きみがぼくを見つけた日という映画はご存じでしょうか?原作小説の「タイムトラベラーズ・ワイフ」は2003年に発表されて以来、2009年にロベルト・シュヴェンケ監督が映画化するまでに250万部も売れました。
まぁ、日本では「タイムトラベラーズ・ワイフ」という名前から「きみがぼくを見つけた日」と改題されてしまいましたが、そのタイトルの通り、タイムリープもののSFです。
『オーロラの彼方へ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなタイムリープものが大好きな僕としてはかなり期待して観た映画ですが、正直なところ「タイムリープもののSFとして観ると駄作で、メタファー的な恋愛映画として観るとよい映画」という感想です。
キャッチコピーが「時を超えてめぐる究極の愛」ということなので、あくまでもSF要素は愛を語る上のスパイス的な立ち位置。
…おっと冒頭から長々と語ってもあれなので映画『きみがぼくを見つけた日』のレビューを始めたいと思います。
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映画『きみがぼくを見つけた日』 – ストーリー
公開日:2009年08月14日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, ファンタジー映画
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:レイチェル・マクアダムス, エリック・バナ
ネタバレ注意『きみがぼくを見つけた日』のあらすじまとめ
母親と歌を歌いながら雪の道をドライブ中の5歳児ヘンリー。その車は前から来たワゴン車のスリップ事故に巻き込まれてしまう。その時、ヘンリーの体には異変が起き、体だけが一瞬、2週間前にタイムスリップし、また元に時間に戻った。何が起こっているかわからない裸のヘンリー。母親が乗ったままの車はガス爆発を起こし、炎上してしまう。
ヘンリーがパニックの中、その爆発の方へ駆け寄ろうとした時、一人の若者が毛布でヘンリーをくるみながら抱きしめて説明した。
「僕は大人になった君だ。わかるか?いずれ理解出来る時が来る。君はちゃんと生きていける」
それ以降、頻繁にタイムトラベルが起こり、体だけが別の時間に移ってしまうヘンリー。洋服はタイムトラベル出来ない為、移動先で最初にしなければならないことは洋服を見つける事だった。
そんな体質でも何とか成長し、図書館で特別蔵書係として働くヘンリーは、美術の資料を探しに来たクレアに声をかけられる。クレアの事なんて見たこともないヘンリー。しかし、クレアは親しげに話しかける。
食事に誘われたヘンリーはそこでクレアに話を聞き、彼女が5歳の時から何度も会っているらしい。未来の自分がタイムスリップしていたのだ。そして彼らは結婚する運命にあると。
その運命の通り、彼らは結婚し、タイムトラベラーのヘンリーとそうではないクレアの苦悩と幸せに満ちた生活が繰り広げられる。
『きみがぼくを見つけた日』のおすすめポイント
この映画は他のタイムリープものとは別ジャンルの映画だと思ったほうがいいです
時間を越えて物語が進行していくタイムリープを取り扱った映画や作品は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をはじめ、『バタフライ・エフェクト』や『オーロラの彼方へ』、アニメ作品で言えば『時をかける少女』や『STEINS;GATE』など多数存在する。
それらに共通する点と言えば、タイムスリップをし、タイムスリップをした先の時代で何かを起こすと、バタフライ・エフェクトが起こり、元の時代に大きな影響を与えるという点。言われなれた言葉で説明すれば、いくつものパラレルワールドが存在しているのである。
その影響を緻密に計算された脚本がこのジャンルの魅力である。
…が、しかしこの映画『きみがぼくを見つけた日』にはバタフライ・エフェクトが存在しない。起きた物事は起きた物としてしか存在しない。パラレルワールドが存在しない。こうあるべきだった世界っていうのが存在しないのである。たとえば、ヘンリーが過去に戻ってお母さんの事故を防ぐという事は出来ない。タイムスリップによって得られるものは知識として未来や過去の事を知ることが出来るっていう事だけである。
つまり、SFがもたらす要素は比較的薄い
僕はこの映画を通常のタイムリープものとして期待して観たので初めて観た時は、何このクソ映画。全く設定が生かされてないじゃん。これじゃ、漫才のボケをあらかじめ言ってからボケるみたいな全然笑えない状況作り出しているだけじゃん!つまらん。
っていう感想でした。
ただ、結論を知ってからもう一度観てみると感想は変わりました。SFではなくひとつのメタファーだと思うようにしたのです。この映画では意志とは関係なくタイムスリップしてしまうヘンリーを待ち続けるクレアの苦悩が描かれています。
これは別にタイムスリップしてまうカップルに限った苦悩ではなく、普通のカップルにも起き得る苦悩なのです。仕事などで自分の意志とは関係なく妻のそばにいる事が出来ない夫。そういうのあるでしょ?そういう状況をタイムトラベラーというわかりやすい極端な現象で表現しているだけなのです。
そう考えると、結婚指輪を残し、ハネムーンの時に消えてしまった夫を待つクレアの切なさとかジンジン伝わってきて仕方ありませんでした。ラストのクレアが走って夫の元へ向かうシーンとか切なすぎです。
待つ者の苦悩と待たせてしまっている者の苦悩。
それが美しい光景とともに映されています。
まとめ
重ねて言いますが、この映画はタイムリープものだと思って観ちゃダメです。待つもの待たせるものの恋愛映画だと思ってみてください。
結婚している人であれば、女性ならクレアに自分を重ねてみるとすごく共感できると思います。
まぁ、『きみがぼくを見つけた日』はすべての人にお勧めできる作品というわけではないですが、恋愛映画としては結構切ない系のいい作品だと思いました。クレア役のレイチェル・マクアダムスが素敵です。
ではでは、そんな感じです。
きみがぼくを見つけた日 - 感想・評価
公開日:2009年08月14日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, ファンタジー映画
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:レイチェル・マクアダムス, エリック・バナ