レナードの朝_ペニー・マーシャル
レナードの朝 - 映画情報
  • 公開:1990/12/22
  • 監督:ペニー・マーシャル
  • 出演者:ロバート・デ・ニーロ, ロビン・ウィリアムズ, ジュリー・カブナー
  • 製作国:アメリカ合衆国
  • 上映時間:2時間1分
MOVIE REVIEWS

レナードの朝という映画をご存じでしょうか?主にテレビドラマで女優として活躍していたペニー・マーシャルが1990年に映画監督として発表した作品で、原題は『Awakenings』です。

この『Awakenings』というのは日本語に訳せば「目覚め」ということになりますが、元々はイギリスの神経学者・オリバー・サックスのノンフィクション著書なのです。

このオリバー・サックスさんは、1916年~1927年にかけて世界中で流行した嗜眠性脳炎(しみんせいのうえん)による意識障害をレボドパ(L-ドーパ)という化学物質を投与して覚醒させることに成功したことで有名です。その著書が『Awakenings』なのです。

ただ嗜眠性脳炎というのは、今現在でも治療法が存在せず対症療法しかありません。レボドパの投与は劇的に変化を起こした後に、元に戻ってしまったのです。一過性の効果しかないのです。

その一連の流れを追ったのが映画『レナードの朝』です。ロビン・ウィリアムズが医師として、寝たきりのロバート・デ・ニーロに新薬を使おうとするところから話が始まります。

ロビン・ウィリアムズと言えば、学校の先生役として出演した『今を生きる』でも泣きましたが、この人、なんでこんなに優しい演技が出来るんでしょうな。

今作品も涙腺崩壊映画でした。そんな実話を元にした映画『レナードの朝』のレビューをしていきたいと思います。

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映画『レナードの朝』 – ストーリー

レナードの朝
4.6

公開日:1990年12月22日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画
監督:ペニー・マーシャル
出演:ロバート・デ・ニーロ, ロビン・ウィリアムズ, ジュリー・カブナー

人間が苦手な研究者が慢性神経医として病院に雇われる。何十年も前進しない病状に試行錯誤する先生と、30年ぶりに目を覚ました患者の友情物語…。

ネタバレ注意『レナードの朝』のあらすじまとめ

マルコム・セイヤーはミミズを対象にした実験を五年間も平気で出来るぐらいの変わった人間であるが、その実、人間と関わる事が極端に苦手な性格だった。彼は新しい仕事を探すため、病院に面接を受けにくる。彼の予想では前の職場と同じように生物を対象とした研究者を探しているものだと思ったが、どうやら違うらしい。

なにかの手違いで人間を相手にする医者を探している病院に面接に来てしまったようだ。それがわかると職に就きたいのはやまやまだったがご縁がなかったという事でと、引き下がろうとした。

しかし、そこの病院の医師は早急に医者の補充をしたかった為、セイヤーを引き留める。君も大学で人を診断した事があるだろう。それさえ出来れば充分だと。

セイヤーが任されたのは慢性神経医だった。人間を相手にしたことがないセイヤーは患者との接し方で苦労するが、彼は真面目に患者と向かい合い、何十年も前進しない病状についてなんとか出来ないものかと試行錯誤する。何にも反応しない患者であったが、患者には反射神経が残っている事を偶然発見する。

そこから参考文献を探し、過去に同じような病気について研究している人を見つけ出す。しかし、過去の研究者からは絶望の声しか聞こえない。それでもセイヤーは諦めない。患者が示す小さな変化から改善点を探し出し、ボールや音楽、文学、トランプ、文字カードを使って患者たちの内部と意思疎通が取れることを発見する。

そんなセイヤーの前にL-ドーパというパーキンソン病の新薬が現れる。彼はその新薬の説明会に参加し、もし、パーキンソン病以外の患者に使ったらどうなるか?と質問する。彼の質問は全く持って相手にされなかったが、セイヤーは自分のひらめきを信じ、患者に投与出来ないものかと医院長に提案する。

公式に発表された薬ではない為、医院長は彼の提案に反対していたがセイヤーの熱意に負け、医院長と重度の患者レナードの母親から処方の許可を得る。レナードへのL-ドーパの処方が開始されはしたが、すぐには何の結果も出なかった。それでも少しずつ処方する薬の量を増やしていくセイヤー。

毎日レナードに夜な夜な寄り添い様子を見る。そしてある日、ついにレナードはベッドから立ち上がり、セイヤーと会話を交わす。30年ぶりの目覚めである。

レナードが見た30年ぶりの世界はすべてが新鮮であり、街へ出てセイヤーとともに子供の用に無邪気に様々なものに触れ合う。その中でセイヤーとレナードは患者と医師の関係を越えた友情が芽生え始める。

この成功に希望を持ったセイヤーは他のすべての患者にも同じ薬を投与する事を決意する。その結果、すべての患者が目覚め、何十年も眠ったままだった病室とは思えないほどの幸せな賑やかさが病室に溢れた。

ある日、レナードは父親の看病に来ていたポーラという女性に恋をする。その女性と話をするたびに徐々に自我の目覚めがレナードの中で起こり始め、一人で外出をしたいと気持ちになってきた。その事を医師団に懇願するも、病状の悪化を恐れた医師たちは慎重に判断したいとその申し出を拒否する。

その一件でレナードは反抗心を持ってしまい、凶暴化する。それをきっかけにレナードの病状は悪化していき、再び体の痙攣が始まってしまう。薬を飲んでも体に抗体が出来てしまい病状は悪化するばかり。

努力虚しく症状の改善が見られなくなり、自分の無力さに落ち込むセイヤーに、レナードは今後の患者の為に自分の症状をビデオに記録するように頼む。そしてついに、レナードは昔の眠ったままの状態に戻ってしまう。

撮影した動画を見ながら、自分がしたことの罪悪感にさいなまれるセイヤー。「一度命を与えてそれを奪う事は親切なことか?」その問いに、ずっとセイヤーをそばで助けていた看護師のエレノアは答え、慰める。すべての患者が元の状態に戻ってしまった後、セイヤーは患者達とのふれあいを思い出し、人間とのかかわりの大切さを知る。

人間とのかかわり合いが極端に苦手だったセイヤーだったが、勇気を出し、エレノアとの距離を縮めてみようと決意する。セイヤーはその後も患者たちの治療を続けた。ありとあらゆる可能性や希望を捨てずに努力していったが、短い目覚めはあるものの今回のような劇的な回復を見ることはなかった。彼は今でも病院で患者たちの症状の改善の為に努力を続けている。

こんな感じのあらすじです。

『レナードの朝』のおすすめポイント

野口明人
野口明人
静の演技のロビン・ウィリアムズと動の演技のロバート・デ・ニーロのコンビネーションがすごい。魔法のような奇跡と、その魔法が徐々に解かれて現実を叩きつけられる経過が切なすぎる…。

レナードの遅かりし思春期

この物語のもう一人の主人公である、レナード。彼は小さい頃に病気が発症し、それから30年もの間、ずっと眠り続けていました。そんな彼が目覚め、自分の顔を鏡で見て失われた時間に気が付いた時の戸惑いの中で、彼は思春期を迎え、生きている事の素晴らしさや自我の目覚め、女性への恋愛など様々な事を学んでいきます。

彼は失われた長すぎた30年間を必死で今、体験しているのです。当然、思春期には親へ反抗してみたり、自分の存在意義を考えてみたりすることがあります。しかし、周りは外見の大人という所にとらわれ、思春期を迎えていることに気が付きません。そしてレナードの母親はあまりにも変わりすぎた我が子に驚き、セイヤーにあなたのせいで息子は変わってしまったと嘆くのです。

眠ったままでいれば自分の手の中にいた息子が、目覚めたことにより、自分の手の中から羽ばたいてしまった息子。その戸惑いをセイヤーにぶつける。あまりにもセイヤーが不憫すぎて泣きました。

そして、また徐々に失われていく時間。元の麻痺状態に戻りつつあるレナード。そんな情けない自分を恋した女性に見せたくないと別れを告げられたポーラはレナードの手を強く離さず、その前に話していたダンスを一緒に踊ります。

「僕にはダンスもろくに踊ることが出来ない。一生病人だから」

そんな事を言っていたレナードの痙攣は彼女とダンスを踊っている時だけは少し収まりました。

…このシーンが本当にヤバい。

涙が止まらない。止まらない。

切ない。

映画『レナードの朝』 – まとめ

セイヤー役のロビン・ウィリアムズとレナード役のロバート・デ・ニーロの演技がきらりと光る良作でした。演技の仕方が違えど、それがうまく絡み合って相乗効果を生んでいる気がします。

実話を元に作られた映画というのも考え深い。

命の重さ、生きるってどういう事なのかをすごく考えさせられる。

ハッピーエンドなんかじゃ全然ないんだけれど、観終わった後に温かい気持ちに包まれる。

良かったら観てみてください。名演技というのはこういう事だっていうのがわかるはずです。

ではでは『レナードの朝』でした。

※2014年8月12日追記;2014年8月11日、ロビン・ウィリアムズが亡くなっているのが発見されました。先生役の多い彼でしたが、ロビン・ウィリアムズはまさに僕の中の先生のようなものでした。

考えてみれば僕が人生で初めて映画館で観た映画「ジュマンジ」もロビン・ウィリアムズが主演でした。彼の出る作品がことごとく僕の中でヒットするのは初めて見たものを親とする鳥のようなインプリンティングが働いているのかもしれません。

すごく好きな俳優さんだったので本当に哀しいです。ご冥福をお祈りします。本当にお疲れさまでした。

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レナードの朝 - 感想・評価

レナードの朝
4.6

公開日:1990年12月22日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画
監督:ペニー・マーシャル
出演:ロバート・デ・ニーロ, ロビン・ウィリアムズ, ジュリー・カブナー

レナードの朝
  • ストーリー - 85%
    85%
  • キャラクター - 100%
    100%
  • 演出 - 95%
    95%
  • 映像 - 90%
    90%
  • 音楽 - 85%
    85%
91%

映画レビューまとめ

ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロの演技が本当にすごい!

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4.5 (4 votes)
レナードの朝_ペニー・マーシャル
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