ビッグ・フィッシュという映画をご存じでしょうか?『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』などで有名なティム・バートン監督の2003年の作品なのですが、個人的には非常に思い入れがある作品なのです。
…と言うのも学生の頃、勇気を出して片思いをしていたあの子を誘って初めて映画館で映画を観た作品がこの『ビッグ・フィッシュ』でした。10年以上も前に観た作品を今再び鑑賞してみることにしたのですが、今回のレビューはおそらく評価が高くなると思います。
なぜなら面白そうに語るあの子の顔の記憶があるから。
えー、ぶっちゃけ、初めてこの映画を観た時の映画内容の記憶はほぼありません。正直、その時の僕はまだまだ初々しい時期でありまして、となりに好きな子が座っていると考えるだけで緊張しちゃってほとんど映画の内容が頭に入ってきていなかったのです。
しかし観終わった後に、その子が結構良かったよね?と笑顔で聞いてきた顔がやけに印象に残っています。大戸屋で。
僕は大戸屋ランチの目玉焼きを見つめながら、なぜ目玉焼きがあるものを頼んでしまったのだ…と後悔をしていました。好きな子の前で、この目玉焼きはどうやって食べるべきなのかを苦心していたのです。潰していいものか?食べ方が汚いと思われないか?とかね。
結局、あ!あの人!とか気をそらした内にひょいと目玉焼き全部を口の中に運びましたが、そんな努力もむなしくその子とはなんの進展もなく終わりました。
…なんて話をしている場合じゃない。ビッグ・フィッシュの話でしたね。そんな感じで緊張から映画が全く頭に入っていなかったので、10年経った今、改めて映画『ビッグ・フィッシュ』を観ることにしたのですが…
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映画『ビッグ・フィッシュ』 – あらすじ
公開日:2003年12月10日
ジャンル:冒険映画, ヒューマンドラマ映画, ファンタジー映画
監督:ティム・バートン
出演:ユアン・マクレガー, アルバート・フィニー, ビリー・クラダップ
妻と暮らすウィル・ブルーム。彼の父親、エドワード・ブルームは話すことが大好きで、自分の人生の出来事などを言葉巧みに話し、いろいろな人を魅了する。ウィルも小さい頃はそんな父の話を聞くのが大好きだったが、大きくなるにつれ作り話であることに気が付き、次第に父のそういう話に嫌悪感を示すようになる。
決定的だったのは、ウィルの結婚式の時。主役はウィルだったはずなのに、エドワードは得意の話で観客の注目をすべて持っていってしまう。このことに激怒したウィルはいよいよ父親に怒りをぶつけ、仲たがいが生じ、それ以来彼ら親子の不仲は続いていた。
3年。ろくに会話もせず父と疎遠になっていたウィルの元に父親が病で倒れたと連絡が入る。ウィルとその妻は飛行機で実家へ戻る。しかし、ベッドに横たわっているも相変わらず作り話が好きな父。その姿にウィルは苛立ちを覚え、なぜ本当の事を話してくれないのだと父親に嘆く。二人はいまだにお互いを理解しあえないままだった。
そうこうしている間にも父親の体は弱っていく。
ある日、ウィルが父親の荷物を整理していると、古い証書を見つけた。そこに書かれていた女性の名前の見て、ウィルはその女性に会いに行く決心をする。父親の本当の過去の事を聞きにいこうと思ったのだ。
そこで出会った女性から、父の話はすべてが嘘であるわけではなく、真実も含まれているのだという事を教えてもらう。そして父親は本当に多くの人から慕われていたこと、妻と子を本当に愛していたことを教えてもらう。
その事を知ったウィルは、いよいよ最期の時が近づいた父と話をし、和解する。
そんな感じのストーリーです。恐らくネタバレにはなっていないかと。ま、ネタバレしても楽しめる系の映画ですので。
映画『ビッグ・フィッシュ』はファンタジーと現実が行き来する
この映画は、病床で寝ている父と子の現実のやり取りと、父の語るおとぎ話のようなファンタジーのシーンが交互に描かれて進行していきます。
ご存じ、ティム・バートンと言えばファンタジーの申し子。父の語る昔話の場面ではその特徴が前面に押し出されている。一方、現実の世界での父と子の不仲の部分では、え?これ本当にティム・バートンの作品?って疑ってしまうぐらいファンタジー色が一切取り除かれ、その交互のメリハリが今までのティム・バートンの作品からは一皮むけた印象を与えてくれる。
…うん。正直、ファンタジーあんまり得意じゃなかったんだよね。よって、ティム・バートンの作品はチャーリーとチョコレート工場だったりナイトメアー・ビフォア・クリスマスだったりファンタジー一色の作品は微妙な感想を持っていたんだけど。
でも、この作品ではそれが一変。この人やっぱりすごいんだなって思った。うまーく現実とファンタジーを交差させて、最後には綺麗にまとめている。爽快感。爽快感。爽快感。
父親の誰も信じないホラ話というのがタイトルの「ビッグ・フィッシュ」という事なんだそうだけども、このタイトルが最後にピターーーっとハマった時にはもう泣いていたよ。
過去に観た時は隣の子が気になって泣いたりしなかったけど、この作品は泣ける作品だったんだね。
ファンタジーと現実がいい具合にチョイスされて、シェイクされて、いい感じのカクテルとして味わえるみたいな。そんな感想。
映画『ビッグ・フィッシュ』 – まとめ
結構、見事な演出だったと思います。映像はちょっと古臭いCGな感じだけどそれはご愛嬌で。ティム・バートンの事、結構見直しました。ティム・バートンの父親が前年度に亡くなり、子供を授かった自身の物語とも取れるとWikipediaに書いてありましたが、こういう作品をもっともっと作ってくれたら嬉しいです。ファンタジー一色ではなく、現実と綺麗に織り交ざっている感じの。
はい。
昔見たはずの映画で、ここまで感動出来るとは思っていませんでしたが、やっぱりいいものはいいんですね。あと、若い頃にはわからなかった感覚みたいなものも歳をとって変わってきたのかもしれません。
見たことない作品を観るのも充分面白いけど、だいぶ昔に観た映画を改めて観てみるのも面白いもんだなと悟りました。
そんな感じです。
ではでは。『ビッグ・フィッシュ』でした。
あ、若かりし頃の奥さん役をやったアリソン・ローマンは声優さんでもあって、「風の谷のナウシカ」の英語版吹き替えの声の人ですよ。可愛らしい方です。うん。
ビッグ・フィッシュ - 感想・評価
公開日:2003年12月10日
ジャンル:冒険映画, ヒューマンドラマ映画, ファンタジー映画
監督:ティム・バートン
出演:ユアン・マクレガー, アルバート・フィニー, ビリー・クラダップ