ナイト ミュージアムという映画をご存じでしょうか?2006年公開のアメリカ映画なのですが、続編が2つ作られるぐらい好評だった映画なのです。
僕がこの映画を知ったのは、好きな俳優であるロビン・ウィリアムズのWikipediaで、主な出演作に『ナイト ミュージアム』という名前が3つもあるのを見つけたからです。
とりあえず観てみるかぐらいな気持ちで観てみたのですが、まさかこんなに素晴らしい映画だとは思いもしませんでした。
今まで長いこと、このサイトで色々な映画を採点してきましたが、100点をつけたものはありません。
しかし、今回初めて、演出に100点をつけました。
それだけ素晴らしい演出だったのですが、どこがどう素晴らしかったのか、映画『ナイト ミュージアム』のレビューをしていくことにしましょう。
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映画『ナイト ミュージアム』 – ストーリー
公開日:2006年12月22日
ジャンル:冒険映画, コメディ映画, ファミリー映画
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー, カーラ・グギノ, リッキー・ジャーヴェイス
どんな仕事も続かず住む場所も転々とする中年男のラリーは、離婚した元妻と住む息子のニックに安定した職に就くように諭されてしまう。ガッカリした息子の顔を見てしまったラリーは職業斡旋所で自然史博物館の警備員の仕事を紹介してもらう。経営不振で3人の老人警備員をクビにし、代わりに新しくラリーを夜勤警備として雇うというその博物館にはある秘密があった。夜になると魔法の力で展示物たちが暴れだすのだ。一人で対処しきれないラリーはまたもや仕事を辞めてしまいそうになるが…
もし、あなたに海の家で『ナイト ミュージアム』ってどんな映画?あらすじとか評判は?と聞かれたなら…
この映画は一言で言えば、“父親が息子の信頼を取り戻すファンタジー”なんだ。
映画とはこうあって欲しいという願望が見事に叶ったハッピーな作品。
観終わった後、こんなにも幸せな気持ちで一杯になった作品は久しぶりだな。
コメディ映画が似合う俳優さんのイメージだから、この作品にピッタリ。
そのベン・スティラーが演じるラリーは冴えないバツイチの中年男性。
夢ばかり追いかけ、妙な発明で一攫千金を狙ったりするが、どれもうまく行かず職も転々とする。
それでいいとラリー自身は思っていたが、離婚した妻と一緒に住む息子のニックに定職についた方がいいと心配そうな顔で諭されてしまう。
ニックは元妻の再婚相手の職業である債権トレーダーを将来の夢だと言っていた。
これではダメだと職業斡旋所に行き、なんとか職業を紹介してもらったが、なぜかみんなに断られるといういわくつきの場所。
それが今回の映画の舞台である自然史博物館。
経営不振でお客さんはほとんどおらず、人件費削減のため3人の老人警備員をリストラして1人の警備員を雇おうとしているのだった。
ラリーはセシルを代表とする3人の爺さんから一冊の手引書とともに仕事の説明をざっくりと受け、夜勤警備を始める。
広い博物館で一人警備をして周るラリーだったが、いつの間にか馬鹿でかいティラノサウルスの骨の標本が消えている事に気がつく。
セシルのいたずらかと思い、呼びかけるが、返事をしたのは大暴れする骨の恐竜。
大慌てで逃げ出しセシルに電話をかけたが、そんな事当然かのように手引書を読めとだけ言って切られてしまった。
恐竜だけではなく、博物館のあらゆる展示物達が命を宿し大暴れする。
時には恐ろしい部族に八つ裂きにされそうになり、時にはミニチュアな人間達にガリバー旅行記のように体を縛り付けられ、時には南北戦争で闘う顔のない兵隊達の戦争に巻き込まれ、マンモスやライオンに襲われる。
いたずらな猿には鍵を盗まれ、文句をいうとおしっこをひっかけられる始末。
一冊しかない手引書も破られてしまった。
様々なひどい目に合うラリーを助けてくれたのは第26代大統領セオドア・テディ・ルーズベルトの蝋人形。
彼がこの不思議な現象の原因は古代エジプトのブースにある「アクメンラーの石版」にあるのだと教えてくれる。
しかし、原因がわかった所で自分の仕事の内容が変わるわけではない。
自分には手に負えないと判断したラリーは仕事を辞めるつもりだとテディに告げると、「この世には生まれつきの偉人となりゆきの偉人がいる。君が偉大になるチャンスは今だ」と言い残し元の展示物に戻っていった。
博物館の展示物達は朝が来ると魔法が解ける。
様子を見に来た3人の老人警備員。夢のような出来事が過ぎ現実に戻されたラリーはふつふつと抑えていた不満が爆発し、3人に仕事を辞めると告げ博物館から外に出た。
しかしそこにニックと再婚相手の男がラリーの職場を見学しに来ていた。
こんな所で働けるなんてすごいと嬉しそうなニックの顔を見て考え直すラリー。
セシルにやっぱりもう一晩働いてみると言い直し、手引書はないかと質問する。
「あれは一冊しかないのだ、歴史を勉強すれば対処できるようになる」とアドバイスをもらったラリーは、博物館の案内をしている女性のレベッカの話を聞いたり、本で調べたりして知識をつけていく。
そして夜勤警備に就くとあれだけてんやわんやだった展示物達にも対処が出来るようになり、仕事のコツを掴めてきた。
だが、ちょっとのミスを神経質な館長に指摘されクビだと言われてしまう。
なんとかもう一夜だけチャンスをもらったラリーだったが、運悪くクビだと告げられているシーンを友達に父親を自慢しに来たニックに見られてしまう。
またもや仕事が続かなかったねと家でガッカリしているニックに、夜の魔法の出来事を見せてやろうと職場に連れて行くのだが、時間になっても展示物たちは動き出さない。
なぜ動かないのかと原因を探ると「アクメンラーの石版」が無い。
何者かの影を見つけたラリーとニックは…。
こんな感じのあらすじ。ここから盛り上がっていくのだけれど、ネタバレになるのでここまでで。
ストーリー的にはそれほど難しくもなくひねりもない。わかりやすい話なので、子供と一緒に見ても楽しめる作品。
ただ、そんなある意味ありがちな話であるにも関わらず、ここまで楽しめるのは演出の素晴らしさだと思うんだよね。
一つ一つが凝っていて、ミニチュアなキャラ達が一生懸命やっているシーンを激しく見せたかと思えば、人間サイズに戻した視点でギャップを楽しませるカメラワークがあったり、最初に主人公が妙な発明の話をしていたことがラストに効いてくる伏線だったり。
親と子供の絆を主軸に据えつつ、博物館の案内人と憧れていた偉人の対面だったり、展示物同士の恋愛や、諍いあっていた者同士の和解…などなど、色んな所で色んな話がすべてうまくいく。
それが見ていて本当に爽快で、映画とは夢を見せてくれるものなのだと実感したね。
現実にはこう上手く行かない事が多いからこそ、せめて映画の中だけでもひとつのミスなくすべてが上手くいく世界を見たい。そんな願望を満たしてくれる映画だよ。
もちろん、リアリズムを否定しているわけじゃないよ。
現実をありのままに見せてくれる映画も勉強になるけど、時にはこういう不思議な力によって勇気をもらえる作品を見たっていいじゃないか。
ご都合主義と言っちゃえばそれまでだけど、全部が自分の都合のいい世界もたまにはいいよね。
そしてやっぱり、僕の中じゃロビン・ウィリアムズは特別だわ。
この人が自殺してしまったなんて、今でも受け止められない。
この人の存在、この人の話す言葉、その優しい語り口調、たまに見せるおどけた芝居。僕の心にすーっと心地よい風を吹かせてくれるね。
それとエンディングロール中もちょっとしたおまけ映像ついているから見逃さないようにね。
僕が一番好きなシーンはラストで博物館の館長がラリーにライトを渡すシーンで、その時の館長の表情が実にイイ!
ラストにEarth, Wind & Fireの
Septemberをかけるあたりは、観る人が観ればニヤッとしちゃうんじゃないかな。
ま、興味が湧いたら調べたりしてみてよ。続編が2つ出ているみたいだけど、Amazonプライムビデオで今のところ観れるのは今作品だけみたいだね。
…そんな事を『ナイト ミュージアム』について焼きとうもろこしを振りかざしながら海の家で話すと思います。
『ナイト ミュージアム』の名言・心をざわつかせた言葉
恨みがあっても僕は人に小便なんかひっかけないぞ。
たとえ体は小さくてもハートは大きいのだ!
人間、何事も独立独歩だ。答えは自分で探すのだ。
この世には生まれつきの偉人となりゆきの偉人がいる。君が偉大になるチャンスは今だ。
過去を知ることが未来につながる。
たった一晩で努力とは言えん。
私は蝋でできてる。君は違うだろ?
息子の前で僕をバカにするな。
『ナイト ミュージアム』は↓こんな作品や世界観が好きなあなたにおすすめ。この映画を観ている時にパッと思い浮かんだ映画・小説・漫画・アニメ・テレビドラマ、または音楽など
公開日:1995年12月15日
ジャンル:冒険映画, コメディ映画, ファミリー映画
監督:ジョー・ジョンストン
出演:ロビン・ウィリアムズ, キルスティン・ダンスト, ボニー・ハント
似てる似てないはあくまでも個人的な意見ですが、ジュマンジがまずはじめに頭に浮かびました。ジュマンジは僕が人生で初めて観た映画でもあるんですが、セオドア・ルーズベルト役をやっていたロビン・ウィリアムズも主人公として出ています。ジュマンジの方がファンタジー色が強く冒険ものが好きな人には向いているかも。
『ナイト ミュージアム』のような映画が好きなあなたに、ぜひ次に観て欲しい映画はズバリ…
公開日:2010年06月18日
ジャンル:アニメーション映画, 冒険映画, コメディ映画
監督:リー・アンクリッチ
出演:トム・ハンクス, ティム・アレン, ジョーン・キューザック
普段動かないものが動き出すと言えば、コレでしょう!特にトイ・ストーリーシリーズでも、悪者がいながらもラストには全員ハッピーに終わるという3が今回の映画の雰囲気にもピッタリでオススメ!
映画『ナイト ミュージアム』 – まとめ
いやー、思わぬ伏兵だった。全く期待せずに観ていたらここまで僕好みの映画だったとは…。
ロビン・ウィリアムズはやっぱり素敵だし、ベン・スティラーをそれほど知らなかったけど一気にファンになった。
この映画の本当に素晴らしい所は何と言っても誰も憎むべきキャラクターがいないって所。
大抵の物語には正義と悪があって、正義を引き立てる為に悪がひどいキャラクターとして描かれるものだけど、この映画はそうじゃない。
ちゃんとして理由があって、悪の側にも共感が出来、最終的に懲らしめられはするけど、ちゃんと彼らにもハッピーな結末で終わってくれている。
悪がやっつけられる物語の爽快さとはまた違った爽やかな夢のある映画。
また、展示物達が動き出すというのも誰もが夢見る事で、素晴らしいファンタジーでした。
まぁ、子供が見るにしては少しファニーじゃないかなとは思うんですが、良かったら夜中に一人で観て欲しい映画です。癒されます。
僕はこの映画に出会えてよかった。
ではでは、映画『ナイト ミュージアム』のレビューでした。
ナイト ミュージアム - 感想・評価
公開日:2006年12月22日
ジャンル:冒険映画, コメディ映画, ファミリー映画
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー, カーラ・グギノ, リッキー・ジャーヴェイス
ナイト ミュージアム
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ストーリー - 75%
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キャラクター - 90%
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演出 - 100%
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映像 - 90%
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音楽 - 85%
88%
映画レビューまとめ
正直な所、主人公はジム・キャリーがやった方がいいのでは?と開始10分は思っていた。しかし、この作品を見終わった後にはすっかりベン・スティラーの虜になっていた。彼の作品をもっとみたい。もしジム・キャリーだったら、ロビン・ウィリアムズとの関わりも違っていたものになってただろうし、やっぱりこの主人公はベン・スティラーが適役。演出は初めて100点つけたかもしれない。それだけ完璧だった。一度全てを見た後にもう一度観てみるとその演出の懲りようがよくわかる。細かい所まで行き届いた作品。