ウォール街という映画をご存じでしょうか?『プラトーン』でアカデミー監督賞を受賞したオリバー・ストーン監督が次の年である1987年に発表した作品なのですが、この映画、何がすごいって「悪」がすごいのです。
ウォール街と言えば、ニューヨークに実在する世界の金融センターですが、インサイダー取引で大金を手に入れる映画『ウォール街』は「お金こそすべてと言ってのぼりつめたその先に虚しさがあるのだ…」なんていういい子ちゃん的メッセージを発しては来ません。
「お金こそすべてと言い切れる潔さがかっこいいのだ」と思ってしまう映画なのです。
そんな映画『ウォール街』は2010年には続編『ウォール・ストリート』が作られるぐらいアメリカでは人気を得た映画らしいのですが、早速レビューしていきたいと思います。
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映画『ウォール街』 – あらすじ
公開日:1987年12月11日
ジャンル:犯罪映画, ヒューマンドラマ映画
監督:オリバー・ストーン
出演:マイケル・ダグラス, チャーリー・シーン, ダリル・ハンナ
ネタバレ注意!もっと詳しい映画『ウォール街』のあらすじ
証券会社に勤める主人公のパド。ニューヨークで生活する彼は忙しくはあれど、お金が一向に貯まらない。貧乏生活に飽き飽きしていた彼は、営業で天才的な投資家のゴードンの元に訪れる。
すでに専属のディーラーを持っているゴードンはパドの提案に全く持って興味を示さない。しかし、パドがブルースターという航空会社で働く父親から知った内部機密を漏らすとゴードンの顔色は変わり、パドに興味を示す。
それをきっかけにパドはゴードンから取引をしてもらえることに成功する。しかし、自分の父親から教えてもらったブルースターの内部機密以外の情報を何も持たないパド。ゴードンはこれからも取引をしたいのであれば、どんな事をしてでもインサイダー情報を持ってこいと提案する。
インサイダー取引がいけない事だとわかっていながらも、こんなチャンスを逃すわけにはいかないと思ったパドは、スパイ行為に励み、ゴードンとともに大金を手にしていった。
次第に彼らの関係は密になり、取引相手から家族ぐるみの付き合いをするようになる。貧乏生活からも脱出し、綺麗な彼女を手にし、自分の望んだような住まいにも住めるようになった。
しかし、パドは自分は一体何をやっているのだ?と疑問を持つようになる。
そんなときパドは経営不振に陥っていた父親の働いている会社、ブルースターを立て直そうと思いつく。ゴードンにこの話を持ちかけると、あまり乗り気ではなさそうだが、一緒にやってやるとの声をもらう。ゴードンとともにパドは父親の働くブルースターの経営陣と話す。
ブルースターの経営陣は、ゴードンの話す再建案に比較的肯定した反応を示した。しかし、パドの父だけがゴードンの言っていることは信用できない、彼は欲の塊であり、単なるお前の金儲けにしかならないと批判する。
息子の顔に泥を塗った父親にパドは激怒する。24年間働いてきた父親は尊敬するが、いつだって父さんは労働組合を大事にしてきた。僕と会社とどっちが大事なのと。父親は悲しい顔でパドをみる。
数日後。パドはゴードンが自分に嘘をついていたことを知る。彼はブルースターの再建など考えておらず、分解し、すぐに売ってしまってその利益を自分の懐に入れるつもりだったのだ。その事を知ったパドはゴードンの元に走り、訴えたがゴードンにうまく言いくるめられてしまう。
そんなパドの元に父親が心臓発作で倒れたという知らせが届く。
パドはベッドの上で横になっている父親に先日の言い分を謝り、ブルースターを絶対に立て直すことを約束する。
そこから、パドによるゴードンへの復讐劇が始まる。
ストーリー上では明確にお金より大事なもんがあるだろうっていう話なんですが…
ごらんのとおり物語だけを追っていくと、お金に目がくらんだ人間が崩れ落ちていき、もっと大切なものを発見するという流れになっているかと思います。
が、しかし。
この映画を観た多くの人はゴードンに憧れ、実際に投資家になった人も少なくないようです。
監督のオリバー・ストーンはどちらかというと、過剰な資本主義に反対する立場であり、ゴードンのような人間にはなって欲しくないという形で映画を撮ったみたいなんですが、実際はその逆の現象が起こってしまい遺憾だと話しているらしいです。
ただそれだけ、ゴードンはこの映画の中でかっこいいのです。彼が演説を行うシーンがあるんですが、もうそのシーンなんて見ものです。神々しさすら漂っています。
そして彼を演じたマイケル・ダグラスはこの映画でアカデミー主演男優賞を受賞しています。
実際、映画を観終わった後には、パドにはそれほどあまり好感を持てず、どちらかというとゴードンの方に好感を持ってしまっている自分がいます。
別に僕は何が大事かなんて人それぞれが決めればいいと思っています。お金が大事ならお金でいいし、それ以外のものでもなんでもいいんです。
ただ、大切なのは中途半端な事をしない事。自分の信念を持つこと。その決して揺らがない信念を持っているからゴードンはこの映画で悪役にも関わらず輝き、多くの人に魅力的に映ったんでしょう。
「大切なのはお金じゃないよ」っていう先入観や社会通念を鵜呑みにするよりも、自分が信じた道を突っ走っている人間はこうも輝くというのをこの映画から学ぶべきだと僕は思います。
結局。自分の頭で考えていたのはゴードン。人の考えを鵜呑みにしていたのがパド。
途中「お前は私に似てきたな」とゴードンがパドにいうシーンがあります。そして最後にパドがゴードンに復讐をする時に、僕はゴードンじゃない、パドなんだ。とゴードンに向かって言うシーンがありますが、このシーンこそがこの映画から一番学べるメッセージなんじゃないでしょうか。
とにかく自分で考えなさい。自分で何が正しいかを判断しなさい。それがすべてです。
映画『ウォール街』 – まとめ
以上、アメリカの常識的映画を観てみた感想でした。
結構、面白かったなぁ。金融の事とか全く知らなくても楽しめる作りになっているし、父親との確執とか、お金と人情とか、結構盛り沢山なテーマが詰まっているので観ていて飽きないです。
続編があるみたいなので、続けてみてみようと思います。
リーマンショックとかこういう映画の感想としてよく語られそうですが、そういうの興味ない人でも充分楽しめますので、よければぜひ。
ではでは。『ウォール街』でした。
あ、ゴードンがアカデミー賞を取ったのに反して、パドの恋人役をしたダリル・ハンナはこの作品で不名誉なゴールデンラズベリー最悪助演女優賞を受賞しています。確かに全く魅力を感じない役でした。はい。
ウォール街 - 感想・評価
公開日:1987年12月11日
ジャンル:犯罪映画, ヒューマンドラマ映画
監督:オリバー・ストーン
出演:マイケル・ダグラス, チャーリー・シーン, ダリル・ハンナ