- 公開:1994年09月22日
- 監督:マイケル・ラドフォード
- 出演者:マッシモ・トロイージ, フィリップ・ノワレ, マリア・グラツィア・クチノッタ
- 製作国:イタリア, フランス, ベルギー
- 上映時間:1時間48分
イル・ポスティーノという映画をご存じでしょうか。マイケル・ラドフォード監督が1994年制作したイタリア映画です。
主演のマッシモ・トロイージが心臓病をおして撮影にのぞみ、撮影終了後の12時間後に亡くなったことでも話題になった『イル・ポスティーノ』。
イル・ポスティーノって言われると何の事かわかりにくいかもしれませんが、英語に直せば『The Postman』となり、つまりは郵便配達員の話なのです。
ノーベル文学賞も受賞したことがある実在の詩人パブロ・ネルーダ。
彼が祖国チリから亡命し、イタリア南部、ナポリ湾に浮かぶカプリ島に身を寄せていたという史実に基づき、その島で出会った内向的な青年(郵便配達員)との交流を描いた映画です。
イタリアと言えばオシャレで文化的なイメージが強かったのですが、この島では水道も敷かれておらず、島民のほとんどが文字を読めないという場所。
そこで育まれていく郵便配達員と詩人の友情がじわじわっと心に沁みていきます。
決してド派手な演出やストーリーではないので、好みがわかれそうではあります。
しかし、役者さんの演技は誰もが胸を打つ物になっているでしょう。
という事で、映画『イル・ポスティーノ』のレビューをしていくことにしましょう。
やはり詩ってすごい…。
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映画『イル・ポスティーノ』 – あらすじ
公開日:1994年9月22日
ジャンル:伝記映画, コメディ映画, ヒューマンドラマ映画
監督:マイケル・ラドフォード
主演:マッシモ・トロイージ, フィリップ・ノワレ, マリア・グラツィア・クチノッタ
映画名作レビュー戦記シネマネオン!-イル・ポスティーノの巻-
館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見 放題(たちみ ゆきみつ)。「映画と詩は違うだろう」と言いながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『イル・ポスティーノ』を観ようとしたのだが…
映画『イル・ポスティーノ』 -内容紹介-
映画『イル・ポスティーノ』 -解説-
君が読んだ詩を別の言葉では表現できない。詩は説明したら陳腐になる。どんな説明よりも、詩が示す情感を体験することだ。詩を感じようとすればできる。
映画『イル・ポスティーノ』の批評を終えて
映画『イル・ポスティーノ』の名言・心をざわつかせた言葉
詩人は偉大で広い心の持ち主だ
玉ネギを持っていても詩人は詩作ができる。
君は一方的に浴びせている。比喩と隠喩を。
人間というのは、物事の単純さとは関係がないのさ。
配達人を続けた方がよほどいい。たくさん歩いて太らない。詩人は皆、太りすぎだ。
「どうすれば詩人になれるんですか?」「入江に向かいゆっくり岸を歩きなさい。周囲を見ながら」
「恋をした」「それは結構だ。治せる」「治すなんてとんでもない。治りたくなんかない。おれは恋をした。恋をしたんです」
多くのベアトリーチェが恋を生み出した。
崇高な思想でも聞きすぎると寝言になる。
あの男の財産はせいぜい水虫しかない。
顔は真っ青でも、心の中は真っ赤だ。
詩は書いた人間のものではない。必要な人間のものだ。
あなたが帰った時、すてきなものはみんな持って帰ったと思った。でも本当はいろいろなものを残してくれたんだ。
動画視聴で映画『イル・ポスティーノ』を実況・解説!
- 0:04:50頃
日本ってイタリアの田舎の漁師でも話題にあがる国なんだな。 - 0:07:05頃
ん?これは映画っていうかニュースなんじゃね?映画館でニュースを流すものなのだな。 - 0:10:05頃
一生懸命働いて、週に一度の映画代。それで結構ですと言える主人公かっこいい。 - 0:10:15頃
共産党員は敬称をつけなくていいのか。知らないことばかりだな。 - 0:11:10頃
帽子を馴染ませないと頭が痛くなるのか。豆知識満載だ。 - 0:12:35頃
郵便が多いな!ひとりの人間にこんなに届くのか。 - 0:14:45頃
詩人に対するイメージが斬新だわ。 - 0:16:05頃
郵便配達人が頼み事をするのは禁じられている!?まじかよ。知らんかった。 - 0:18:10頃
わからんでもないが、だいぶ自我が強い若者だな。 - 0:23:25頃
ハラハラするけれど、詩人と会話して楽しそうだな。クビになりませんように。 - 0:28:30頃
無言で表現する所がいいな。 - 0:30:15頃
そうだよなぁ…。水が出る事を当然の事だと思っちゃいけないんだよな。 - 0:32:05頃
言葉に魅せられるとはこの事だ。 - 0:33:40頃
あ!!なんかこの詩人のおっちゃん見たことあるんだよなって思ってたが、『ニュー・シネマ・パラダイス』のアルフレードじゃないか!!道理で人に教える様子が様になっているわけだ。 - 0:35:15頃
こういうレトロなゲームいいなぁ。 - 0:41:55頃
喧嘩しちゃったよ…。 - 0:48:15頃
ここのやり取り最高かよ。いいなぁこういう雰囲気。優しい気持ちになるわぁ。 - 0:51:30頃
ベアトリーチェさんの瞳は難しいなぁ。感情が読み取れない。 - 0:57:10頃
この詩人の奥さん、本当に美しい人だな。レコードをかけて振り向いただけなのに、魅了される。 - 0:59:25頃
このおばちゃんなぜそんなに反対するのかと思ったら、結局お金かぁ…。まぁそうだよな。 - 1:03:15頃
盗作かよw急に上手くなりすぎてない!?って思ったんだよな。 - 1:03:35頃
この詩人の笑顔、本当に素敵だわ。 - 1:09:15頃
マジで猟銃抱えて外に出てきて草生えるw - 1:10:35頃
この司祭さま、偏見がすごいな。 - 1:15:30頃
もうこのままハッピーエンドで良い気がするけど、これからどうなるんだろう。まだ30分以上残ってるけど。 - 1:17:55頃
あぁ。友情っていいなぁ。じわっとくるわ。 - 1:24:00頃
不穏な空気が。ベアトリーチェの瞳に吸い込まれる。 - 1:30:30頃
なんか色々と切なくなるな。マリオ、自分を責めないでくれ。 - 1:38:55頃
吐き出す言葉が立派な詩人だよ、マリオ。 - 1:41:15頃
まじかよ…。嘘だと言ってくれ。
映画『イル・ポスティーノ』 – オチ・エンディング・ラストの感想・考察
ここから先はネタバレを含む場合がございます。まだこの作品を観ていないあなたはこのままページを閉じるか、覚悟の上でお読みください。
by シネマネオン
ここから
前回の『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』と同様、今回も終盤で人が死んでしまうラストでした…。
あんまりそういうラストは好きではないんですけどね。
しかし、今回は時代背景的にそうするしか無かったのかなぁ…とも思います。
それにしても自分に自信がなさそうなマリオの最後の録音は素晴らしいものでした。
郵便配達員として、町の美しいものを録音して届けるという発想、そしてそのタイトルの付け方。まさに詩人でした。
普通思いつかないよ!
パブロと出会った当時は言葉に出来なかった町の美しいもの。
それを形に出来るまでに成長したマリオ。
その命が共産党の集会で起きた暴動により若くして奪われてしまいましたが、演じたマッシモ・トロイージもこの映画の撮影後12時間で亡くなってしまったという事実が、妙に共鳴します。
そしてそのマリオが残した録音を、実際にマッシモ・トロイージと親友だったフィリップ・ノワレが演じるパブロがなんとも言えない顔で聞き入るシーン。
ネオレアリズモという潮流が1950年代のイタリアで生まれたように、この映画が妙なリアリズムを放ってくるのは、そういった作品と制作側の共鳴の一致が生み出しているものなのだろうなぁと思いました。
死んでほしくはなかったけれど、命を削ってでも演じたマッシモ・トロイージだったからこそ、ラストはやはりマリオも亡くならなければならなかったのだと。
そう思います。うん。
イル・ポスティーノのような映画・似てる作品・おすすめ
公開日:1988年11月17日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
主演:フィリップ・ノワレ, サルヴァトーレ・カシオ, マルコ・レオナルディ
映画レビューまとめ
イル・ポスティーノのレビューをしていきましたが、芸術と政治という真逆のように思えるものをバランス良くまとめあげた良い作品だと思います。
芸術も政治も同じように人の心を動かすものではありますが、戦争などで必要とされるのは政治で、一番に排除されるものは芸術であるように、その立場は全く違います。
しかし、ひとりの若者は詩に出会う事で、人生が変わり、詩に関わった事で、政治に傾倒していきました。
これほど強く、政治って一体何やねん…と思わせるメッセージの表し方はないのではないでしょうか。
途中でたびたび現れる政治家のコシモの描き方もね、上手なんですよね。
確かに目の前に人参をぶら下げて、人々の票を集めていきます。人々の心を動かしていくわけですが、当選した瞬間に人参は取り除かれ、人々は騙された事を知ります。
一方、この映画を見た人が感じるようにラストのシーンのマリオの生み出した詩は、人参のように消えたりはせず、いつまでも深く心に残っていくでしょう。
…いや、僕が言いたいのはこういう事ではないな。
とにかく優しい雰囲気が流れている映画なんですよ。うん。この映画の良さを説明すると↑こんな感じで失敗します。なのでとにかく肌で感じ取ってもらいたい。
音楽もいいし、ストーリーもいい。景色も良いし、何よりも演じているマッシモ・トロイージとフィリップ・ノワレがすこぶる良いのです。
一度全てを見た後に、もう一度マッシモ・トロイージだけに集中して観ると、彼はどのシーンでも額に脂汗をかいている事がわかります。
この映画を撮ったマイケル・ラドフォード監督は一日撮影が終わる度に「明日はあるのだろうか…」と心配していたそうです。
今すぐにでも心臓の移植手術が必要なほど心臓病の病状は進んでいましたが、「映画こそが僕の生命。新しい心臓を手に入れる前に、古い心臓をこの映画に捧げるんだ」と語ったマッシモ・トロイージ。
そして映画内だけでなく、実際にマッシモ・トロイージの親友だったフィリップ・ノワレはマッシモ・トロイージを励ましながら撮影にのぞんだらしいのです。
…そりゃー優しい雰囲気に満ちあふれている映画になりますよね。
だからこそ、説明不要。とにかく観て感じて楽しんでください。きっと素晴らしい映画体験になることでしょう。
ということで『イル・ポスティーノ』でした。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
野口明人
あ、最後に『イル・ポスティーノ』のレビュー点数です↓
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イル・ポスティーノ - 感想・評価
公開日:1994年9月22日
ジャンル:伝記映画, コメディ映画, ヒューマンドラマ映画
監督:マイケル・ラドフォード
主演:マッシモ・トロイージ, フィリップ・ノワレ, マリア・グラツィア・クチノッタ