラストでした。
…という事で、ラストはこんな感じでフリアさん死んでしまうのだけれど、一応グッドエンディングを迎えます。
正直な所で言えば、人が死ぬラストは好きではないので、悲しかったですが、フリアさんにも考える所があったのでしょう。友人から借りたお金はきっとローンを全部払う為に使ったんだと思います。
最初から最後まで娘を思うフリアさんに痛く心を打たれました。グロリアも最後の方は、見違えるようにかっこよくなったし。うん。いい映画でした。
まぁ、やっぱりフリアさんには死んで欲しくなかったですけども…。
死んでしまったら私のことなんか誰も話さないのような映画・似てる作品・おすすめ
公開日:2005年10月21日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:イザベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー, ティム・ロビンス, スヴェレ・アンカー・アスデール
やはり続編と呼ばれる『4人の女』を勧めておきたかったのですが、まだ観ていないので、同じスペイン映画から『
あなたになら言える秘密のこと』を。スペイン映画って基本的になんとも言えない暗さを漂わせますよね…。
レビューまとめ
ども。野口です。
『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』のレビューをしていきました。
いやー、実はこの映画のタイトルを観たときは『死ぬまでにしたい10のこと』的な内容を想像していたんです。
死ぬってタイトルに入っていますし、なんとなーく重たい話題だけれど愛に溢れている感じの映画を。
ですが、開始早々ドンパチ始めるし、首にボールペン刺さるし、主人公がどれかわからないしで度肝を抜かれました。
しかし徐々に映画を進めていくうちに、想像とは違った形だったけれども愛に満ち溢れている映画だなぁと感じるようになりました。
これは本当に女性を応援している映画なんだなぁ?と。女性の力強さと優しさを精一杯表現している映画だなと。
あまりスペインの現状はわかりませんが、映画を観る限りでは、男性よりもだいぶ女性の方が社会的地位が低くて、大変な印象を受けました。
それでも幸せになりたいと願う主人公は紆余曲折をたどりましたが、最後は強い女性に変わっていく。それとともに、女性の弱さを充分に理解し、決して見放さないお姑さんの存在感。
これはぜひとも、様々な事に負けそうになっている人に見て欲しい映画です。
最初観終わった時は、なんじゃこりゃー!って思いましたけどね、何回か観直していくと、あれ…すごくいい映画なんじゃない?なんでこれDVDになっとらんの?と思うようになりました。
多分、手に入れるのは難しいかもしれませんが、探せばレンタルとかで見つかるはずなので良かったら『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』を観てみてくださいませ。
それでは、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
野口明人
あ、最後に『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』のレビュー点数です↓
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死んでしまったら私のことなんか誰も話さない - 感想・評価
公開日:1995年
ジャンル:犯罪映画, ヒューマンドラマ映画, スリラー映画
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
出演:ビクトリア・アブリル, ピラル・バルデム, フェデリコ・ルッピ
死んでしまったら私のことなんか誰も話さない
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ストーリー - 86%
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キャラクター - 94%
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演出 - 89%
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映像 - 76%
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音楽 - 77%
84%
映画レビューまとめ
あまり映像的な効果や音楽の存在感は感じられなかったけれど、とにかく女性の弱さと強さと優しさがひしひしと伝わってくる映画。主役のビクトリア・アブリルの演技力はすごいし、フリア役のピラール・バルデムの存在感もすごい!ストーリーも繰り返し観る度に新しい発見があるお話でした。