ネバーランドという映画をご存じでしょうか?ジョニー・デップ主演で2004年に公開されたアメリカとイギリスで制作された映画です。
ネバーランドと言えばピーター・パンに出てくる夢の島。
そして、この映画はそのピーター・パンの作者であるジェームス・マシュー・バリーがピーター・パンのモデルとなった少年と出会い「ピーター・パン」を完成させるまでの実話をもとにした物語なのです。
つまり、ジョニー・デップがジェームス・マシュー・バリーを演じているわけですが、僕は最初に観たときにそれがわかりませんでした。
ちなみに、このブログでは2012年に感想を一度書いた事があります。
「『ネバーランド』観る前に知る事。この映画は前情報が必須の映画だ!」というタイトルで、僕には子供の心がなかったのかもしれませんね…的な事を書いて酷評していました。
今回、改めて観てみると全く感じ方が変わった事をまじまじと実感しました。映画とは自分の生きた人生によってとらえ方が変わる奥深いものなのかもしれません。
という事で、映画『ネバーランド』のレビューをしていくことにしましょう。
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映画『ネバーランド』 – ストーリー
公開日:2004年11月24日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画, ファミリー映画
監督:マーク・フォースター
出演:ジョニー・デップ, ケイト・ウィンスレット, ジュリー・クリスティ
劇作家のジェームスは新作の劇が新聞でも叩かれる程失敗に終わる。落ち込みながら公園に散歩しに行くと未亡人のシルヴィアと4人の子供が遊んでいる場面に出くわす。3人の子供が無邪気に遊ぶ中、三男のピーターだけは父親の死によって心に傷を負い、夢を諦め心を閉ざしていた。そんなピーターにジェームスは想像する事、物語を書くことを教え、妻がいるにも関わらずその家族と一緒に遊ぶ事に時間を費やした。そしてその中で物語の着想を得ていくのだが…
もし、あなたにピザ屋で『ネバーランド』ってどんな映画?あらすじは?と聞かれたなら…
この映画は一言で言えば、ピーター・パンの誕生までを描いた実話を元にしたヒューマンドラマなんだ。
主演はジョニー・デップで、ピーターパンの作者のジェームス・マシュー・バリーを演じている。正直な所、ジョニー・デップはそれほど好きではなかったんだけど、前にこの映画を観てあまりにも内容を理解出来ずに終わってしまったから、もう一度ちゃんと理解した上で観ようと思ってみてみたんだ。
恥ずかしすぎて5年前の自分を殴ってやりたくなったね。その記事は削除しちゃったけど、その時の僕が書いたレビューのメモをちょっと見せてあげよう。
ジョニーデップ主演のネバーランドを観た。
監督はマーク・フォースターで第77回アカデミー賞では7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞したそうだったので、とりあえずアカデミー賞関連は観てみようと思い観てみることにした。
うーん。どうだったろう…。
この映画は現実と想像の映画で、想像上の事が現実に起きているかのように撮られている。いや、正しくは現実に起きているように「想像」しているように撮られている。
主人公は有名な劇作家。
あのピーターパンの作者だ。
つまり、ピーターパンがどのように出来上がったのかを映画化したもの。
この話は実話らしい。
ただ、実話をかなりフィクションのようなファンタジーに仕上げている。心和らぐ内容なのだけれど、僕にはどうも受け付けなかった。
アマゾンのレビューはかなり評価が高かったのだけれど、つまりは僕の心は子供のような純粋さを失ってしまったってことなのかな。
僕にはネバーランドを観る資格がないのかもしれない。もう一度、じっくり子供の頃を思いだしてみてみようかしら。
ただ、誤解はあったのです。
前情報を調べずにこの作品がピーターパンが出来るまでという話なのだと知らなくて、ピーターパンはすでに存在している話で演劇でそれを題材にやろうとしている劇作家の話だと思って映画を観てしまいました。
それで、なんとなく中途半端な話だなって思って、調べたら本家のピーターパン制作秘話的な話だったのだから、そういう感じで観ていたらちょっとは違っていたかもしれないな。
まとめ
映画を観る時はある程度、その作品について調べてから観たほうがいいものもあるという事を学びました。
決して駄作ではなかったので、興味があればぜひ。
僕も時間を空けてから、もう一度観てみようと思います。友人は絶賛していたほどの映画だったので、その感覚を理解できないのはちょっと悔しいですから。
2012年6月5日
おい!何がちょっと悔しいですからだ!すましてるんじゃないよ!おっちゃん、この映画を観てボロンボロン泣いたぞ!5年前の僕の馬鹿野郎!ファンタジー要素が受け付けなかっただと!想像する事の大切さを伝える、素晴らしい演出じゃないか!
…と、まぁ過去の自分に対する不甲斐なさを語っても仕方がないので、あらすじをお話することにしましょう。
ジョニー・デップ演じる、ジェームスは既婚者で奥さんは元女優の方。そんな二人の間は微妙な関係で、常に劇のことを考えてばかりいるジェームスに奥さんのメアリーは愛想を尽かし気味だった。新作も失敗。社交場でもみんなの冷たい反応に奥さんは苦笑い。
そんな中、ジェームスは散歩に出かけた公園で、ごっこ遊びをする無邪気な子供に出会う。4人の子供を連れた未亡人のシルヴィアに出会ったジェームスはそれ以降、その家族に深く関わっていくことになる。実話だと5人兄弟のようなんだけどね。まぁ5男はまだ赤ちゃんだったから物語に参加させづらかったのだろうね。
4人兄弟はジェームスになつくようになったが、ただ一人三男のピーターだけは父親の死以降、子供でいる事を辞め、ジェームスの言う空想や物語を否定し、くだらないものだと心を閉ざしていた。だってお父さんは死んでしまったじゃないか。僕はそんなものに騙されないぞと。
それでもピーターを見捨てられないジェームスは一冊の本を渡し、物語を書いてごらんと勧める。ピーターは徐々にジェームスに心を開いていく。
何度も4人の子供に会いに行き想像ごっこで遊ぶジェームス。一日の大半をそこで過ごすうちに、周囲から、“妻がいるにも関わらずシルヴィアに熱を上げている”と噂されるようになると、社交場の顔を大事にする妻のメアリーも段々冷たくなってくる。
まぁ、ジェームスは一度シルヴィア一家を家に招いて食事会をしたのだけれど、その時にメアリーは家族のみすぼらしさに陰口を言っていたし、シルヴィアの母親が社交場で顔の通ったご婦人だったから媚を売ったのにあしらわれてしまったから家族を受け入れなくなってたんだけどね。
ジェームスはその家族と関わっていく事で、自分の書きたい芝居は社交場の金持ち達を相手にする堅苦しいものではなく、もっと遊び心の持った物語のはずだと筆をすすめる。
しかし、どうやらシルヴィアの様子がおかしい。彼女の咳をする回数は増えたが、その事をひた隠しにする。父親を失った子供達に悲しい思いをさせたくないのだ。それでも病気は悪化する一方。夫と同じ病気にかかっていた。
一旦はジェームスに心を開きかけたピーターはまたもふさぎ込んでしまう。ジェームスに貰った本もビリビリと破く。せっかくピーターは物語を書きはじめていたのに…。
そんななかで、ジェームスは一家と過ごした経験を元にひとつの芝居を書きあげ、劇場で公開する。そしてその公演には今までは似つかわしくないと金持ち達から避けられていた孤児院の子供達を招待した。
結果、公演は大成功。新聞でも取り上げられ、ジェームスは引っ張りだこになる。しかし、妻のメアリーはその成功を見届け、ジェームスに別れを告げる。ま、メアリーも浮気してたんだけどね。その人の元に行っちゃったのだよ。
ジェームスの事を嫌っていたシルヴィアの母は、自分で家に来るなと追い払っていたにも関わらず「人気者になると家にも近づかなくなるのね」と毒づいた。
その時、ジェームスは病床のシルヴィアを訪ね、劇団を連れ彼女の家で小さな公演を開く。ティンカーベルが弱り果て、光が消えそうなシーン。
「妖精は子供に信じてもらえなかったら死んでしまうんだ。もし子供たちが妖精を信じるなら、元気になれる。妖精を信じますか」ピーターパンは家族に問いかける。
シルヴィアの母は強くうなずき、家族も全員で信じて手を叩く。ティンカーベルは光を取り戻し、ネバーランドが開かれる。シルヴィアの目はネバーランドの世界で輝いていた。
このシーンのシルヴィアの母親が必死で手を叩くシーンが好きなんだ。シルヴィアの母は娘を苦しめるからとジェームスを冷たくあしらっていたけど、本当に娘のことを思っていたんだってウルウルしてしまった。単なる意地悪ばあさんかと思っていたけど、ごめんなさい。本当にごめんなさいって感じだった。
話が脱線してしまった。あらすじに戻そう。
…現実は悲しく、シルヴィアは病気で亡くなってしまう。
彼女の死によって、ピーターは落胆し、ジェームスを突き放そうとするも、彼女の遺言によって後見人になったジェームスは子どもたちとずっと一緒にいることを決意し、ネバーランドにお母さんはいる。君が望めば信じる力でいつでも会えるんだと励ましピーターは心を開く事が出来たのだった。
その手にはビリビリに破ってしまったがシルヴィアによって貼り直されていた本があった…。
観たの二回目なのに興奮しすぎてあらすじ上手く伝えられんかったわ。なぜ同じ映画なのに、こんなにも違うように見えたのか不思議なぐらい、すげー泣いた。ま、こんな感じで話しちゃうとハードル上がっちゃうから今の話を忘れてくれってぐらい何の先入観も持たずに観てほしいけど。
この映画、色んな人の成長が見られるんだよね。劇作家ジェームスの成長でもあるし、父親の死から立ち直れなかったピーターの成長でもあるし、シルヴィアの子供を思うが為に自分の病気をひたすら隠そうとする事が逆に子供を心配させてしまう事に気がつく成長もある。
シルヴィアの母親の娘を思う気持ちがジェームスを遠ざけてしまった事が間違いだったと気がつく成長でもあるし、ピーター以外の子供がそんなおばあちゃんに意見できるように大人になる成長も見られる。
ジェームスの妻にしても、ジェームスが書いた演劇を見て、この作品はやはりあの家族と関わらなければ書けなかったと認め、自分の嫉妬で曇ってしまったジェームスへの評価を見直す成長でもあるし。まぁ、これは結果的に夫婦間が上手くは行かなくなってはしまった悲しいことでもあるけど。
本当に色んな人の成長が見れる上に、母と息子の気の使いあいによって、うまくいかないすれ違いが愛でいっぱいに溢れたものという所も見どころだし、もうもうもう!なぜこんな作品の魅力を5年前は気がつくことが出来なかったんだろう。
本当にみんなで妖精を信じて手を叩くシーンはずっと泣いてたよ。くそう。
ジョニー・デップの見る目が変わった作品だったなぁ。すげーあってた。切ない目線と温かい目線と、目線が本当に良かった。
『シザー・ハンズ』とか『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか『チャーリーとチョコレート工場』とか変わりモノな作品に出ているイメージだったけど、こういう感じの役だったら他の作品も観てもいいな。
そーだなぁ。『ビッグ・フィッシュ』みたいなファンタジー要素が盛り込んだ映画が好きなら、この映画が好きかもしれないね。あっちは別に実話を元にしたってわけではないけど、現実とファンタジーが入り混じっている感じが似てると思うから。
ま、興味が湧いたら『ネバーランド』は一応、実話を元にしたピーターパンの誕生秘話って事は頭に入れておいてから観たほうが、最初に観た時の僕みたいに意味がわからないって事にはならないと思うよ。
…そんな事を『ネバーランド』についてサルシッチャでも食べながらピザ屋で話すと思います。
『ネバーランド』の名言
君の曇った目には見えないだろう。だが、ほんのわずかな想像力で私にはたちまち見えてくる。
信じるんだ。疑ってはいけない。
たった30秒で君は大人になった。
あのお芝居を見てからまた書き始めたら、やめられないんだ。
『ネバーランド』のおすすめポイント
・ピーター役の子の目に涙を貯めているシーンがものすごく訴えてくるものがある。
・ジョニー・デップのシリアスな演技がツボる。
・愛に溢れたピーターパン誕生秘話。
・ヒューマンドラマという名にふさわしい様々な人の成長が見られる映画。
映画『ネバーランド』 – まとめ
いやー。映画っていいものですね。昔見たクッソ映画と評したものををここまで手のひら返して大賛辞を送ることになるとは思っても見ませんでした。
このブログのフォーマットを変えたので、昔の記事をそのフォーマットに当てはめる為に、内容を忘れてしまった映画を見直そうと思ってこの映画を見たのですが、本当に良かった。
これからももしかしたら、昔酷評したけど、評価が変わるって映画沢山出てくるかもしれない。
なんだかんだで、この映画ブログも結構長いことやってるからなぁ。僕も成長してるんだな。昔はとにかく沢山記事を書こうとして、映画を毎日観るぞ!なんて意気込んで消化している感は否めなく、一度観ただけで理解出来なかったものはそれだけで、クソ映画とか評価してたのかも。
毎日1映画が無理だとわかって一つの作品をじっくり見てしっかりレビューしようと思うようになって、ちゃんと映画を理解するために色んなレビューを読んだりするようになったのも大きいのかもしれないなぁ。
ネバーランド。ピーター・パンの物語。ピーター・パン観たくなってきたな。あれもじっくり観たことないんだよな。桃太郎的な感じであらすじだけ知ってるみたいな。
アニメが若干頭に残ってる感じ。なんとなくゼベット爺さんが出て来るイメージあったけど、ゼベット爺さんはピノキオだった。
人間の記憶、感情なんてあてにならないものですね。まだまだこれから成長中。頑張ってる途中。
ではでは『ネバーランド』でした。あぁ。本当にいい映画だった。
これからもひとつの映画に誠実に向き合って、レビューを書いていきたいと思います。
ネバーランド - 感想・評価
公開日:2004年11月24日
ジャンル:伝記映画, ヒューマンドラマ映画, ファミリー映画
監督:マーク・フォースター
出演:ジョニー・デップ, ケイト・ウィンスレット, ジュリー・クリスティ
ネバーランド
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ストーリー - 90%
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キャラクター - 95%
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演出 - 95%
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映像 - 80%
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音楽 - 85%
89%
映画レビューまとめ
この映画はしっかり調べてから観ても充分に楽しめる映画だと思うので、ネタバレを恐れず色々なレビューを御覧ください。期待しすぎてハードル上がり過ぎて実際観てみたらなんだよ…って事が多くある僕でも、この映画は別格だと思います。一回観たことがあるわけでネタバレもしてるのに、こんなに感動できた。それだけこの映画が持っている魅力はストーリーだけにあるわけではないのかもしれません。ピーターパンの世界観、ファンタジー要素が現実の問題と重なり合わさっていい味を出している。