- 公開:1997/12/20
- 監督:マーク・ハーマン
- 出演者:ピート・ポスルスウェイト, タラ・フィッツジェラルド, ユアン・マクレガー
- 製作国:イギリス, アメリカ合衆国
- 上映時間:1時間47分
ブラス!という映画をご存じでしょうか?1996年に公開されたイギリス映画で、その名の通りブラスバンドを扱った映画です。
ただ、原題は『Brassed off』でイギリス英語では「怒った」という意味。
一体何にお怒りなのかと言いますと、閉鎖しそうな炭鉱の町を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマでして、サッチャリズムという経済政策に対する怒りなのです。
この映画にはモデルがあって、グライムソープという町にグライムソープ・コリアリー・バンドというブラスバンドが、炭鉱の閉鎖が決まった年に全英ブラスバンド選手権で優勝しているんですよね。
その演奏は鬼気迫るものがありまして『Brassed off』というわけです。
と、まぁそんな映画『ブラス!』のレビューをしていくことにしましょう。正直「つまらない映画だなぁ」とか思っていたら…
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映画『ブラス!』 – ストーリー
公開日:1996年11月01日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:マーク・ハーマン
出演:ピート・ポスルスウェイト, タラ・フィッツジェラルド, ユアン・マクレガー
ネタバレ注意『ブラス!』のあらすじまとめ
仕事で炭坑町グリムリーに引っ越してきたグロリアは荷物の楽器について大家さんに「夜中は吹かないでね」と注意されつつ、炭坑夫達でやっている「グリムリーコリアリーバンド」の練習場に行ってみたらと紹介される。
「グリムリーコリアリーバンド」のメンバーは炭坑閉鎖問題で個々の抱える問題について悩んでいて演奏にも集中できていない。
そんな中でグロリアの参加によって希望を見出す。よそ者は入れないと断った指揮者のダニーだったが、彼女がこの町の出身であり、ダニーの親友の孫であることがわかる。またメンバーの一人であるアンディとの幼馴染であることもわかった。
彼女は自分の演奏について未熟だと謙遜したが、その演奏を聴くと才能光るものがあった。拍手が沸き起こり、彼女は温かくバンドに迎え入れられたのであった。
だが、しかし。
実は彼女の仕事は炭坑についての報告書を作成すること。つまり、炭鉱をつぶそうとしている経営者側の人間だったのだ。
グロリアは、自分の仕事は炭坑閉鎖を再考させるためのものだと考えているらしいが、アンディはそれを知って、彼女のやっていることがいかに無意味かを悟らせた。
いくら炭坑について再考の余地ありと報告書を作っても、経営側はそれを読みもしないし、最初から決まっていることを行うだけ。
つまり、グロリアの行動はあくまでもポーズであり、PRのためにやっているだけ。それを知らないグロリアはうぶなだけだ。と。
その後、恋仲になる二人。
炭坑閉鎖問題は炭坑夫たちに存続か、高額な退職金を受け取るかの投票を行わせた。
バンドは決勝進出が決まったが、それと同時期に炭坑閉鎖も決まった。その結果を知るか知らないかのうちに指揮者のダニーは倒れてしまう。長年の炭坑夫での生活により、肺がやられてしまっていたのだ。
炭坑が閉鎖するまではバンドを続けるが閉鎖が決まったら辞めることを決めていたメンバーは決勝を目の前にして参加しないことを決意し、最後の演奏としてダニーが入院している病院の前で演奏を行った。
ダニーはその演奏が最後の演奏だとは知らない。
ダニーの息子であるフィルはみんなに決勝には参加しないことを伝えるようにお願いされたが、その勇気も出せずに言えずじまい。さらには彼の家は借金により差し押さえられ妻は子供を連れて出て行ってしまった。
絶望のふちに立たされたフィルは自殺をはかる。早急に発見され未遂に終わったが、そこで初めてバンドが解散したことを告げる。
グロリアは経営側に裏切られたことを知った。炭坑の閉鎖は2年も前から決まっていたことだった。やはりアンディの言う通り、グロリアのやっていたことはポーズだった。グロリアは資料をたたきつけ、会社を辞めた。
その退職金を持って、みんなが落ち込んでお酒を飲んでいる酒屋に向かう。
決勝に必要な3000ポンドを彼女は出すといった。罪の意識をぬぐうためではなくみんなのために。一度はあきらめていた決勝戦だが、グリムリーコリアリーバンドは出場することを決意する。
決勝当日、グリムリーコリアリーバンドは力強く、ウィリアム・テル序曲を演奏した。彼らの演奏は多くの人の心を捉え、見事優勝。
病院を抜け出して観に来ていた、指揮者のダニーはその優勝演説でこう語る。
「トロフィーの受け取りを拒否します」
その後、語った政治や社会情勢、人間の尊厳について語ったスピーチは人々の心に深く刺さったのであった。
『ブラス!』の名言
アシカやクジラのためなら立ち上がる
家はないけど、椅子ならあるよ
『ブラス!』のおすすめポイント
・なんといっても、最後のダニーの演説。
・ブラスバンドに興味なくても圧倒されるウィリアム・テル序曲。
とにかく我慢して最後まで観てよかった…
正直、炭坑の話はどこか暗くて、観ていると気持ちが下がってくるのであまり得意ではありませんでした。
過去に見た映画で、炭坑の話をテーマにした『遠い空の向こうに』はあくまでもポジティブな流れの映画だったのでまだ観れましたが、今回はずっと通しで暗い感じなのです。
それをブラスバンドの音楽が和らげてくれている映画なわけですが、観ている最中は何度も一時停止して席を立ってしまうほど集中してみることが出来ませんでした。
なんというか、話が暗すぎて、ストーリーにのめりこめなかったのです。
でも、最後まで観てよかった。
うん。
最後の演説には泣かされました。やっぱり映画にもギャップは必要なんですね。あまりにもずっと暗い話だったけど、それが最後の演説で裏返って、言いたいこと言ってくれて、最後の威風堂々という曲でラストを迎える。なんか爽快感すら感じるラストでした。
とりあえず、最後まで観て!それで判断して!っていう映画です。
映画『ブラス!』 – まとめ
話は変わりますが、この映画に出てくるグロリアという女性、本当に可愛いです。かなりタイプです。
彼女が振り返るシーンがあるんですが、もう、その笑顔にやられます。
ただ、気になって、彼女のことを検索してみたら、現在の彼女の写真が出てきてだいぶふけちゃってました…。外国人の方は若いときと年老いたときの差が激しい気が…。
ううう。
でもだからこそ、美しさは「美しい」のかもしれませんね。いつか果てるからこそ、一瞬の輝きが一層煌めくのです。
まぁ、それはさておき、ここまで最初の印象とラストまで観たときの印象が変わる映画も珍しいと思います。くっそつまらんとか思っていたのに、最後には号泣。
終わりよければすべてよし!な映画でした。
もしかしたら、僕があまりブラスバンドに興味が持てなかっただけなのかもしれないですが、いい映画には違いありませんので、よかったら見てみてくださいませ。
2chとかでもたまに名前が挙がる作品なので、名作なのは間違いないはず。
ではでは、『ブラス!』でした。
あ、『ユージュアル・サスペクツ』に出ていたコバヤシ役の人がダニーだったので、ずっと僕は彼が何かしてくるのではないかとドキドキしながら観ていました。関係ない話ですけどね。
ではでは。
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ブラス! - 感想・評価
公開日:1996年11月01日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:マーク・ハーマン
出演:ピート・ポスルスウェイト, タラ・フィッツジェラルド, ユアン・マクレガー
ブラス!
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ストーリー - 65%
65%
-
キャラクター - 80%
80%
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演出 - 95%
95%
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映像 - 60%
60%
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音楽 - 85%
85%
映画レビューまとめ
ラストの演説がすべて!暗い話でも耐えられるあなたにオススメの作品。