- 公開:2003/02/13
- 監督:ヴォルフガング・ベッカー
- 出演者:ダニエル・ブリュール, カトリーン・ザース, チュルパン・ハマートヴァ
- 製作国:ドイツ
- 上映時間:2時間1分
グッバイ、レーニン!という映画をご存じでしょうか?ヴォルフガング・ベッカーというドイツの監督の2003年の作品なんですが、ドイツ映画界では久しぶりの大ヒットのようです。
2003年にベルリン国際映画祭の最優秀ヨーロッパ映画賞を受賞しています。ドイツの映画ですが、フランス映画と言えばこれだろ的な『アメリ』の音楽を担当したヤン・ティルセンが関わっているのも興味深いところ。
んでね、問題はそのジャンルなのです。
内容的には東ドイツの社会主義と西ドイツの資本主義時代からベルリンの壁崩壊、そしてその後のドイツ国民に与えた影響をひとつの家族を通して描いていく作品なんですよ。
だから観終えた後に「グッバイ、レーニン!は非情に感慨深い映画でした」…という感想を持ってAmazonのレビューを見てみたのだけれど、みんながみんな「この映画はコメディーだ」って言うので正直戸惑いました。
コメディーじゃないじゃん。ヒューマンドラマじゃん。
…でもね、映画のデータベースであるIMDbにもコメディー映画として分類されているんですよね。
これはあれか。ドイツ国史に詳しくないからわからないのか?
とりあえず、それでも理解には困らないぐらいよく出来ていた映画『グッバイ、レーニン!』のレビューをしていきたいと思います。この映画を根本的に受け取り間違っていたら教えてくださいませ…。
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映画『グッバイ、レーニン!』 – ストーリー
公開日:2003年02月13日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール, カトリーン・ザース, チュルパン・ハマートヴァ
ネタバレ注意『グッバイ、レーニン!』のあらすじまとめ
※ネタバレを含みますので、まだ観ていない方はみなかったことにしてくださいませ。…と言っても一番大事な核心的なネタバレはしませんのでご安心を。
東ドイツの首都ベルリンに住むアレックス。優しかった父は別の女の人を追いかけて西ドイツに亡命してしまった。そのことにショックを受けた母クリスティアーネは魂が抜けたように言葉を話さなくなった。カウンセリングを受けている母を励まそうと、小さい子ながらアレックスは飛行士に憧れていることなど、毎日根強く母親に話しかけ、抱きしめた。その甲斐あって母親は無事、普通の精神状態まで回復した。
精神回復後、母は反動的に狂信的な社会主義者になり、表彰されるほどにまで傾倒していった。アレックスはもう自分で考えることが出来るほど大きくなっていて、母には内緒に反体制デモに参加する。そのデモに参加したことで警察に逮捕されてしまったアレックスだが、その姿を偶然見かけてしまった母はそのショックのあまり心臓発作を起こしてしまう。
母はそのまま眠り続け目が覚めなかった。小さい頃と同じようにアレックスは熱心に母親の病院に行き、意識のない母に話しかける。その看病の間、母親を担当していた看護師ララとアレックスは過去の反体制デモの時に出会っており、偶然の再会を果たす。そして看病を続けるうちに二人は恋に落ち、付き合うことになる。
母が目を覚まさないまま8ヶ月が経った。その間にあれだけ母が傾倒していた社会主義は解体し、ベルリンの壁は崩壊した。その歴史的瞬間を見る事なく母は昏睡状態を続けている。
回復も見込めないと思っていたある日、ララとアレックスが病院でいちゃいちゃしていると母が目を覚ました。すぐに担当医が駆けつけ、状況を把握する。
その医師の話によると、もしもう一度心臓麻痺を起すようなことがあれば今度こそ命が危ないので、ショックを与えるようなことはしないで欲しいとのこと。病院側はそのままの入院を勧めたが、病院内にいてはすぐに社会主義が解体したことが耳に入り、ショックを受けて死んでしまうかもしれないと心配したアレックスは母親を家に連れて帰る事を決意する。
完全に西ドイツの自由な気質の雰囲気になってしまった家の内装をすべて元通りにし、目に見えるものすべて昔のままのように繕ったアレックス。彼の嘘に恋人のララと姉のアリアネ、姉の旦那ライナーは乗り気じゃないまでも口を合わせてくれる。そのうち、母親はテレビを見たいと言い始める。
テレビのニュースが流れてしまえばすべてがバレる。そこで、アレックスは新しい職場で出来た自主製作映画を作っているデニスに頼み込み、偽のニュースを作ってもらった。そこで作った映像をビデオとして流し、話のつじつまを合わせたのだ。
母親にショック死させない為とはいえ、アレックスの嘘にララや姉はイライラし始めていた。本当の事を話すべきだという忠告に耳を傾けず、母へのまっすぐな愛で嘘を貫き通すアレックス。
母親が東ドイツのピクルスの瓶詰が食べたいと言えば、もうすでに存在しないピクルスの便をゴミの中から探し出し、熱消毒をしてラベルを張りなおして中身を入れ替えたりもする。
毎日母に付き添い看病するアレックス。ふとその疲れが出たためか、アレックスは母の前で眠ってしまった事があった。その間に母は自分の足で部屋を抜け出し、外の世界に出た。
そこで目にしたものは自分が知っている東ドイツとは全く思えないような西ドイツ化した自由な資本主義的な街。コカ・コーラの看板や風変わりな建物。奇抜な服の若者。自由なデザインの車。そして決定的だったのは社会主義の象徴、レーニンの銅像がヘリコプターで運ばれていた事だった。何が起こっているのか理解できない母。
アレックスは母親を見つけ再び部屋へ連れて帰る。そして友人に頼み、すべてのつじつまが合うように西ドイツ難民を受け入れることになったと嘘のニュースを作ってもらう。
そのニュースを信じ、難民を受け入れる為に森の小屋を提供しましょうと提案する。すべての要求に答えてきたアレックスは今回もその要求に答える。家族みんなで昔住んでいた森の小屋へ向かう。昔の懐かしい記憶を語り感傷に浸っていると、母親は本当の事を話し始めた。
父親は女を作って西ドイツへ亡命したのではない。家族みんなで亡命するつもりだったのだと。一人一人順に亡命してその先頭として父親が先に行ったのだと。
父は何度も手紙をよこしたし、ずっと家族が来るのを待っていた。しかし、母親は子供を連れて亡命する事のむずかしさに怯え亡命する事をなかったことにしてしまったのだと。
その告白後、母の容態は急変した。母親は病院に戻り危篤状態。恋人のララは看護師の仕事に戻り、看病をした。姉のアリアネは母親が言っていた場所を探し父からの手紙を見つける。その住所を元にアレックスは父親に会いに行き、母親に会いに来てほしいとお願いする。
父親にも母がまだベルリンの壁が崩壊した事実を知らない事を話し、口を合わせてもらう。父が母に会いに来たのをきっかけにアレックスは嘘の世界でも東ドイツと西ドイツの統一させようと決意した。
友人にお願いし、またニュースを作ってもらった。そのニュースを母親と共に観る。母親はその事実に笑顔を示し、素晴らしいわとアレックスに微笑んだ。
その三日後、母は死んだ。
アレックスは母親の遺灰を小さい頃に夢だった宇宙飛行士にちなんでロケットに詰めて空に飛ばした。遺灰を空にまく事は東ドイツでも西ドイツでも禁止されている。しかし、そんなこと構いやしない。
母親への献身的な愛を貫き通したアレックスは空に散っていく遺灰を見て、自分が創りあげた理想的な東ドイツと母親の想い出に浸る。
…こんな感じのあらすじです。
『グッバイ、レーニン!』のおすすめポイント
とにかく病的とも思えるぐらいのアレックスの愛。嘘も方便映画
何と言ってもこの映画の見所はアレックスの母親への愛でしょう。すでに崩壊してしまった東ドイツの国を再現し、すべてのつじつまを合わせる為に様々な工夫をする。
周りは巻き込まれながら、時折嫌な顔もするけれど、アレックスの母親への愛の深さを知って協力してしまう。
ネタバレになってしまうので言えないこともあるのですが、この映画の良い所は母親の死の部分でお涙ちょうだいシーンを描かなかったところ。
これだけ母親を愛しているアレックスであれば、母親が亡くなる瞬間などは号泣ものでしょうが、映画の中ではそこを描かず、その前のシーンを深く掘り下げて作り、そしてあっさりと母親の死後の世界を描いています。
お涙ちょうだいじゃないシーンなのに、献身的なアレックスの愛が実を結んでいるシーンになんだかジーンときます。
意外とキーマンな恋人のララ。彼女本当にいい仕事をします。
映画『グッバイ、レーニン!』 – まとめ
ドイツ映画のヒット作らしいので観てみましたが、考えてみればあまりドイツの映画って観た事なかったな。フランス映画なら『アメリ』があったけど。
あ、冒頭にも書きましたがこの映画の音楽を担当したのは『アメリ』の音楽を担当したヤン・ティルセンです。音楽が地味に沁みてくる映画です。
あまりドイツの事詳しくないですが、とりあえず、前知識として東ドイツは日本人がよくイメージしそうなかっちりした堅そうなドイツ人、西ドイツはアメリカンな自由な国というのだけ知っておくとわかりやすいと思います。
ベルリンの壁崩壊後、東ドイツの文化が廃れ、西ドイツの文化で満たされていったみたいです。
そういう背景があって、ドイツの統一は一体どんな事を国民にもたらしたのかをよく伝えてくれている映画だと思います。なぜにコレがコメディーなのかが何度見てもよくわからないのは、いろいろなレビューを読んだところ、ボケかたが中途半端でわかりづらいからだって事がわかりました。
あくまでもコメディタッチで描いているみたいなので、アメリのような音楽がマッチしているんでしょう。
とりあえず、結構物語的には起伏がなく淡々と進んでいく感じではあるんですが、飽きることなく観れて観終わった後になんとなくほっこりする映画です。
まぁ、もう少しキャラクターに特徴を持たせてもよかったかもしれないけど、こんな感じなのかなドイツの人って。ただ、友人はすげーいいやつです。
はい。
そんな感じの感想です。
ではでは。『グッバイ、レーニン!』のレビューでした。
あ、恋人ララ役のチュルパン・ハマートヴァという女優さんがむちゃくちゃタイプです。クッソ可愛くて困ります。
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グッバイ、レーニン! - 感想・評価
公開日:2003年02月13日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, 恋愛映画
監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール, カトリーン・ザース, チュルパン・ハマートヴァ