『マジェスティック』隠れた名作。ラストのジム・キャリー!

マジェスティックという映画をご存じでしょうか。2001年に公開されたジム・キャリー主演の映画です。

監督はなんと『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』で有名なフランク・ダラボン監督。

この監督が作る映画は観た後になんとも言えない爽快感を与えてくれます。

実はショーシャンクもマジェスティックも、もちろんグリーン・マイルも過去に観たことがある作品でした。

ですが、TSUTAYAが旧作100円というのを始めた時に自分の中で映画ブームが再熱し、もう一度観てみようと思ったのです。

ショーシャンクはもう、周りの評価からわかるように映画界のミスチルです。みんな大好きショーシャンクです。

一方、マジェスティックはそれほど話題に上がらない映画ですが、やっぱりこれも素敵なのだとあなたにはわかってもらいたい。

「自分のことすら知らない男を、町の誰もが”希望”と呼んだ。」

こんなキャッチコピーの映画、素敵でしょう!?

そして、ラストのある部分で号泣する事間違いなし

という事で、映画『マジェスティック』のレビューをしていくことにしましょう。

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映画『マジェスティック』 – あらすじ

マジェスティック
4.4

公開日:2001年12月21日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:フランク・ダラボン
主演:ジム・キャリー, マーティン・ランドー, ボブ・バラバン

1951年、脚本家アプルトンは共産主義者の疑いをかけられ映画界を追われてしまう。絶望の中、飲酒運転で事故を起こし記憶を失ったアプルトンを迎えたのは戦争で希望を失った小さな町だった。町の英雄ルークに間違われたアプルトンは復興の第一歩として映画館『マジェスティック』の再建を目指すのだが…

映画名作レビュー戦記シネマネオン!-マジェスティックの巻-

前回までのシネマネオンは…

 館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見たちみ 放題ゆきみつ「ドラゴンボールだって最初はギャク漫画というくくりだったわけだし、ギャップ萌えって大切!」と言いながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『マジェスティック』を観ようとしたのだが…

映画『マジェスティック』 -内容紹介-

館見 放題
ち、畜生!なんだったんだ。あの赤い顔の男は…。何かを思い出せそうだったのに、映画館から追い出されてしまった。『マジェスティック』とは一体どんな映画なんだ…。
シネマネオン
一言で言えば、“ジム・キャリー、なんでも出来るじゃん!な映画”だな。フランク・ダラボン監督の2001年の作品さ。
館見 放題
だ、誰だ!?
シネマネオン
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。レビューロボ、シネマネオンだ!
館見 放題
誰もオマエの事なんて呼んでないぞ!
シネマネオン
まぁまぁ、落ち着きなさい。君は、ジム・キャリー主演の映画『マジェスティック』が観たかったんだろう?
館見 放題
そうだ。『マジェスティック』を観れば何かを思い出せそうな気がするんだけど。
シネマネオン
では、『マジェスティック』上映2時間32分と書かれたその映画アプリのボタンを押してみなさい。期間限定、登録無料。今だけお得。
館見 放題
いつの間にこんなアプリが!怪しさ満点!ちくしょー!!こうなりゃヤケだ!期間限定という言葉に釣られたわけじゃないんだからね!ポチッと!
シネマネオン
アジャラカモクレン、マジェスティック、テケレッツのパー
館見 放題
うわああーー!『マジェスティック』の映像が頭のなかに広がっていくぅぅぅぅうう!!

映画『マジェスティック』 -解説-

シネマネオン
ジム・キャリーって個人的にすごく好きな俳優さんなんだ。
館見
コメディーやらせたら、すごいよねあの人。
シネマネオン
ジム・キャリーがコメディー俳優だと思っていたなら、今回の『マジェスティック』や『エターナル・サンシャイン』を観たら度肝を抜かれるよ。
館見
へー。今回の映画『マジェスティック』のあらすじはどんな感じなの?
シネマネオン
今回はがっつり、シリアス系の映画だ。記憶喪失になってしまった主人公を町中が希望だと囃し立て、それに乗せられてか、町の再興を考え実行するというお話。
館見
希望?
シネマネオン
この映画のキャッチコピーが「自分のことすら知らない男を、町の誰もが“希望”と呼んだ。」だそうだよ。
館見
ふむ。いまいちストーリーが想像つかない。
シネマネオン
この映画の良さはストーリー的なものじゃないんだ。あらすじは今言った事を理解していれば充分。
館見
それですらまだ理解していないんだよ。
シネマネオン
人生に絶望した脚本家が新しい人生で温かい人々に囲まれてなんとかその人達の期待に答えたくて頑張る的な。
館見
脚本家が記憶喪失になって、別の町で発見されて、そこで新しい人生を始めるって感じ?
シネマネオン
そう!その別の町の人たちが、みーんな温かいんだよ。都会に疲れた人間が田舎の人たちの温かさに癒やされるみたいな。記憶は失っているんだけど。
館見
へー。とりあえずなんとなくイメージは掴めた。
シネマネオン
ジム・キャリーは本当に何でも出来るんだなぁ。B級脚本家と、記憶喪失の町のヒーロー。1本で2つの役を演じるわけだからね。
館見
マスク』でコメディータッチなキャラを演じた時も、情けない男のキャラとマスクを付けた時の破天荒なキャラを演じ分けてたよね。
シネマネオン
基本的にジム・キャリーが出ている映画にはハズレはないと思っているぐらいジム・キャリーが好き。
館見
僕がお笑いの養成所に行ってた時に、講師の先生が「ゴッド・ファーザーとジム・キャリーの作品は絶対に観とけ!」って言ってたよ。
シネマネオン
あれ?君って自分のことを思い出せないんじゃなかったっけ?
館見
なんかちょっと思い出してきた。
シネマネオン
この映画でも、主人公は途中で記憶を取り戻すんだけどもね、最後のほうの法廷でのやり取りは胸が熱くなる。
館見
法廷?
シネマネオン
この映画は、ハリウッド・ブラックリストっていう実際にあった出来事から着想を得ている映画なのさ。
館見
ハリウッド・ブラックリストって赤狩りの?
シネマネオン
そう。第二次世界大戦後にアメリカとロシアって冷戦状態になったじゃん?あのころロシアはまだソビエト連邦で、バリバリの共産主義だったわけだ。
館見
ふむ。
シネマネオン
アメリカ政府からすると共産主義は敵そのものなんだけれども、戦前からアメリカの若者の間では共産主義ブームが起きてたんだ。
館見
なるほど。
シネマネオン
それを良く思わなかった政府は戦後に赤狩りを始めるわけ。んで、やっぱり民衆に影響を与えるメディア、とりわけ映画関係は格好の標的になったわけさ。
館見
あ、もしかしてジム・キャリーが演じた脚本家ってのは、共産主義者だったとか!?
シネマネオン
それがまぁ、主人公は若かりし頃に好きだった女の子にモテたくて、一度だけ共産主義の集会に参加した事があっただけなのだ。
館見
モテたくて。
シネマネオン
それで目をつけられてしまって、これから映画業界で名を挙げていくぞ!という所だったのに、自分の未来の道が閉ざされてしまうんだね。そして落ち込んでいる時に事故にあって、記憶を失うわけさ。
館見
あー、なるほどねー。
シネマネオン
そして目を覚ました町では、主人公に瓜二つの戦争の英雄がいたのね。戦争で多くの若者を失ったその町では、英雄が戻ってきた!と大はしゃぎで、主人公は希望だともてはやされるわけ。
館見
意外と戦争と深い関わりを持つ映画だったんだな。
シネマネオン
その町の英雄は、これまた奇遇な事に廃業した映画館マジェスティックの上に家があってね。町からしてみれば、その映画館が賑わうことは戦後からの復興のシンボルだったんだな。だから記憶を失っている主人公は、映画館の再開を目指していく。
館見
記憶を失う前と後でも映画に結びつくとはなんという偶然。
シネマネオン
そんな英雄がある日突然、政府の役人に捕らわれてしまって、別人だとわかり、なおかつ共産主義者として法廷に出るわけじゃん。国を守るために戦って来たと思っていた人間が、実は国の裏切り者だった。町の人たちは一気に主人公を見る目が変わっていく。
館見
うぉぉ…。町の人たちの優しさの映画じゃなかったのかよ。
シネマネオン
そこで語る主人公の演説が、なんともまぁ涙を誘うんだわ。うん。なんと言うかな、モテたいが為に共産主義の集会に参加しちゃうような、自分という信念がなかった脚本家が、英雄に触れることで、信念を持って戦うことの勇気をもらったというかな。
館見
あー。役を演じる事で、その人物が自分の中に同化していくって事あるよな。
シネマネオン
ま、何が言いたいのかというと、この映画はギャップ萌えってやつだわ。コメディー俳優のイメージが強いジム・キャリーが、シリアス系を演じる事で、より強くメッセージが突き刺さってくる。
館見
ドラゴンボールだって最初はギャク漫画というくくりだったわけだし、ギャップ萌えって大切!
シネマネオン
アジャラカモクレン、レビューラビュー、テケレッツのパー
館見 放題
アァ、消える……

映画『マジェスティック』の批評を終えて

館見 放題
ドラゴンボールだって最初はギャク漫画というくくりだったわけだし、ギャップ萌えって大切!…ん?あれ?ここは?あ、ポスターの前か。
館見 放題
あー、今回は『マジェスティック』推しなんだな。このポスター貼って、次の試写会の会場に行く前に、ささっと限定10個の魚肉ソーセージを買いに行かなくちゃ!あー。腹が減ってきたなぁ。急がなくっちゃ!!
館見 放題
それにしても、この「映画名作レビュー戦記シネマネオン!」とかいう知らない映画の前売り券を支配人にもらったけど、どうしよう…。一緒に見に行ってくれる人なんていないしなぁ?。

映画『マジェスティック』の名言・心をざわつかせた言葉

「党の集会に参加したら党員だ」「じゃ詩の朗読会に参加したら詩人か?」

「見ろよ、ゴミの山だ」「見てるとも。でも見えるのは可能性だ」

みんなが映画の魔法にかかる。映画館で見ることで。

「映画でゾラは法廷に立ち無実の人の名誉を汚したフランス政府を糾弾する。ゾラは弁護士じゃないけど、あの毅然とした話し方…。あの時決めたの。弁護士になるって」「それだけで?」「だけ?十分でしょ」

“独立宣言”か?“合衆国憲法”か?サイン入りの単なる紙切れだ。何と同じだと思う?契約書さ。状況に応じて内容は変わる。

生きてれば傷つきもする。仕方ないわ。

もし春の日、君が外を歩いていて、そよ風がほおをなでたら、そのそよ風は僕のキスだ。

敏腕捜査官でも恋する男の心理は承知では?

正直言って、僕には信念というものがない。必要と思えなかったし。本音を言えば、信念を持つだけの勇気がなかった。だがルークは違う。信念と勇気があった。面識はないが知人の気がして。ずっと考えてたんです。もし彼なら何と言うだろうと。たぶんこう言うでしょう。“僕が命懸けで守ろうとした国はこんな国じゃない”と。

動画視聴で『マジェスティック』を実況・解説!

シネマネオン
今回の動画実況はDVD版を観て行っています。
  • 0:10:45頃
    ジム・キャリーが肘でサルのぬいぐるみを落として箱の中に入れるシーン。なんでもないシーンがかっこいい…。
  • 0:13:20頃
    ジム・キャリーがサルのマネして「イー」と歯を見せるシーン。に、似てる!
  • 0:32:30頃
    お父さんが嬉しそうにジム・キャリーの靴を脱がすシーンになんか目頭が熱くなった。…なぜだ。
  • 0:43:45頃
    戦争から帰ってきたボブに握手するシーン。義手だと気がついた時のジム・キャリーの顔と、ジム・キャリーが本物のルークではないと知っている僕の心がリンクした気がした。…ま、勘違いだけど。
  • 0:46:25頃
    「僕の思い過ごしかな。誰かが尾けてる」と振り返るシーン。…誰かが尾けてるというレベルじゃない(笑)
  • 0:54:00頃
    しゃっくりのとまらないアデルが可愛い…。そして止める方法がロマンティック過ぎる…。
  • 1:10:00頃
    ピアノを弾かなければならないシーン。事情を知っているだけにドキドキした。
  • 1:18:00頃
    ジム・キャリーが俯いているシーン。影も相まってしみじみする。
  • 1:29:40頃
    映画館を再開する初日を迎えたジム・キャリーの笑顔が眩しい。お父さんの笑顔と揃ってハッピーな気分になる。
  • 1:40:00頃
    お父さんと会話して涙をためるジム・キャリーより先に涙が流れた…。本当の事を言おうとして、相手の表情の変化を感じて言えなくなった目のちからがヤバイ…。吸い込まれる。こんな優しい嘘なら、仕方がない…。
  • 1:49:00頃
    ルークの正体を知り、残念そうに散っていく町の人々のシーン。…いやー、気持ちはわからんでもないけど、自分たちで勝手に担ぎ上げてきたんだから少々薄情さを感じてしまう。胸がチクチクするよ…。
  • 2:00:00頃
    お医者さんの含み笑顔がすごく好意的ないい顔だった。
  • 2:10:30頃
    水を飲むというだけでこれだけ緊張が伝わってくる演出…。すげー。
  • 2:12:00頃
    何度観てもこの演説の所で泣いてしまう…。ルークと間違われたアプルトンという男が勇気を出して立ち向かうその姿に涙が…。ジム・キャリーの真剣な演技に心引き込まれてしまう。
  • 2:15:45頃
    市長の涙につられる…。
  • 2:27:00頃
    ラストにこの写真を持ってくるとは、やってくれるぜ…。

映画『マジェスティック』のような映画・似てる作品・おすすめ

セント・オブ・ウーマン/夢の香り
4.6

公開日:1992年12月23日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:マーティン・ブレスト
主演:アル・パチーノ, クリス・オドネル, ガブリエル・アンウォー

シネマネオン
1992年の映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』か!
館見 放題
アル・パチーノの演説とこの映画のジム・キャリーの演説は通じるものがあると思う!

映画レビューまとめ


ども。シネマネオンの中の人、野口明人です。

温かいね。とにかく温かい。こんな町に生まれてみたかった。悲劇じゃなくても充分に号泣出来ます。ラストの演説が実に素晴らしい。

フランク・ダラボン監督は悲劇で涙を誘うような映画が少ないから好きです。

悲劇ではない。でも涙が出て止まらない。それは何の涙か。

人間の生きる力への感動です。

心揺れ動かされますよ、この映画。

観た後の爽快感は観た人にしかわからないかもしれませんが、あぁ、いいものに触れたんだな…と余韻に浸れる映画です。

もし、『ショーシャンクの空に』が気に入ったのであれば、続けてこの作品も観てもらいたいです。

周りの評価以上の映画だと僕は思いました。

あんまり知名度ないのかもしれないですが、フランク・ダラボンが好きでジム・キャリーが大好きな僕にはタマラナイ映画でした。

そーいえば、フランク・ダラボン監督の『ミスト』という作品は、同じ監督でも、こうも全く雰囲気の違う映画を作れるものなのか!という程、残酷な映画なのですが、今回の映画でヒロインのアデルを演じたローリー・ホールデンが、その『ミスト』にも出演しています。

この人の瞳、宝石みたいで吸い込まれるわぁ?。

ではでは『マジェスティック』でした。

追伸。

ルークの手紙を読む所でルークの声を吹き込んでいるのはマット・デイモン!

すごい贅沢な使い方(笑)

ではでは、そんな感じで『マジェスティック』でした。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!

野口明人

あ、最後に『マジェスティック』のレビュー点数です↓


マジェスティック - 感想・評価

マジェスティック
4.4

公開日:2001年12月21日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:フランク・ダラボン
主演:ジム・キャリー, マーティン・ランドー, ボブ・バラバン

マジェスティック
  • ストーリー - 74%
    74%
  • キャラクター - 96%
    96%
  • 演出 - 88%
    88%
  • 映像 - 72%
    72%
  • 音楽 - 66%
    66%
79%

映画レビューまとめ

中にはこういう映画が嫌いな人もいるでしょう。ちょっと政治色が強くて、ちょっと偽善的で。でもそれでもこの温かさが嫌いな人はそうそういないと思われる。それほどにイヤミのない温かさを表現している映画。

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