『カッコーの巣の上で』あのジャック・ニコルソンが1位に!

カッコーの巣の上でという映画をご存じでしょうか?1975年にジャック・ニコルソン主演で公開されたアメリカ映画なのですが、いたるところで名作だといわれている作品です。

映画史に残る演技ベスト200というのをイギリスの雑誌が発表したのですが、第1位がこの映画のジャック・ニコルソンの演技でした。

そんな映画を、友人に泣けると聞いて教えてもらったのですが、実は最初に見たときは期待しすぎて泣けず「過度な期待はしない方がいい」的な事をこのブログの記事に書いたことがありました。

ですが、やはり映画というものは時間が経ってから観るとまた別の感想を持ったりするもので、今回もう一度観てみると「過去の僕は一体、この映画の何を観ていたんだバカヤロウ」と思えるぐらいこの映画に対する受け取り方が変わっていたのです。

ということで、映画『カッコーの巣の上で』をレビューしていくことにしましょう。

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映画『カッコーの巣の上で』 – ストーリー

カッコーの巣の上で
4.3

公開日:1975年11月19日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:ミロス・フォアマン
出演:ジャック・ニコルソン, ルイーズ・フレッチャー, マイケル・ベリーマン

刑務所行きを逃れ、病状を偽って精神病院に入院してきた男、マクマーフィー。しかしそこは彼が思っているような甘い場所ではなかった。患者の人間性までも統制しようとし、精神病患者の人権を無視している病院に反抗し、自由を勝ち取ろうともがく物語…

映画名作レビュー戦記シネマネオン!-カッコーの巣の上での巻-

前回までのシネマネオンは…

 館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見 放題(たちみ ゆきみつ)。「エセ関西弁を急に会話に入れる人って…」とつぶやきながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『カッコーの巣の上で』を観ようとしたのだが…

カッコーの巣の上で -内容紹介-

館見 放題
ち、畜生!なんだったんだ。あの赤い顔の男は…。何かを思い出せそうだったのに、映画館から追い出されてしまった。『カッコーの巣の上で』とは一体どんな映画なんだ…。
シネマネオン
一言で言えば、“精神病の黒歴史を扱った映画”だな。ミロス・フォアマン監督の5番目の作品さ。この映画でアカデミー監督賞を貰っているよ。
館見 放題
だ、誰だ!?
シネマネオン
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。レビューロボ、シネマネオンだ!
館見 放題
だから誰やねん!誰もオマエの事なんて呼んでないぞ!
シネマネオン
まぁまぁ、落ち着きなさい。今の君の体ではきっと映画館から追い出されてしまうだろう。アレに非常に似てるからね。アレに。
館見 放題
アレとはなんだ!僕は自分が誰だか思い出せないんだ。
シネマネオン
君は『カッコーの巣の上で』を観たかったんだろう?
館見 放題
そうだった。『カッコーの巣の上で』を観れば何かを思い出せそうなんだ。
シネマネオン
では、私と合体しなさい。期間限定レンタルロボ貸出中、今だけ非常にお得だよ。
館見 放題
怪しさ満点じゃないか!合体って何を…
シネマネオン
ええい。やってみればわかる。君の持っているそのスマホのアプリのボタンを押せ!
館見 放題
いつの間にこんなアプリが!ちくしょー!!こうなりゃヤケだ!ポチッと!
シネマネオン
アジャラカモクレン、カッコーの巣の上で、テケレッツのパー
館見 放題
うわああーー!『カッコーの巣の上で』の映像が頭のなかに広がっていくぅぅぅぅうう!!

カッコーの巣の上で -解説-

シネマネオン
医学と科学の進歩って目覚ましい進化をしているよな。
館見
どうしたんだ急に。確かにそうだな。高齢化社会だなんて言われてるけど、長生きする人が増えたって事だもんな。それはやっぱり医学の進歩があるからだろう?
シネマネオン
でもな、医学や科学の進歩はそこに数々の失敗や犠牲がある事を忘れてはならない。
館見
失敗や犠牲?
シネマネオン
そう。過去に絶対的に正しいとされていた事が実は長い目で見てみたらものすごい副作用を生んでしまっていたり、全くの間違いだったりすることだってあるんだ。
館見
うーむ。いまいちピンと来ないけど…。
シネマネオン
お前、今、地球は丸いって知ってるだろ?でも15世紀には地球は真っ平らだって信じられていたし、地球は宇宙の中心で太陽などが地球のまわりを回っているって事になっていたんだ。それに異を唱えた人間は異端審問にかけられ軟禁されたりした。
館見
あー、地動説と天動説の話?でもだいぶ昔の事じゃないか。今の科学じゃそんな間違い起きないでしょう?
シネマネオン
それじゃーたとえばな、ノーベル賞ってあるだろ?あれは1901年から始まったものだからそれほど古いわけではないだろ?
館見
1901年か。それでも充分に古いって感じはするけど今でも続いているわけだから、まぁそうだな。世界的権威を持つ賞だよな。
シネマネオン
そのノーベル賞受賞者でな、エガス・モニスって人がいるんだ。医者であり政治家だったポルトガル人。
館見
エガス・モニス?聞いた事ないな。医者って事はノーベル医学賞でも受賞したの?
シネマネオン
彼が受賞したのは「ある種の精神病に対する前頭葉白質切截術の治療的価値に関する発見」って理由でノーベル生理学・医学賞。1949年の事だ。
館見
1949年っていうと戦後か。
シネマネオン
そう。彼が発見した方法はアメリカに広く知れ渡り、その当時戦争の影響で急増した心的外傷後ストレス障害を持つ精神疾患患者の治療法として精神外科が効果的だとされていた。
館見
精神外科?精神病って外科手術で治せるの?
シネマネオン
昔な、事故で鉄の棒が頭に刺さった人がいてな、命も助かり記憶もそのままだったが、性格が激変したって事があった。
館見
ほう。
シネマネオン
それに目をつけた人がチンパンジーで実験して、脳の部分にある事をすると性格がガラリと変わることを発見した。荒っぽくなって自制が効かなくなったんだ。
館見
荒っぽくなっちゃったの?逆じゃなくて?
シネマネオン
まぁ、最後まで聞きなさい。その荒々しい性格のチンパンジーが更に前頭葉を切除する事で大人しく落ち着きを取り戻すって所までが一連の流れだ。
館見
実験されたチンパンジー、なんか可愛そうだな…。勝手に脳をいじくられて。
シネマネオン
可愛そうってなんとなく他人事だけどな、そのチンパンジーの実験から発展させて人間に行ったのがロボトミー手術ってやつだ。
館見
ロボトミー手術…。
シネマネオン
精神疾患を持っている人は異常な脳の信号が出ていて、それが原因で精神不安定になるわけで、そんなの要らないから、その連絡をしている部分さえ切ってしまえば落ち着くっていう手術だな。
館見
要らないって言っても必要だって事よくあるじゃない。昔は盲腸も必要ないからっつって取ってたけど、今は盲腸ががん発生率を下げているってわかってきたわけだし。
シネマネオン
そう。それだって医学の進歩の犠牲によってわかった事だよな。このロボトミー手術も思考の錯乱はなくなったけれど、感情を失い、ただ存在しているだけの人間になってしまった。個性も創造性も何もなくなったんだ。
館見
なんだそれ。
シネマネオン
さっきも言ったけど、その当時は不眠症、不安神経症、恐怖症、幻覚症などなど、戦争による影響で精神疾患を患う患者が激増していた。その人達が起こす暴動や犯罪などもあった。それをこのロボトミー手術を行う事で行動が安定するって積極的に行われていたんだ。
館見
うーむ…。人権もクソもあったもんじゃないな。
シネマネオン
まー、そんなこんなで言ってみれば国民の荒廃を強制的に鎮静させたわけで、それの生みの親であるエガス・モニスはノーベル生理学・医学賞を受賞するんだな。結局、この人は恨みを買った自分の患者から襲撃されてしまうんだけど。
館見
ほら、やっぱり怒りを買ったんだ。僕はね、自分が統合失調症ってのもあるけど、そういう使えないものは排除するって考え方が嫌なんだ。
シネマネオン
まぁ、落ち着きなさい。なんでこんな話をしたかって所だけど、これが今回の『カッコーの巣の上で』で扱われているテーマだからだ。
館見
なんですと!?
シネマネオン
日本でも旧優生保護法ってのがあったぐらい、人間に優劣をつけ、優秀な遺伝子だけを残して進化すべき考えは人間の奥深くに昔からはびこっている。優生思想ってやつだな。
館見
マジで、なんなんだよ!人間!!
シネマネオン
治療を行うところの病院もやはりそうで、夢野久作の『ドグラ・マグラ』でもその事を嫌となるほど繰り返し繰り返し説いているな。
館見
それでこの映画の中でもやっぱりそうなの?
シネマネオン
そう。この映画の主人公のマクマーフィーは刑務所から逃れる為に精神病院にやってきた。
館見
な、なんだと。精神病患者のフリをしたって事か。それはそれで許せぬ…。
シネマネオン
ま、落ち着きなさい。実際に詐病なのかどうかってのはこの映画では大きく扱っていない。攻撃的な性格だったり、すぐにカッとなる性格が問題視され病院で治療を受けるわけだ。
館見
…ふむ。それで。
シネマネオン
病院の中の様子を見たマクマーフィーは、そこが婦長の帝国になっている事が気に食わない。治療だなんだと言って人に詰問したり、規制されきった毎日の生活の強制。そのルールに反発していく。
館見
詰問はなかったけど、僕が入院していた時も体は拘束されていたし、まぁ規制された生活ではあったな。あれは治療っていうより安静に慣れるって感じだな。別に悪いというわけではないと思うけど、良くもならなかったな。僕の場合は。
シネマネオン
最初のうちはマクマーフィーの行動や言動をただ横で見ていた患者たちだったけど、徐々に彼に賛同するようになる。
館見
ふむ。
シネマネオン
当然、反抗的な態度に婦長は苛立つ。そこで彼女はマクマーフィーが外に出られないように措置する。
館見
な。なんて事を。権力の乱用だろ、それ。
シネマネオン
彼女は仕事に真剣なんだよ。治療して治ってもらいたいと思っているし、そのために自分が行動することはすべて正しいと思っている。それがマクマーフィーの望みと喧嘩してしまっているだけ。
館見
ぐぬぬ。人間関係ってのは難しいものだな。
シネマネオン
つまりだな、この映画からわかる事は、それが正しいと思っている人間は信じて疑わないし、そういう正しいか正しくないかの精査が繰り返し行われてきた結果、今の医学や科学の進歩、はたまた戦争に関しても、いろいろな犠牲があったからこそ今の生活があるってのを忘れるなって事だと思うんだ。
館見
うーむ。もしかしたら、今、当然と思っている常識も近い未来覆されるかもしれないわけだな。だとしたら一体何を信じたらいいのやら…。

我慢してもクレージー。暴れてもクレージー。何が何だかさっぱり分からねえ。

シネマネオン
こんな言葉をマクマーフィーも言ってるし、人を傷つけず柔軟な考え方をその都度、自分で考えて生きていくのがいいんじゃないかな。
館見
柔軟にかぁ…。それはそれでお前は芯がないとか周りに言われるんだろ?
シネマネオン
まぁ、周りの意見を聞くことも大切だけれど、周りの意見に影響を受けすぎないのも大事なんじゃないか?言いたいやつには言わせておけばいいさ。本当に芯があるやつは無理に人に意見を主張したりしないよ。柔軟に対応しつつ、心の中で自分が信じる事をなくさなければいいのさ。
館見
うーむ。僕も病気が早く治ったらいいなぁ。幻聴は聞こえるし、周りの意見が気になるし、すぐに感情が高ぶってしまう。時代が時代なら社会から排除される存在だったろうなぁ。
シネマネオン
この映画でも取り上げられたロボトミー手術は、主に統合失調症の治療に使われていたけど、今じゃ問題視されてほとんど行われなくなったし、なんだったらノーベル賞取り消せ!って手術を受けた人や周りの人たちは運動を起こしている。
館見
ノーベル賞でさえ信じられないのか。平和賞の佐藤栄作も核持ち込みの密約結んでいたしな。なんなんだよ一体。
シネマネオン
だからと言ってだな、他のノーベル賞を受賞した人まで否定してはそれこそ凝り固まった考え方になるよな。だからまぁ、なんつーか人間は本来、よりよい未来の為に生きる使命を持って生まれてきたってのを信じるしかないんじゃないか。
館見
うーむ。
シネマネオン
そもそも、地球が真っ平らだろうが、エガス・モニスがノーベル賞を受賞しようが、お前の生活の何かが変わるわけじゃないだろ。
館見
そりゃーそうなんだけどさー。なんか釈然としない。
シネマネオン
大きな問題を自分には無関係だって聞き流すのはちょっとアレかもしれないけど、大きな問題を自分に当てはめ過ぎちゃって精神を蝕んで行くっていうのも精神衛生上よくない。
館見
つまりはどうすればいいんだ…。もう混乱しまくりだよ。この映画を観たらさらに混乱しそうだよ。
シネマネオン
ロボトミー手術の患者が芸術的創造をしなくなった。つまりは混乱や葛藤ってのは何かを生み出すには必要なものなんじゃないかな。お前の病気にしても、排除しなきゃって考えると負の存在にしかならないけど、もしかしたらそこから何か生み出せるのかもしれない。
館見
ふむ。この混乱が芸術を生む種なのか。ほほう…。
シネマネオン
芸術で言えば、今日はあまり映画の内容についてあんまり語らなかったけど、ジャック・ニコルソンの演技がとてつもなくすごい映画だよ。あのマイケル・ダグラスがプロデューサーとして参加しているし。
館見
よし。難しい事はさておき、そのジャック・ニコルソンとやらをじっくりと何度も何度も観てみることにしよう。
シネマネオン
それと婦長役のルイーズ・フレッチャーの演技も個人的にはすげーと思うからようチェキやで!
館見
急になんちゃって関西弁使うやつ、めっちゃ嫌いやわ。
シネマネオン
お前も使ってるじゃねーか。アジャラカモクレン、レビューラビュー、テケレッツのパー
館見 放題
アァ、消える……

批評を終えて

館見 放題
そもそもエセ関西弁使うやつ…ん?あれ?ここは?あ、ポスターの前か。
館見 放題
あー、今回は『カッコーの巣の上で』推しなんだな。このポスター貼って、次の試写会の会場に行く前に、ささっと限定20杯の唐揚げ丼食べに行かなくちゃ!あー。腹が減ってきたなぁ。急がなくっちゃ!!
館見 放題
それにしても、この「映画名作レビュー戦記シネマネオン!」とかいう知らない映画の前売り券を支配人にもらったけど、どうしよう…。一緒に見に行ってくれる人なんていないしなぁ〜。

名言・心をざわつかせた言葉

我慢してもクレージー。暴れてもクレージー。何が何だかさっぱり分からねえ。

「役に立たん」「害にもならんさ」

でも努力はしたぜ。チャレンジした。

日に1万ワットの充電でビンビンだぜ

動画視聴で実況・解説!

シネマネオン
今回の動画はDVD版を観て行っています。
  • 0:05:45頃
    あら?こんな時代からハイパーヨーヨーってあったのか!
  • 0:10:40頃
    マルシアノなら40回戦って富豪になったって聞いて、誰?と思って調べたらロッキー・マルシアノっていう49戦49勝、全勝無敗で引退したすごいボクサーがいた事にビビる。…そしてセスナ機の墜落事故で亡くなった事を知り、やはり飛行機怖いってなった。負け無しのボクサーでも関係ないもんな。でも本当にすごいな。負けないボクサーなんているんだなぁ…。
  • 0:11:50頃
    労働逃れのフリだとって言われた時のジャック・ニコルソンのニヤリとした表情がなんとも言えぬ素晴らしさ。
  • 0:12:50頃
    え。何この運動。ラジオ体操って海外にもあるんだろうか?なんか猪熊貞治さんって人がラジオ体操を始めたのは知ってるんだけど。日本のラジオ体操には全く見られない運動の組み合わせで面白いな。脱獄する前のイメトレみたいな運動だなこれ。
  • 0:19:00頃
    ここまで騒がしくなっている状況なのに、なんの口も挟まない病院側に、なんで?って思ってしまう。導火線に火をつけたのはそっちなのに。その後の婦長の顔が印象的。
  • 0:22:35頃
    バンチーニの顔にさり気なくボールが当たっている!!地味に痛い。
  • 0:27:00頃
    話も通らず、薬の内容も教えてくれない、こんな病院、絶対に嫌だ。
  • 0:31:20頃
    婦長の勝ち誇った顔が…。ムキーッ!!
  • 0:32:55頃
    本当に楽しそうな顔して笑うなー、ジャック・ニコルソン。
  • 0:37:50頃
    この婦長、なぜここまで詰問してくるんだ…。僕がこんな質問されたらパニックになるわ。これのどこが治療なんだ…。
  • 0:42:50頃
    このシーンいいなぁ。必死に訴えるジャック・ニコルソン。
  • 0:44:45頃
    すげぇ。本当に野球がアメリカの国技だってのがわかるわぁ。こんなに何も観ずにバーチャル実況出来るジャック・ニコルソン!。
  • 0:50:00頃
    おおお!!金網に有刺鉄線あるのに痛くないのか!しかもジャック・ニコルソンの運動神経バツグンじゃないか!すげー!!
  • 1:05:10頃
    初めてこの婦長さんがいい人に見えた。仕事に対して真剣なだけなんだな。
  • 1:07:55頃
    バスケットボールに参加するチーフ、いいキャラ(笑)
  • 1:17:15頃
    かっこいい、ジャック・ニコルソン。ガラスパンチ。それにしても本当にこの医療関係者はなんで騒動に対して鎮圧する能力がないんだ…。これで働いているといえるのか。
  • 1:25:00頃
    なんなんだよ、この仕打ち!!精神病患者には人権がないのかっ!!
  • 1:27:00頃
    ジャック・ニコルソンのウィンクたまらんな。
  • 1:48:00頃
    ドアップでずっと画面が持つのってジャック・ニコルソンだからだよな。ほぼ画面が変わらずに1分以上続くのでエヴァンゲリオンのエレベーターの中を思い出した。
  • 1:49:15頃
    これほど完璧な朝チュンを観たことがない。やっちまった感すげーな。
  • 1:58:50頃
    この婦長、鬼だ。
  • 2:01:20頃
    あぁ…。その結果がこれだよ…。あぁ。最悪だ…。
  • 2:02:23頃
    この顔、絶対夢に出てくるわ。
  • 2:06:55頃
    ロボトミー手術が…。
  • 2:09:50頃
    この伏線回収は見事!!

カッコーの巣の上で – オチ・エンディング・ラストの感想・考察

ここから先はネタバレを含む場合がございます。まだこの作品を観ていないあなたはこのままページを閉じるか、覚悟の上でお読みください。

by シネマネオン


ここから

まずは、以前ここの記事に書いてあったあらすじ紹介を引用したいと思います。

マクマーフィーは刑務所行きを免れるため、症状を偽り、精神病院に入院してきた。毎日決められた薬を飲まなければならないのだが、それを飲んだフリをしてごまかし、婦長の決めたルールに反抗的な態度をとっていく。

グループセラピーなど意味がない。たまにはワールドシリーズの野球観戦をさせてくれなど意見を出し、多数決をほかの患者から求めたりするが、最初はほかの患者は賛同しなかった。

マクマーフィーは耳の聞こえないインディアンのチーフにかまい、一緒にバスケットボールをさせたり、みんなとタバコをかけてトランプ賭博をしたりして、徐々にほかの患者と仲良くなっていく。

マクマーフィーは自分達で行動しないほかの患者に苛立ち、目の前で持ち上がりそうもない、水飲み台を持ち上げようとする。みんなは無理だと決めかねていたが、マクマーフィーは必死になって持ち上げようとし、チャレンジしないやつらに鉄槌をかました。努力はしたぜ。と。

その姿を見ていた彼らは徐々にマクマーフィーの味方をするようになる。

マクマーフィーは看守からバスを奪い、彼らをつれて外の世界へ逃げ出す。そして、船を借り、女を連れ一緒に釣りに向かった。彼らは今までにない楽しさに触れ、自分で行動することを楽しんでいく。しかし、こうしたマクマーフィーの行動は管理主義的な婦長の逆鱗に触れ、マクマーフィーは病院から出られなくなってしまう。

何日間拘束されても婦長の意向しだいでここを出ることが出来ないことがわかったマクマーフィーは失望し、婦長に物言いをするが、その意見の途中、ほかの患者が暴れてしまいその患者を止めようとしたマクマーフィーも一緒におしおきを受けなければならなくなった。

電気けいれん療法の順番を待っている際、しゃべることが出来ないはずのインディアン、チーフと一緒に順番を待っていたが、実は彼が話すことが出来ることがわかり、マクマーフィーは一緒に脱走をしないかと提案をする。

しかし、いざ脱出をしようと持ちかけると、自分はマクマーフィーのように大きな人間ではないとその誘いを断る。

クリスマスの日。マクマーフィーは女を連れ込み、酒を持ち込ませ、ドンちゃん騒ぎをした。コレでこの病院ともおさらばだと最後の宴を楽しんでいたマクマーフィーだったが、患者の一人であるビリーがマクマーフィーが連れ込んだ女の一人を好いていることに気が付き、マクマーフィーは別れの挨拶だと、女をビリーにあてがってやる。

その行為を待っている最中、マクマーフィーは不覚にも眠ってしまい、気が付けば朝。脱走の計画は無駄になってしまった。

翌朝、ドンちゃん騒ぎをしていたことが婦長にばれてしまい、女性とベッドで裸で寝ていたビリーは婦長に激しく糾弾され、母親につげ口をしなければならないと脅される。

そのことに非常にショックを受けたビリーは看護婦の目を盗んで刃物で自分を傷つけ自殺してしまう。マクマーフィーはビリーを人一倍可愛がっていたこともあり、激昂し、婦長の首を絞める。

もう少しで絞め殺すまで行ったマクマーフィーだったが、途中で看守の邪魔が入り、別の患者と隔離されてしまった。

チーフはその一連を見て、この場所を逃げ出す覚悟を決めてマクマーフィーが元に戻ってくるのを待っていたが、戻ってきたマクマーフィーはロボトミー手術を受けさせられ、もはや廃人同然の形となってしまっていた。

チーフは悲しみ、このままここに残しては置けないと、廃人になってしまったマクマーフィーを窒息死させ、マクマーフィーが以前持ち上げようとしていた水飲み台を持ち上げ、窓を破壊し、精神病院を脱走する。

…とまぁ、こんな感じのあらすじなわけですが、正直な所、観ていて非常に心が痛くなりました。ここから僕の実体験を踏まえて話をしていきます。

僕自身、統合失調症で入院をした事がありますが、確かに病院の中の雰囲気はこんな感じです。窓の外には鉄格子がありましたし、実際にベッドに縛り付けられて身動きがとれないようにされていましたし、指示された事以外の事は出来ません。

マクマーフィーがその状況を見て、自由を得るために反抗するというのが今回の映画ですが、単純にマクマーフィーが正義で病院側が悪というわけにもいきません。どちらにも正義があります。

病院側はその当時の感覚で、こういう治療法がいいと信じているからこういう行動を取るわけだし、それに違和感を感じて自由を得たいのであればマクマーフィー以外は自由に退院出来るのです。

でもその違和感すら感じないように管理されてしまっている。その意識に一石を投じるのがマクマーフィーの存在なわけです。

精神患者に対する考え方や扱いは昔はひどいものだったっていうのを本などで読むのですが、今でもやはり偏見などはある気がします。

実際に病院にいて思った事は、あれは治療というよりも休息する場所を提供している感じです。お医者さんは個別の患者の話なんてほとんど聞く時間はありませんし、看護師さんも同様に話は聞いてくれません。

やっている事は毎日決まった時間に薬を配給され、毎日決まった時間に他の患者さんとコミュニケーションを取らされ、毎日決まったを時間に眠る。つまりは生活のリズムをつけることで安定した精神を手に入れるという活動だったと思います。まぁ、僕の場合の事しか知らないのですが。

看護師さんは僕らを子供扱いしましたし、お前らには判断する能力がないんだろ?って言われてしまえばおしまいです。

この映画の中でもチェズウィックが子供扱いするな!と騒ぎ立てる所がありますが、あれを観てみんなはどう思うのだろう。

(みんなというのは健常者の事を言いたいのですが、僕はどうも健常者だとか障害者、病者の区別をつけるのが好きではありません。みんなどこかで疾患はあるでしょう?ドグラ・マグラでも書いてありましたが。)

…と、そんなぼやきはさておき、あの騒ぎ立てる姿を観て「いやいや、管理されなければ際限なく摂取するだろ?だから管理してあげてるんじゃないか!」と思う人もいるでしょう。

精神疾患を患っている人は判断能力が著しく低下し、その場合は本人の意志とは関係なく周りが判断する必要がある。

そんな意識を持っている人は少なくないのではないでしょうか。僕からしてみればみんながみんなそうじゃないのに一緒くたにするなって感じなのです。

現在でも精神科への病院の入院システムがそうです。本人の同意がなくても医者と親族の同意があれば強制入院させる事が出来ます。本人には判断能力がないとしてしまえば、いくらでも箱に閉じ込める事が出来てしまう。

僕自身、大量の看護師たちに囲まれて体を抑えられた時は、あぁ自分の人生終わったなって思いました。誰も話を聞いてくれない。僕の言葉は信用に値しないと判断されてる。

統合失調症の幻聴により、僕は一時的にパニックになり、本来いなければならない所から飛び出し、外を徘徊していました。それがたまたま線路沿いだったので、自分で自分の命を絶とうとしていたと判断されました。

保護された時、僕はこの映画に出てきたビリーのようにしゃべる言葉にどもりが混じっているので、上手く自分の状況を相手に説明することが出来ませんでした。

んで、最終的には他にも患者がいるんだから、あんただけに時間取ってらんないんだよ!と医者に一括されておしまい。

まぁ、そうなんでしょう。一人一人の尊厳なんて構っていたら時間が足りない。

さらには他人と一緒に生活する上で外の世界で人と関わって生きるのが難しい人たちの集まりなわけですから、ちょっと極端に見えるルールも必要なのかもしれません。

ただそれを権力と勘違いして、この映画のようにあそこまで患者さんの意志を無下に扱い、管理するとなるとやはりそれはそれで問題だと僕は感じるわけで。

実際に僕が関わった人の中にも極端な2人ほどいました。患者さんを完全に馬鹿にした人が。僕はそういうのが許せないもので、それに対して行政に訴えました。

でもやはりその人たちは自分が何に対して非難を食らったのかを理解していませんでした。自分は正しい事をしていると思っているからです。

んで、なんだったらやはり僕は悪者なのです。精神異常者なのです。本来いるべき場所を飛び出した時点で負けなのです。

僕はその時に、人の中に存在する常識を動かしたり変えたりするのは難しい事なのだと思いました。

今でも年配の方と話をした時に、ギョッとするような差別用語を平気で使ったりする人もいますが、それはその時代を生きた人にとってそれが常識だったから。

そんな風にして、その当時は平然と行われていた事というのは沢山あります。今となっては問題視される事も平然とまかり通っていたのです。

でもやはり喉元過ぎれば熱さを忘れるというように、そんな時代があった事、そしてそれを問題視して戦ってきた人がいるから改善された今があるという事を現在生きる人達が知るのは難しい。

それは昔の人がそうだったように、今現在の常識がそこにあって当然だと思ってしまうものだからです。

あぁ。何が言いたいのかわからなくなってきたな。常識や普遍性と戦わねばならないのか?っていうとなんか違う気もするし、今に感謝して生きろって落ち着くのも違う気がする。

とにかく僕はこの映画を観て、感動して涙を流すというよりも、感情が揺さぶられて気がついたら涙が出ていたという感じでした。悔し涙に近い感じがします。

人と関わっていくのは難しいですね。ロボトミー手術の生みの親であるエガス・モニスもそもそもは脳腫瘍の研究をしていたわけで、人の幸せのための研究でしたが、最終的には人から恨まれてしまうわけですし。

この映画に出てくる病院の人たちも決して人を不幸に追いやってやろうという意識ではなく、病気を治して欲しいと願っているわけで。

あ。ちなみにロボトミーってのはロボットとは全く関係ありません。roboではなくlobe(葉)とtomy(ナイフ)で前頭葉切除のロボトミーです。

日本でも行われていた手術なんですよね。あぁ。僕もその時代に生きていたとしたらロボトミー手術をされていたのかもしれないと思うとぞっとします。

マクマーフィーのように感情の高ぶりで暴れたりしていましたので。

あと、この映画の中に電気けいれん療法がおしおきとして描かれていますが、今もあの治療は存在しています。この映画のように本人の意志に反してではなく、ちゃんとインフォームド・コンセントを得た上でですが。

ただやはりこの方法についても廃止を訴える人がいます。この方法を考え出した本人が廃止を訴えているというところも非常に興味深い所。

それだけ精神疾患に対する治療法や人権問題はまだまだ発展途上なのでしょう。

僕は今では病院に行くことを辞めてしまいましたが、病院に通い続けている人で、もう15年ほど薬による治療を続けていても改善にいたらない人も知っています。

いろいろと好き勝手書きましたが、どんな方法がいいのかは僕にはわかりません。今の方法も正しいのかわかりません。でも何でも良いから少しでも精神疾患で苦しむ人が改善に向かえばいいなと思います。

それをこの映画を観て感じました。ちょこちょこ精神異常を装う人たちが出てくるのが個人的には、うーむ…って思いましたが、ま、映画だから仕方がない。

シネマネオン
これがネタバレだと言うのか…!?

カッコーの巣の上でのような映画・似てる作品・おすすめ

ドグラ・マグラ
4.0

著者:夢野久作
出版:Kindle
ページ数:679ページ

館見
夢野久作の『ドグラ・マグラ』です。映画ではないですが、精神疾患の治療の異常性について語ってくれるこの作品が僕は好きです。難解ではありますが。

レビューまとめ


昔観たときは、なんとも感想が難しい映画だなぁっていう漠然とした感想でした。泣ける!すげー名作!っていう評価が多かったのであまりにハードルをあげすぎたのかもしれません。

なんか観た後のやるせなさが勝ってしまって結構辛口レビューを書いた覚えがあります。

今あらためて観てみると、随時に心を揺さぶってくるものがあります。ジャック・ニコルソンの存在感とルイーズ・フレッチャーの顔と。その周りにいるキャストのみんなと。

第48回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞と主要5部門を独占したと書いてありましたが、納得の出来だと思います。

うん。これが演技だとは思えない。リアルにドキュメンタリー番組のような気もしてくる。いやはや随所でありえない事は起きているし、出来すぎなぐらいのストーリー展開もあるんですがね。

ま、何が言いたいかって言えば今も精神病院ってこんな感じだよってことでした。現実と違うのはマクマーフィーがいない事でしょうか。

個人の自由と社会の管理。相反するものを同時に行う事は難しい。そんな事を訴えている映画なのかなと思います。自由を尊重しすぎるとそれは無秩序を生むことになり、管理を重視しすぎると人間としての尊厳を失う。

精神病院の出来事を扱った映画ですが、それだけに終わらず全般的に言える事なのかもしれません。この映画のタイトル『カッコーの巣の上で』のカッコーの巣というのは精神病院の蔑称のようですので、それを上から眺めた時に何を感じるのか。

監督も『この映画を通して伝えたかった事は精神病院の恐怖でも体制批判でもない』と言っているようですし。

あ。それと確かカッコーって他人の巣に自分の子供の卵を入れる習性があった気が。となるとマクマーフィーはその卵ってことになるのか。よくよく考えられたタイトルだなぁ。

ちなみに原作の『カッコーの巣の上で』と『ライ麦畑でつかまえて』と『キャッチ=22』は当時の若者達の3大バイブルだったそうです。

本も読んでみたいなぁ。ではでは『カッコーの巣の上で』でした。


カッコーの巣の上で - 感想・評価

カッコーの巣の上で
4.3

公開日:1975年11月19日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:ミロス・フォアマン
出演:ジャック・ニコルソン, ルイーズ・フレッチャー, マイケル・ベリーマン

カッコーの巣の上で
  • ストーリー - 72%
    72%
  • キャラクター - 96%
    96%
  • 演出 - 86%
    86%
  • 映像 - 77%
    77%
  • 音楽 - 81%
    81%
82%

映画レビューまとめ

ストーリーはラスト以外ある意味淡々としているので好き嫌いが別れるかもしれません。ただ、キャラクターの強烈さは誰がみても圧巻でしょう。すべての登場人物が存在感を放っていて、その中で主演のジャック・ニコルソンとルイーズ・フレッチャーは格別です。後味は少し悪いですが演出も凝ったもの。音楽により心救われるシーンがいくつかありますのでこんな感じの点になりました。

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