- 公開:2006/05/24
- 監督:西川美和
- 出演者:オダギリジョー, 香川照之, 伊武雅刀
- 製作国:日本
- 上映時間:1時間59分
ゆれるという映画をご存じでしょうか?西川美和監督が2006年に公開した映画です。
オダギリジョーと香川照之が兄弟役で出演する映画なのですが、これがまたなんとも面白いのです。
普段あまり邦画を観ずに洋画ばかり観てしまう僕ですが、『ゆれる』という映画によって、その価値観が変わるかもしれません。
微妙な表現になってしまいますが、もし、あなたが長男長女であれば、ヒューマンドラマとして超おすすめ。あなたが弟や妹であるならば、ミステリーとしてておすすめって感じの不思議な映画です。
まぁ、冒頭に長々と語ってもあれなので、なぜなのかも含めて映画『ゆれる』のレビューをしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの邦画ランキングがこの映画で変わるかもしれない…。
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映画『ゆれる』 – あらすじ
映画名作レビュー戦記シネマネオン!-ゆれるの巻-
館見放題
とある映画館でポスター貼りのアルバイトをしていた館見 放題。「香川照之がすごいって事で良いね!」と言いながら映画ランキングと興行収入を参考におすすめポスターを入れ替えていたが、その作業中、謎の組織ノーモアーズに襲われ記憶と顔を盗まれてしまう。何も思い出せない館見。彼は自分を取り戻すため、引き込まれるように映画館に入り『ゆれる』を観ようとしたのだが…
映画『ゆれる』 -内容紹介-
映画『ゆれる』 -解説-
映画『ゆれる』の批評を終えて
映画『ゆれる』の名言・心をざわつかせた言葉
東京のガスでね、頭が濁ってんの。
自白っていうのはね、強力なんだよ、日本では。
まー、あのスタンドで一生生きていくのも、この檻の中で生きていくのも大差ないなー。馬鹿な客に頭下げなくていいだけこっちのが気楽だ。
結構な内出血起こしてましたよ。あれは死んでからでも痛いんちゃうかな?アーチェリーの選手見たら的や思って撃ちますよ。
お前は俺の無実を事実と思ってる?違うでしょ?
はじめから人のことを疑って最後まで一度も信じたりしない。そういうのが俺の知ってるお前だよ。
奪いっぱなしですか?それで、あんたは何を手に入れたんです?
動画視聴で『ゆれる』を実況・解説!
- 0:02:05頃
エンジンがついてニヤリ。オダギリジョー、かっけー!!FORDのレトロ車とファンキーな音楽がすごい似合ってる! - 0:06:15頃
おお。この頃の香川照之、若く見えるなー。 - 0:09:10頃
メインで喋っている人がいるのに、ペコペコしている香川照之の存在感がすごい。 - 0:10:20頃
おばさんのとばっちり食らった感w - 0:10:30頃
こういう人の気が付かないところで、足にひたひた雫がたれている所にフォーカス当てるのとか、文学的だわ。 - 0:12:05頃
意味深な“間”!こういうのが香川照之うまいんだよな。 - 0:12:40頃
この8ミリフィルムがあとあと効いてくるんだな。 - 0:14:15頃
新井浩文、ほんとに演技上手いのにもったいない…。 - 0:18:25頃
ウィンカーの音か、パーカッションの音かわからんが、すごい緊張感。 - 0:20:00頃
びみょーな表情の変化だけど、内面の怖さが伝わってくる香川照之のすごさ。 - 0:20:50頃
早川猛?あー、オダギリジョーの役名か。吉本ばななのうたかた/サンクチュアリと並べる所が素敵。 - 0:21:10頃
時計の音と包丁の音をリンクさせてる。さっきのウインカー的なやつも意図的か。 - 0:22:25頃
終わったらすぐに帰るイケメンあるある。 - 0:23:30頃
哀愁漂う背中。なぜ洗濯物たたむ姿ってこんなに語るんだろう。 - 0:26:00頃
表情の変化をたっぷり見せつける映画だな。 - 0:26:35頃
昆虫すごいぜの時の香川照之だわw - 0:30:00頃
うわー。高所恐怖症の自分としては、この橋の揺れは怖い。蓮美渓谷は、津南町の見倉橋か。新潟行った時に寄ってみようかな。 - 0:31:25頃
こわ…。 - 0:32:30頃
吊り橋効果はどうした…。 - 0:32:40頃
突然の無音ときれいな風景が5秒ほど。スピーカーぶっ壊れたのかと思った。 - 0:34:45頃
この腕の傷は…。 - 0:35:00頃
香川照之の凄さが濃縮されてギュッとここに詰められてるシーン。 - 0:35:25頃
あれ!?ピエール瀧出てたんだ! - 0:35:25頃
古典的だけど、ここ最近で一番ビックリしたわ。緩急すごいな。 - 0:40:15頃
おばさん、おばさん、おばさん…うううううで30秒使うかーw - 0:41:00頃
げっぷが効くね! - 0:44:45頃
深刻なシーンなのに、ホースとピアノで笑ってしまう。 - 0:55:10頃
「ネガティブ?そんなんじゃないよ」というセリフにゾッとする。吐息混じりの声の破壊力よ。 - 0:56:45頃
あえて鼻から下を映さない撮り方。 - 0:57:55頃
こ、こわー!香川照之、すげー! - 0:58:35頃
ここでキム兄かーw - 1:00:35頃
あれ?この筆記の人、安藤玉恵じゃん。この映画に出ていたのか!! - 1:03:25頃
ここらへんから藪の中っぽくなってくる。 - 1:05:30頃
何も言葉を返してあげないのか…。 - 1:06:50頃
早川勇は父だよな。これを返すためにユニフォームを口実にしたのか。 - 1:07:40頃
懐かしい二槽式洗濯機。 - 1:09:30頃
体を張った蟹江敬三w - 1:13:20頃
キム兄の声と目線って人を追い込むのに最適すぎると思えるシーンだわ。 - 1:18:05頃
え!? - 1:22:40頃
こんな検察官嫌だわ。すげーえぐってくるな。キム兄流石だわ。 - 1:23:20頃
裁判って何から何までおっぴろげになるのな。 - 1:27:35頃
死んだ魚の眼のドアップ!! - 1:28:30頃
この香川照之の「うん」の存在感、すこぶるすごいな。 - 1:30:15頃
人が変わるとはこの瞬間の事を言います。 - 1:38:25頃
蟹江敬三、すごい迫力。 - 1:39:50頃
なんか、途端にみんな老けちゃったな。…あ、七年後か。 - 1:43:45頃
どーでもいい事だけど、この女の子、左利きだな。 - 1:47:30頃
伊武雅刀がヒゲダンスをしてるw - 1:49:55頃
涙の意味がぜんぜん違うと思うけど、なぜかシネマ・パラダイスのラストを思い出してしまった。 - 1:52:05頃
ここで「行きましょう」って言える洋平くんの人柄の良さ。 - 1:56:10頃
このタイミングの笑みは演出がすごい。どっちだったんだ。
映画『ゆれる』 – オチ・エンディング・ラストの感想・考察
by シネマネオン
この映画のミソは、渓谷に行く前日の夜の事。猛と智恵子が性交渉の後に帰ってきた時に稔が言った一言がポイントになっています。
「智恵ちゃん、結構あれ、しつこいだろ」
真顔になる猛。
その後、ちょっと間をあけて、
「酒飲みだすと」
ってカマをかけるんですね。
猛は智恵子との関係をバレて欲しくない為に、話合わせで「飲めるんだね、あー見えて」って嘘をつきます。
ご飯食べてくるって話で智恵子を送って行ったわけですからね。
でも、稔は智恵子が下戸なのを知っていますから、ここで気が付くわけです。あー、ご飯食べに行ったわけじゃないんだな。家で性交渉でもしてきたのかなと。
だからすぐに「風呂は良いか?」って切り返すわけです。
そして猛も智恵子の家で風呂に入ったにもかかわらず「いや、入るよ」って返します。
香川照之が洗濯物をたたんでる背中が印象的すぎて見過ごしてしまうと思いますが、稔は探りを入れていたのです。
でも、裁判の時には言わないんですね。
検事が稔に問います。
「他の男性と性交渉を持ったのだろうと。被告人、聞きますが、あなたはこの相手の存在に気づいていましたか?」
そして稔はこう答えます。
「そんな人がいたなんて、僕は全く気づかず、恋人がいらしたならば、その人に対しても、取り返しのつかないご迷惑をおかけしました」
と。
猛と智恵子の関係を知っていたにもかかわらず。これで一気に裁判は稔有利な展開になるんですね。
しかし、気が気でないのは猛の方です。猛は智恵子が下戸である事を父から偶然聞いてしまっていたのです。
そして兄と何の気なしにした会話「智恵ちゃん、結構あれ、しつこいだろ」の事を思い出してぞっとします。兄は智恵子と自分の関係性を知っていたに違いない。
そんな心境の中で兄を擁護する証人として法廷に立たなければならない。
しかも兄の元へ面会に行ったときに言われるんですね。
稔「だってさ、お前は俺の無実を事実と思ってる?違うでしょ?自分が人殺しの弟になるのが嫌なだけだよ」
(中略)
猛「ちょっと待ってよ、なんで、なんで俺が自分の兄貴のこと疑わなきゃなんねーんだよ」
(中略)
稔「初めから人のことを疑って、最後まで一度も信じたりしない。そういうのが俺の知ってるお前だよ、猛」
猛「ふざけんな!」
この段階でもう二人の兄弟仲は決裂。
そして猛は裁判所で兄稔を有罪にしてしまう証言をするのです。
ただ、これを一度考えてみるとこれもすべて兄が弟のことを思ってやった事なのかもしれないなんて考えちゃうんですね。
「智恵ちゃん、結構あれ、しつこいだろ」
って言葉の通り、智恵子は猛に執着していました。それを疎ましく猛は思っていたと思うのです。
それをまぁ、偶然といえ、事故で稔は智恵子を殺してしまいます。
これが事故である事は、稔の腕の傷が証明してくれているとは思うのですが、猛はその腕の傷には触れず有罪に持ち込む証言をします。
稔的には悪を全部自分が背負うことで、弟の今後の人生に智恵子との出来事を引きずらせない優しさを見せたのではないかと僕は思うのです。
もちろん「なんでいっつもお前だけ」と猛を羨ましく思っていた気持ちもあるでしょう。
しかし、やっぱりそこは兄。
自分を殺して弟を立てる優しさの現れが、この映画の香川照之の演技には詰まっている気がするのです。
映画『ゆれる』のような映画・似てる作品・おすすめ
公開日:1996年04月03日
ジャンル:犯罪映画, ヒューマンドラマ映画, ミステリー映画
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:リチャード・ギア, ローラ・リニー, エドワード・ノートン
映画レビューまとめ
ども。シネマネオンの中の人、野口明人です。
「あの橋を渡るまでは、兄弟でした。」
というキャッチコピーの通り、橋での出来事が二人の関係性をゆらす映画でした。
「ゆれる」
というタイトル、本当に秀逸だと思うんですよね。
橋。関係性。感情。信じる疑う。本音と建前。
とにかく映画のちらほらにゆれる要素が散りばめられています。
なので、観終えた後も沢山の解釈が出来る映画なのです。
まぁ、まとめとして、ミステリーやサスペンス映画と単純に言ってしまうにはもったいない程の完成度で、とにかく香川照之の演技が神がかっています。最高峰の演技でしょうコレ。
オダギリジョーもかっこいい。西川美和監督の演出も素晴らしすぎる。すべてにおいて世界観が現れていて、この映画を観ずに邦画を語っちゃいけないと思えるぐらい、邦画の素晴らしさが前面に出ています。
ブランコ?というよりもシーソーかな?とにかく遊具がゆれているシーンがあるんですけど、それとともにオダギリジョーが語っているんですよ。
それでその語りが終わるぐらいに、遊具のゆれも収まる。そして、次の行動に移る。
そのタイミングがバチコーンはまっていてね、この監督が持つ繊細さみたいなのを感じさせられました。すげぇよ、とにかく、この映画。
ラストの後味の悪さも狙っているんでしょうね。このラストしかないっしょってぐらい、僕の中ではぴったりはまったラストだったので、もう、文句なし。
あぁ、なんでこんな感じの邦画を早く見なかったのかな。そうしたらもっともっと映画を楽しめていただろうに。これからは邦画ももう少し真面目に観てみようかと思います。
あなたはこの映画を観て、どのような感想を抱くでしょうか。
僕とは全然違う解釈かもしれませんし、僕の言ったことに共感してくれるかもしれません。良かったらコメントに書いてくださるとうれしいです。
ではでは、そんな感じで『ゆれる』でした。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
野口明人
あ、最後に『ゆれる』のレビュー点数です↓
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ゆれる - 感想・評価
ゆれる
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ストーリー - 73%
73%
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キャラクター - 88%
88%
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演出 - 86%
86%
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映像 - 75%
75%
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音楽 - 73%
73%
映画レビューまとめ
邦画も捨てたもんじゃないと考えさせてくれる良作。香川照之の演技がもうすごいのなんのって。視聴者とはどの立ち位置なのかを問いかけてくる所も素晴らしい。