メメントという映画をご存知でしょうか。2000年に公開されたアメリカ映画で、監督は『ダークナイト』などで有名なクリストファー・ノーラン監督。
クリストファー・ノーラン監督の出世作となったのが今回の映画『メメント』なのですが、正直に言いますと何の情報もなしに観始めた最初の時は、一体何の映画なのか全くわかりませんでした。
そして字幕版を観終えたあとに吹替版を観てみたのですが、それでもわかりませんでした。
その数年後、どこかのまとめサイトに難解な映画として『メメント』の名前が挙がっていたので、懐かしく思い再び観てみました。とりあえずこの映画のルールは理解した上で視聴。
それなのにまだわからない。
そして今回。何の気なしにAmazonプライムビデオで名前を発見し、かなり高評価だったので観てみる事にしたのですが…。
や、やっと。やっとわかったぁあーーー!!!
まるで5000ピースのジグソーパズルを完成させたような感動に包まれたので、その勢いのまま映画『メメント』のレビューをしていくことにしましょう。
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映画『メメント』 – あらすじ
公開日:2000年09月03日
ジャンル:ミステリー映画, スリラー映画
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ガイ・ピアース, キャリー=アン・モス, ジョー・パントリアーノ
映画名作レビュー戦記シネマネオン!-メメントの巻-
館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見 放題。「何回観ても難解な映画、何回でも観たくなる映画」と言いながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『メメント』を観ようとしたのだが…
映画『メメント』 -内容紹介-
映画『メメント』 -解説-
映画『メメント』の批評を終えて
映画『メメント』の名言・心をざわつかせた言葉
皆、自分のことはそれなりに分かってる。だが、日々のことをメモするのは役に立つ。
復習しても忘れるわ。何があったかも。
目を閉じても世界は消えない。
ウソを見抜くには相手に喋らせ、目や身振りを見る。鼻を掻くやつはウソをついてるか、緊張してる。人はいろんな理由で緊張する。
「メモだけの人生はムリだ。メモなど当てにならん」「記憶もだ。記憶の方がもっと悪い。目撃者の証言だって当てにならん。警察も殺人犯を捕まえるには事実を集めメモを取り結論を出す。記憶じゃない。おれも、そうやってた。記憶は、部屋の広さも車の色も間違える。記憶は思い込みだ。記録じゃない。事実とは違ってる」
いつから、おれは1人なのか。ふと目覚めると女房がいない。トイレでも行ったように。でも、なぜか彼女は決して戻らないと知ってる。もし、ベッドの彼女のいた場所を触れば、きっと冷たい。だが触れない。彼女は戻らない。目覚めたとき彼女を思い出すのもつらい。ただ、いつから1人か知らずに横たわってる。そんなおれが癒やされるのか。時間を知らないおれが癒やされるのか。
きっと前にも、君の物を山ほど焼いた。でも忘れられない。
彼女は何か答えがほしかったんだ。たとえどんな答えでも。信じることを。
自分が何をしたかも知らない男はって。そんなの山ほどいる。
自分の外に世界はあるはずだ。たとえ忘れてもきっとやることに意味がある。目を閉じてもそこに世界はあるはずだ。本当に世界はあるか?まだそこに?
記憶は自分の確認のためなんだ。みんなそうだ。
動画視聴で『メメント』を実況・解説!
- 0:01:45頃
最初のこの演出ね!ポラロイドカメラの写真が振れば振るほど消えていくのなんで!?って思ってた。ちょっとした映画全体の構造のヒントなんだな。これ。凝った演出だわ。 - 0:02:25頃
ここで逆再生してるのかな?と気づいた。拳銃が手に引っ付いたから。ここにヒントがあったのか。 - 0:03:00頃
この「レニー!」って声がずーっと頭に残る。笑っているようで笑っていない。歯だけがニコッとしながらいう「レニー!」は胡散臭さの代表選手のような感じだ。 - 0:08:00頃
意外とこのバートさんのセリフ重要なのな。単なるヒゲモジャの管理人だと思ってたのに。 - 0:14:00頃
体中の入れ墨を見ると、プリズン・ブレイクを思い出す。マイケル。 - 0:14:35頃
名はジョンって言ってるけど、入れ墨にはJOHN OR JAMESって書いてる。汚くJAMESと。これはあれか?候補を増やす為に追加したのか? - 0:16:30頃
何度観てもこの電話の相手が誰なのかピン来ない…。 - 0:21:40頃
ナタリーのこの左眉毛上げる感じが、役者だねぇ…って感じがする。この映画の登場人物、みんなどこかで胡散臭い。 - 0:23:20頃
ここにもサミーの話のヒントがあるのか。 - 0:26:15頃
やっぱりバートさんはいい人。ヒゲモジャにはいい人しかいない。 - 0:30:00頃
こんなふうに上着とシャツが重なって置いてあったら、自分のものだと思って着るよな。忘れる忘れない関係なく。丸襟シャツでもないし、ボタンの位置が逆でもないし。女性者だと気が付かない。なんで間違えるように重ねてあったんだろ。 - 0:34:30頃
こんな風に何度も奥さんの死を思い出さなければならない主人公の事を思ってちょっとウルッとしてしまった。 - 0:35:45頃
ジミー!! - 0:40:15頃
イヤホンしてたら、突然の爆音にびびった。ここだけやけに音がデカい。 - 0:44:15頃
なぜこのカメラ割りなのかが分かって見ると本当に沢山のヒントが散りばめられているな。 - 0:45:20頃
このサミー夫婦の言い争いも考え深いな。心の病気なのか。 - 0:46:35頃
この瞬間、こえーだろうなぁ。自分の部屋だと思ってシャワー浴びてんだから。 - 0:49:35頃
再び、記憶が消えるのは怖いシリーズ。相手を追っていると思ってたのが追われていた事に気がついた時。 - 0:51:00頃
今気がついたけど、なんでレナードはずっと左肩を気にしてるんだろ。中に背負ってる黒い帯が気になるのか? - 0:52:55頃
三度、記憶が消えるのは怖いシリーズ。開口一番、拳銃を向けられる。 - 0:55:04頃
アウチ。この一瞬のシーンなのにスゲー重要っていうね…。 - 1:02:15頃
この映画の登場人物、基本的にモブキャラも含めてみんな優しいんだよな。だから悪いやつでさえ目立たない。みんなキツくて、一人だけ優しいってんなら、そいつが怪しくなるんだけど。 - 1:03:00頃
このサミーの奥さんと会社で話した記憶は一体どうやって説明すればいいのだ…。 - 1:08:00頃
全部観終わった後に、ここのテディとレナードの会話をもう一度観てみるとテディの言いたかった事がよくわかる。 - 1:12:25頃
「ひどく殴られたから」これ、誰に?が重要だよね。 - 1:13:18頃
21号室…。 - 1:15:30頃
「症状を調べたわ」って発言の所、これ結構重要なヒントなのか?ケガじゃないのか? - 1:21:10頃
この時ペンを持ってるよな…。なぜ消えたんだ。あ。ビデオの上に置いたのか。それをナタリーが…。いや、ナタリーがバッグに入れた場所はここじゃなかった。単純に置いた場所忘れてしまっただけか。 - 1:21:28頃
この1秒しか映らない一瞬のシーンの指輪。こんなん見逃すだろ…。 - 1:39:30頃
なぜここで服を脱ぐのかがわからない…。 - 1:39:47頃
モノクロからカラーになる演出による時間軸の接着剤。 - 1:49:54頃
左胸にI’VE DONE ITと書かれている!これは…。
映画『メメント』 – オチ・エンディング・ラストの感想・考察
by シネマネオン
これ、とにかく意味を理解するまで時間がかかりました。登場人物は比較的少ないのに。ここから書くことは僕個人の勝手な考察です。
人によって考え方や受け取り方も違うと思いますので、ただの一意見として聞いてくださいませ。
この映画はリバースムービーとか言われているように、10分間の記憶をひたすらさかのぼっていきます。最初にラストを見せて、そこから徐々にどうしてこうなった?というのを見せていくのです。この時間軸の逆転が理解できないと、全くなんのストーリーを見せられているのかがわからない。
10分の劇を見せられて、次の10分で種明かし。その連続です。さらにこんがらがってくるのは、途中で挟むモノクロ映像。電話の相手もわからないし、サミーの話は一体どの時間軸に組み込んでいくのか…。それすら推測して見ていかなければならない。
わかりやすく書くと、F→N1→E→N2→D→N3→C→N4→B→N5→Aこういう感じで映画が進んでいくのです。実際の時間軸順はN1→N2→N3→N4→N5→A→B→C→D→E→F。
モノクロの部分は過去から現在へ正しい時間軸で進む。カラーは現在から過去へ逆回転で進む。最後の部分でモノクロからカラーに変わる瞬間のシーンが2つの時間軸の接着点でしょう。N5の後の出来事がA。
時間軸どおりに進んでいったNと逆転で進んでいったABC軸を順番に見せられる。それらを理解出来るか。初見で理解出来たら相当スゲー!です。
良く考えてみるとすごく面白い仕組みにはなっているんですが、最初に観ただけでは、僕は理解出来ませんでした。
でも、理解するとすこぶる面白いんですよ。テディーすげー怪しい顔だよなぁとか。ナタリーはなんなんだよとか。基本的に協力してくれるこの二人。どっちが悪者なのか!?とかね。
あとは時折出てくるあいつ。サミーね。サミーを忘れるな。なんやねん。メメント・モリになぞらえおって!
2回目を観終わった後に、ネットで解説サイトを色々と読んでから、もう一度観るとさらに面白さが増す。そんな映画。
調べてみてわかったんですが、この映画の解釈は本当にさまざまに分かれているみたいですね。
それが何度も観るごとに面白さを増す理由でもあるんでしょう。色々と推測出来てしまうけど、公式見解が発表されなかったので、みんなの議論がたえない映画。そんな考えもあったのか!と見れば見るほど色々な考えが浮かんでくる。
とりあえず僕が理解出来た範囲でこの映画の流れを時間軸どおりに追いつつ、適度な推測を踏まえて解釈してみます。
この映画は流れは、以下の通りだと思うのです。
- レナードが保険調査員として働いている所から。彼の最初の顧客はサミーでした。記憶障害があるという手口で保険料を貰おうとしていたのですが、レナードは人のウソを見破る才能があり、詐欺師だという事がバレます。サミーには奥さんはいません。
- レイプ事件発生。レナードは保険調査員として働き続けますが、ある日家で寝ているとヤク中2人組が家に忍び込み、奥さんだけだと思ってレイプ。物音で起きたレナードは拳銃を持ち、奥さんを襲っている男を射殺。しかしもうひとりの犯人に突き飛ばされ、頭を鏡に強打。そこで気を失う。最後に見たのはシャワーカーテンにくるまれた奥さんの姿。犯人のジョン・Gは小細工の後、逃走。
- レナードは怪我の影響で記憶障害に。犯人が二人いた事を警察に告げたがジョン・Gの小細工のせいと、記憶障害のせいで信じてもらえず、迷宮入りに。担当刑事はテディこと、ジョン・エドワード(エドガー?)・ギャメル。
- レナードの記憶障害が信じられず、奥さんの精神ボロボロ。記憶障害が本当か知りたいが為に自分の命をはってレナードを試す。…が、本当に記憶障害だった為、糖尿病を患っていた奥さんは、インシュリンの多量投与で死亡。注射を打っていたのはレナード。ここでレナードの精神はぶっ壊れ、サミーの事だと思い込もうとする。
- 目が覚めるといつも奥さんがいない。レナードは復讐を誓う。テディの協力でジョン・Gを発見し、殺害。その姿をテディに写真で撮ってもらう。嬉しそうに笑っていた。
- 目が覚めるとやはり奥さんがいない。自分の人生をぶっ壊したやつを許さない。ジョン・Gに復讐しなければ。それを見ていたテディがガッカリ。刑事として復讐を容認してはいけないのをわかっていて、それでもレナードの気持ちをくんで協力したのに、復讐しても覚えてなかった。
- ジョン・Gの復讐に燃えるレナード。また再び喜ぶ顔が見たくなったのかもしれないし、ガッカリしたのかもしれないテディはレナードに新たなジョンGを用意してあげる。どうせ人を殺す事に燃えて生きているのであれば、ターゲットを決めて分前を貰おうと計画する(もしかしたらレナードを養う為にお金が必要だったのかもしれない。ちょこちょこ飯おごってるし)
- ニセジョン・Gをジミーに設定。ジョン・Gに間違われないようにテディという偽名を使う。ジミーは麻薬の売買人。ヤク中だったジョン・Gと、麻薬、イニシャルの点で共通点があったからニセジョンGに仕立てやすかった。テディは麻薬を売ると持ちかけ、ジミーに大金を持って来させる。
- そこにレナードを派遣。レナードは奥さんの敵と信じてジミーを殺害。しかし死ぬ間際にサミーとつぶやいた事で、疑問が生じる。こいつは知り合いなのか?なぜサミーを知っているのか?なぜ大金を持って来ていたのか?ジョンGは売人で麻薬を売る方だろ?
- やってきたテディに問いただす。そこで真実を打ち明けられる。奥さんは自分が殺したかもしれない事。もうすでに本当のジョンGは死んだこと。それも忘れてしまった事。ジミーはその為にテディが見繕ったニセジョンGだということ。
- 自分がやりたかった事は人殺しではない。間違いを正したかっただけなのだ。レイプ事件から自分の人生を奪われたレナード唯一の自分が存在している理由はジョンGへの復讐であり、新しいジョンGが必要だと思ったレナードは、テディを犯人だと見立てる証拠を捏造。
- そしてまた記憶が飛んだレナードはポケットに入っているカードを頼りにナタリーに会いに行く。ジミーの服と車に乗って現れた男を不思議そうに見るナタリー。
- 彼氏の麻薬の売買を手助けしていたナタリーだったが、ジミーがテディという男と会うために大金を持って行ったっきり、行方知らずになった事を大元のドッドに聞く。ドッドはナタリーもグルだと思い込み、ナタリーにプレッシャーをかける。
- そんな時に現れたジミーの車とジミーの服を来た男。テディと関係があるに違いないと踏んだナタリー。そんなやつ知らんと言っているけど、10分前の記憶を覚えられないやつだ。こいつを利用しようと企む。
- ナタリーはドッドにレナードの特徴を告げる。レナードにはトッドを殺してもらえるように言う。どちらを潰してくれてもナタリーは助かる。
- 結果、レナードはドッドに襲われたが見事返り討ち。なんとか救われたナタリーはお礼にレナードの奥さんの敵探しを手伝ってあげることにする。レナードがメモっていた犯人の車のナンバーの持ち主の免許書コピーを渡す。
- そこにはテディの名前と写真が。見事レナード自身が捏造した証拠でレナードはテディを犯人だと思いこむことに成功。そしてテディを殺害。
大雑把に言えばこういう事なのでしょう。それと混乱を避ける為に映画の情報からわかる登場人物の説明をしてみます。
レナード:主人公。レニーと呼ばれる。奥さんを目の前でレイプされる。その時レナードは助けに入り、拳銃で犯人を撃ち殺すが、犯人は二人いて、もうひとりの犯人に後ろから攻撃され鏡に頭を強く打ち付ける。その時のケガで短期記憶障害になる。復讐に燃える鬼。
テディ:レナードの奥さんがレイプされた事件の担当刑事。本名はジョン・エドワード・ギャメル。母親にテディと呼ばれていた。レナードを可愛そうに思い、レイプ犯への復讐の手助けをする(多分ここで警察官を辞める)。…が、完遂後もレナードは復讐をし終えた事を忘れてしまったので、レナードの復讐心は消えず、適当にジョンGを見繕うしかなかった。そしてどうせなら自分にも得にならないとな…と思い、レナードが殺すやつの金品を奪っている。
ジミー:テディが用意した適当なジョンG。麻薬の売人でテディに呼び出された所をレナードに殺される。その時20万ドルの大金を所持。テディはそのお金目当て。
ナタリー:ジミーの彼女。麻薬の売買を手伝っている。レナードが着ていた服がジミーのものだったり、ジミーの車だったりしたので、レナードを怪しんでる。ジミーが持っていた20万ドルが消えた為、麻薬売買の大元であるドッドに責任を取らされそうになっている。
ドッド:麻薬売買の大元。ナタリーから消えたお金はテディが持っているという情報と服装と車を教えてもらう。その情報通りの男がレナードだったので、レナードの命を狙って発砲するが、逆にぶちのめされてしまう。
サミー:ただの詐欺師。レナードと同じ様な症状を持っている人間として描かれているが、実はそれはレナードが勝手に都合よく作り上げた記憶。ただの詐欺師。奥さんもいない。レナードが保険調査員をやっている時のはじめての顧客。レナードにウソを見抜かれる。
ジョンG:レナードの奥さんを思いつきでレイプしたヤク中。すでに死亡。レナードに殺されている。
多分、こんな感じだと思う。途中考察も少し入れてしまったが、大体は映画の字幕や喋っている英語の中に出てくる。
んで、これを理解した上で自分なりにこねくり回して考えた解釈を言っていこう。
ご存知、レナードは奥さんがレイプされる事件で脳への損傷を受け、短期記憶障害を患います。10分しか記憶が持たないのです。
…が、このケガが原因で事件後の記憶は10分ごとに消えるというのはウソなのではないでしょうか?ウソというか、ケガによる短期記憶障害はそれほどひどいものではなかったのではないか?と。
…というのも「わずかな脳の傷でこんな…」というレナードのセリフがありますし、「医者は脳の損傷かと…確信はない」ともサミーの事について言及しています。
あと言い争いの中のセリフなので全く信憑性がありませんが、ナタリーが症状を調べたと。「短い記憶をなくすのって性病が原因だって。きっとあんたの淫売の女房が病気持ちの男とやりすぎて移ったのよ」ってセリフがあります。
もし、これが売り言葉に買い言葉ではなく、事実だとしたらどうでしょう。短期記憶障害は実際にある病気です。性病によって記憶障害が起きる事は、梅毒の場合はありえます。ただ、これは短期記憶障害ではないんです。末期症状で梅毒に感染後10年以降に出てくる脳への障害です。
でも、レナードが入院していた期間は公式サイトによる所だと2年間。なのでほぼ性病ではないと思うのですが、短期記憶障害が実際にはないフィクションの病気という設定だとしたらどうでしょう。実際にレナードは性病によって短期記憶障害を患ってしまったとする。
奥さんがレイプによって性病を移され、レイプ後に奥さんと性行為を持った時に移される。
そうすると、奥さんは自分のせいなのではないか?と責めると思います。ただでさえ、レイプされてしまって心の傷を負っている所に、自分のせいで夫に記憶障害を煩わせてしまったと。
レナードが生み出したサミーの奥さんは昔の夫はいなくなってしまったと嘆きます。これがもしレナードの奥さんの言葉なのだとしたら、レイプ事件によって、夫の態度が変わってしまった、夫婦間がギクシャクしてしまったという暗喩ではないかしら?と思ったわけです。
そんな時に性病によって短期記憶障害が起きたとしたら、タイミング的に夫が自分を騙す為にウソを付いていると思い込んでしまうのも無理ないかもしれません。
もしかしたら、私を困らせようとして、記憶障害の演技をしているのではないか?この人も私を蔑んでいるのではないか?という思いに囚われ、レナードの病気を受け入れられなかったとしたら、インシュリンの注射を何度も打たせるに至った心の疲労がわかります。
…が、まぁここは完全な推測なのだし、ぶっ飛び過ぎているとは思うので、映画の中で語られている事実だけで言うと、レナードはインシュリン注射によって奥さんを殺してしまいます。それが奥さんが仕向けたものなのか、レナードがやってしまった事故なのかはわかりません。
ただ、この奥さんを自分の手で殺してしまったという心のストレスは凄いものだったのでしょう。おそらくこれがきっかけでで記憶が10分しか持たなくなったのではないでしょうか。またはそう思い込みたかったのではないでしょうか。
「最後に残っている記憶はレイプ事件の事。あれ以降の記憶はないのだ」と思い込む事で、奥さんを自分の手で殺してしまった事の記憶の書き換えを行っているのです。
ところどころレナードは奥さんの事を思い出します。でもあの時の奥さんってほとんど笑ってないし、レナードとの会話も決して仲の良い夫婦に思えないんですよね。
となると、やはり思い出しているのはレイプ後にギクシャクしてしまっている夫婦の時の事なのでは?と思うのです。
そしてレイプ事件後の事を思い出せるという事は、自分が奥さんをインシュリン注射によって殺してしまった事も思い出せてしまう。
レナードが一番堪えられないのはこの時の記憶で、この記憶をなんとかかき消したいと思っている。そのためにはレイプ犯が殺したと思い込むのが一番いいのです。
映画の中盤で奥さんの形見を焼き払うシーンがありますが、あれも奥さんを忘れる為とは言ってますが、実のところ自分が殺してしまったという記憶の塗替えを行う為に行っている為なのではないでしょうか。
そのために、わざわざデートクラブから女性を派遣してもらって、レイプ事件の夜の事を再現してもらっているのです。そしてあの時に奥さんが死んだのだと思い込もうとしているのだと思います。
結局はレナードの一番の願いは、自分が奥さんを殺してしまったという記憶を消すこと。そのためにはレイプ犯への復讐に燃え続けるのが一番手っ取り早い。奥さんを殺したのはレイプ犯。自分はその敵をうつためだけに生きているのだ。
その事だけに夢中になれば、奥さんを思い出したとしても、出てくるのはレイプ犯に襲われているシーンだけ。逆に言えば真犯人を殺したかどうかなんてどうでもいいのです。敵討ちをしている自分という記憶が欲しいのです。
ナタリーとの会話で「妻の復讐だ。おれのためじゃない」と反論している部分がありますが、あれはある種の図星を突かれて出た拒絶反応なのかもしれません。自分の為に復讐しているから。本当の事を言われると怒るでしょ。人間って。
自分が妻殺しをしたのを忘れようとしている。メメントがタイトルなのは奥さんの形見を使って、記憶の改竄を行うっていうのが核心だからなのかなぁ…と思うのです。
それにしても気になるセリフ「目を閉じても世界は消えない」これちょこちょこ出てくるんですよ。一体どういう意味なんだろ。確かに見えなくなっても世界がなくなるという意味じゃないってのはわかるんだけど。
目をつぶろうとしても消えてくれないっていう意味にもとれるし。忘れようと思っても奥さんを殺した事実は消えないという感じにもとれる。
あぁ。結局何度観ても何度観ても、決まった答えは出てこないなぁ…。突拍子もない事を考えついたとしても決して全力で否定出来ない映画。
それがメメント。
騙されたと思って一度観てみてください。
映画『メメント』のような映画・似てる作品・おすすめ
公開日:2004年02月13日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:ピーター・シーガル
出演:アダム・サンドラー, ドリュー・バリモア, ロブ・シュナイダー
映画レビューまとめ
ども。シネマネオンの中の人、野口明人です。
む、む、難しいいーーーぃぃ!!何度観ても、何度時間を空けても、それでも完璧には理解できない。
そもそも一番の謎は、なぜレナードはジミーの洋服に着替えたのか。あれは一体何を示唆しているのか。それがどこを探しても情報がない。
物語にはとっても大事な要素なのに。あれがあるからナタリーが関わってくるのに、どこにも説明がない!!
…ということで、今もなお楽しめる映画です。ひとつの映画を突き詰めて考えていくのが好きなあなたにはおすすめです。
一度じゃ理解出来ないけれど、何度も観たくなる映画。そんな『メメント』でした。それでは、今日はこんな感じで。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
野口明人
あ、最後に『メメント』のレビュー点数です↓
メメント - 感想・評価
公開日:2000年09月03日
ジャンル:ミステリー映画, スリラー映画
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ガイ・ピアース, キャリー=アン・モス, ジョー・パントリアーノ