ヘンゼル & グレーテル - 映画情報
- 公開:2013/01/25
- 監督:トミー・ウィルコラ
- 出演者:ジェレミー・レナー, ジェマ・アータートン, ピーター・ストーメア
- 製作国:アメリカ合衆国
- 上映時間:1時間28分
MOVIE REVIEWS
ヘンゼル & グレーテルという映画をご存じでしょうか?2013年に公開されたアメリカ映画で、あのグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」の15年後の後日談を扱った映画です。
残念なことに、日本の映画館では公開されずDVDやBlu-rayでの流通によって初めて観ることが出来た映画なので、それほど知名度は高くありません。
しかも、映画批評家の評価も「ファンタジーアドベンチャーとしても、パロディとしても失敗している」と好ましくありません。
しかし、実は、僕個人の評価としてはそれほど悪くない映画なのです。
知っていますか?「ヘンゼルとグレーテル」の原作を。
お菓子の家と魔女が出てくる童話というイメージしかなかったのですが、調べてみると飢饉の影響で口減らしの為に母親に捨てられた兄妹の物語だというのです。
子供向けに色々と改変されるというのがグリム童話の常だと思うのですが、大人向けな映画『ヘンゼル & グレーテル』は、母親に捨てられた理由という所がいい感じに改変されています。
ということで、早速レビューをしていくことにしましょう。
スポンサードリンク
映画『ヘンゼル & グレーテル』 – ストーリー
公開日:2013年01月25日
ジャンル:アクション映画, ファンタジー映画, ホラー映画
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ジェレミー・レナー, ジェマ・アータートン, ピーター・ストーメア
親に捨てられたヘンゼルとグレーテル。森の中で見つけたお菓子の家で魔女に命を狙われるが、なぜか魔法が効かない二人は魔女を返り討ちにする。それから15年後、兄妹は大人になり魔女ハンターとして生計を立て暮らすようになっていた。ある町で子供の誘拐事件の依頼を受け、首謀者の大魔女ミュリエルと戦う中で、なぜ自分たちは親に捨てられたのか、その謎を知ることになるのだが…
もし、あなたにパンケーキ屋で『ヘンゼル & グレーテル』ってどんな映画?あらすじは?と聞かれたなら…
この映画は一言で言えば、“ヘンゼルとグレーテルの後日談な映画”なんだ。
ジャンル的にはアクションファンタジーホラーかな。
ヘンゼルとグレーテルといえばグリム童話で有名な話だよね。お菓子の家が出て来るやつ。「お菓子の家に住みたい!」的な夢の元ネタね。
『
グリム童話』って聖書並に広く読まれている本なんだよね。
んでちょっと前にさ、“本当は怖いグリム童話”っていう都市伝説的なのが流行ってテレビでもいっぱい放送されてたけど、グリム童話ってかなり改変されているんだよ。
有名な所で言えばディズニーの『シンデレラ』とか『白雪姫』、『ラプンツェル』、『眠りの森の美女』もグリム童話。
本当は、かぼちゃの馬車なんて出てこないし、毒リンゴ食わせるのは魔女じゃなくて実の母親だったり、残酷な描写は省かれる傾向にある。
それでまぁ『ヘンゼルとグレーテル』もさ、元は飢饉で食べ物に困った親が口減らしの為に子供を森に捨てるっていう結構悲惨な話なの。
食べ物に困っている時代だからこそ、お菓子の家が魅力的な罠になってるんだね。
んでお菓子の家に釣られて入ってきた人間を魔女が殺すわけなんだけど、ヘンゼルとグレーテルは魔女を返り討ちにして、そこにあった宝石などを持ち帰るっていうのが原作。
その親に捨てられたっていう所を改変して作ったのが今回の映画『ヘンゼル & グレーテル』なんだ。
魔女の魔法が効かないっていう特殊能力付きで。15年後、兄妹はその特殊体質を活かして魔女ハンターをして賞金稼ぎをして暮らしてる。
最強戦士ヘンゼルと今でも親に捨てられた時の記憶がトラウマになっている美女グレーテル。
妹が親の話をしようとすると「その話はしない約束だろ?」ってヘンゼルが言うやり取りが出てくるように、二人にとって捨てられた事は今でも心にひかかっている。
そんな二人に、ある町の市長から魔女による子供の誘拐事件が多発しているので助けて欲しいという依頼が舞い込んでくる。
すでに誘拐された子供の人数は11人。一体何のために?
拷問しその魔女から理由を探ろうとするが、大魔女ミュリエルの襲撃を受け、拷問中の魔女には逃げられ、二人はバラバラになってしまう。
グレーテルはヘンゼルを探す為、森に入るがその途中、魔女ハンターを快く思わない保安官たちに襲われフルボッコに。
その巨人は保安官達を瞬殺し、グレーテルを抱えて泉へ連れて行く。
一方、大魔女を追って森に入ったヘンゼルも木の上で気を失っていた。
一度、ヘンゼルに助けられた女性ミーナに介抱してもらい、再び森の中を歩いていくと廃墟を発見
そこでグレーテルを発見し、再会を喜ぶが、そこは昔自分たちが住んでいた家だった。
懐かしさの中にも不可解な物もあり、自分たちの過去を探ろうとするが、そこに大魔女ミュリエルがやってくる。
彼女は兄妹の母親と父親の物語を語り、なぜ二人が捨てられたのかの謎を教え、自分の目的を達成するためにグレーテルをさらっていく。
ヘンゼルは大魔女ミュリエルの前に手も足も出ず、瀕死の状態に。
目が覚めるとそこにはミーナの姿が。ヘンゼルは自分の傷が塞がっている事に気がつく。
途端に敵意を向けるヘンゼルだったが、魔女には白い魔女と黒い魔女がいる事を説明してもらい心を許す。
大魔女ミュリエルに抵抗する手立てをミーナから教えてもらい、グレーテルを奪還しに向かう…。
ネタバレしちゃいけないと思ったから、かなり端折ってあらすじ説明したけど、こんな感じ。
最初にジャンルをアクションファンタジーホラーって言ったけど、アクションはワイヤーアクションとか、格闘がなかなかいい感じに頑張ってる。
マトリックス的な感じで魔法を避けるシーンとか、最近観た所で言うと、『
ボーン・アイデンティティー』の格闘アクションみたいな感じのシーンが一杯出て来る。
ファンタジーで言えば、『ハリー・ポッター』みたいな魔法のシーンがチョロチョロって出てくるし、ホラーっていうのは、まぁ魔女の顔が怖いっていうのと、ちょいグロテスクなシーンがあるっていうのかな。
でもあれだ。グロテスク過ぎはしないから、うわー…とはならない。
いい塩梅なグロテスクだな。顔が吹っ飛んだり人間が破裂したりするんだけど、生々し過ぎない感じっていうのかな。
この映画のいい所はさ90分で観れる手軽な娯楽映画って所だと思うんだよ。
グリム童話もさ、本読んでみればわかるけど、一個一個の話が淡白過ぎる程短いのね。
出勤時に電車で読むには最適な短さっての?何も考えずに気軽にちょろっと楽しむっていう。
映画もさ、腰を据えてメガネを掛けて、さあ観るぞ!観終わった後も色々と考え深いぞ!っていう映画もいいとは思うけど、何も考えずにとにかく楽しみたいっていう時もあると思うんだよね。
しかもそれがアクション映画だったり、ファンタジーだったりホラーだったり、色んなジャンルが観たくてたまらない!どれも一つに絞れないよ!って時があったりしてね。
そんな時にまさにうってつけな映画がこれ。
謎解きもあるし、アクションも、ホラーも、ファンタジーも、復讐劇も、コメディもラブも。さらにはグロもあるし、おっぱいもある。
唯一、涙ホロリがないかな…ってぐらいで後は全部揃ってる。
全部揃ってるが故になんとなく中途半端感が出てしまっているのは拭えないんだけど、そんなの深くは考えない。
とにかく90分さらっと楽しむにはうってつけ。
終わり方も、少年漫画雑誌の打ち切りみたいな、“僕達の戦いはまだまだこれからだ!”的な感じでさっぱりしてて潔ささえ感じられる。
そして謎の部分を一切残さない爽やかさね。
あれってどういう意味だったの?っていうの一個も残さず、低学年の人が観ても理解出来るクリアなストーリー。
ただ、実際小学生や中学生が観るにしては、ウジ虫がドバーだったり、人間が一瞬でプチンとされたり、出会ってすぐに合体的な要素が含まれているので、道徳的によろしくないとは思う。
そういうの嫌いな人だったり、映画にイデオロギーを求める人、映画は娯楽ではなく芸術だ!っていう人にとってはちょっと合わない映画かもしれないな。
この映画、グレーテルがヘンゼルを呼ぶ時の発音が良すぎてさ、僕のクソ耳にはどうしても「ハンゾー、ハンゾー」って聞こえちゃって、忍者かよ!って笑いこらえてたんだ。
しかも、Amazonのレビューにも『「ヘンゼル」の発音が良過ぎて「半蔵」に聞こえるというあるある。』と書いてあってさらに部屋で吹き出してしまった。
そのレビュー、90分の映画をネタバレを含めて超端的に1639文字にまとめてあるから、ネタバレしてもいい!あらすじ全部知りたいんだ!って思ったら探して読んでみるといいよ。
マジであらすじまとめる天才かよって思ったわ。
…そんな事を『ヘンゼル&グレーテル』についてヘーゼルナッツをツマミながらパンケーキ屋で話すと思います。
『ヘンゼル&グレーテル』の名言・心をざわつかせた言葉
監禁されて2つの事を学んだ。1つ。お菓子の家には近づかないこと。2つ。魔女を殺すなら火あぶりが一番だということ。
無実の女を殺しても行方不明の子供たちは戻らない。
あんたの神だって、ここに来るほど愚かじゃない。
呼び名は多くある。でも、あんたに教える名前は1つもない。
エドワード…?それ誰だよ!
復讐しても過去は変わらない。両親は戻ってこない。だが気は晴れた。
『ヘンゼル & グレーテル』のおすすめポイント
・あらゆる要素を詰め込みました的なオールラウンドな映画でありながら、簡潔で観やすい映画。
・魔女のバリエーションの抱負さにも頭が下がる。
・グリム童話の残酷さをいい感じに転換してストーリーに活かし、減った分の残酷さを死に様のグロテスクの方に加えてみた感じの映画。
・中世に実在した魔女狩り。実際の拷問などを調べ始めると人間の残虐さ、辛辣さなどが目立ち、“魔女狩り”という言葉だけで片付けちゃいけないような気もしてくるが、“魔女”と一緒くたにせず良い魔女、悪い魔女と分けて、悪と戦う構図にした所も好感が持てる。
映画『ヘンゼル & グレーテル』 – まとめ
グリム童話とか、イソップ物語、広い所でギリシア神話や故事のような、寓話性を持った小話が大好きな僕としては非常にピンポイントで好みな映画でした。
人に豆知識を話したくなる映画っていいよね。聞いている方は若干うざいと思うけど。
あと、魔女狩りを扱ったものや、モチーフにした映画って結構過去に観てきたんですが、この映画は魔女すべてを悪いものとしては扱っていないという点が非常に好感が持てます。
基本的に魔女狩り系の映画って、疑いをかけられた人が不幸な目にあったり、不運に落ちていく感じなものが多いんですけどね。
勧善懲悪が大好きってわけではないですが、やっぱり良い側の人が悪に扱われるのは観ていて胸が痛くなるので、そういう映画を観る時はある程度覚悟してからじゃないと観られません。
その点、この映画は本当にどんなタイミングでもサクっと観られる事に長けている映画だなって思いました。
Amazonのレビューに釣られて観てみたら駄作でしたっていう事も多かったり、自分には合わなかったって場合もありますが、今回に関してはレビューの評価は当たりだったなって思います。
最近はダークサイドでアンダーグラウンド、闇社会な映画が多かったですが、こういう映画もたまには良いですね。
ではでは『ヘンゼル&グレーテル』でした。
…何度聞いても、ハンゾー、ハンゾー!って聞こえてしまう。ヘンゼル→ヘンゾル→ヘンゾー→ハンゾー。空耳アワー。なむさん。
スポンサードリンク
ヘンゼル & グレーテル - 感想・評価
公開日:2013年01月25日
ジャンル:アクション映画, ファンタジー映画, ホラー映画
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ジェレミー・レナー, ジェマ・アータートン, ピーター・ストーメア
ヘンゼル & グレーテル
-
ストーリー - 60%
-
キャラクター - 70%
-
演出 - 85%
-
映像 - 75%
-
音楽 - 55%
69%
映画レビューまとめ
それほど点数は高くつけられないかもしれないけど、点数以上にトータルの出来が良く、エンターテイメント性が高いので、暇な時間が出来た時などにこんな作品あったなと思い出してみてくださいませ。色々と事情があったみたいで、日本では上映されなかった作品です。